
購読紙の論説委員の書いた記事のある個所に驚いた。「首都圏の高校生たちが生物の授業で描いたニワトリの絵を見せてもらった。脚の数が3本、4本あるのはざらで、タコみたいに8本脚の絵まであった」。これは署名記事で、記者の時代から名前を知っている人。もし無記名の記事なら私は信用しない。それはニワトリについてあまりにも常識を逸しているから。
記事は、過去最大規模となった鳥インフルエンザの感染で、鶏卵の供給不足が尾をひっている。たまげるような高値で「エッグ(卵)ショック」、物価が上がり続けることから「エッグフレーション」という造語も出た。こうなった背景や安い卵の背景などがわかりやすく解説されておてり参考になった。
この記事のサブタイトルは「卵ショック」、私は高校生の知識にショックを受けた。鳥、ニワトリが動く場面、本や絵画などで1度も目にしたことがない、ニワトリを本当に知らないのか、と役に立たない思案を巡らす。高校生に「これがニワトリです」とどのようにして教えればいいのだろう。
スーパーの卵コーナー、安価な品はいつも品薄で棚の底が見えている。卵や豆腐が、年金頼りの者には健康を支える大切な食品である。鳥インフルで処分されたニワトリは日本の飼育総数の1割を超えるという。賄賂を受けっとった農水大臣もいたが、消費者と生産者のためになる政を望む。
(今日の575) トリの脚知らずに食す山賊焼き