a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

ブレヒトの芝居小屋、最後の夏

2018-08-14 17:46:10 | 東京公演
夏の日差しを全身にうけて、乾きを訴えているような芝居小屋の大扉。

その前にギラついて並んでる劇団員の自転車たち。

その台数に焦ったりちょっと一息ついたりしながら稽古場へ入る。


「うぉー!あーあーあー!」誰かの発声練習が聞こえる。


(くすっ、そのやり方は違うんじゃないかなぁ……とひそかに思ったり(^^))。


お茶場の準備をする後輩らとすれ違いざまちょっかい出したり雑談したり、顔色をみたり。

今日も誰かからの差し入れ、夏のフルーツが届いている。

いつもありがとう。

日一日と『ブレヒトの芝居小屋の夏』が通り過ぎて行きます。


そう、もう来年の今頃にはこの小屋に私たちはいないわけで……。

今のうちに夏の稽古場の風景を目に身体に焼き付けておきたいと思いながら劇団に通っています。

が、取り組むのはこの小屋最後のブレヒト作品。

その中身を掴まえるのに頭と心のエンジンを全開するのに忙しく、相変わらず余裕がない自分です。




今回の舞台では、過去のブレヒト作品で使われた懐かしい物が登場しています。

今まで私が出演したのは5つほどなのですが、ブレヒト作品はほんの一瞬だけの登場人物、たった一言のセリフでも印象深くその作品世界に置かれていると感じることが多いです。

『ガリレイの生涯』公演の時、唯一の私のセリフは『どなた?』。

タリさん(演出家)の目はすり抜けたものの(笑)、

他の先輩がわーっと来て「違う!『どなた?』よ。」私「どなた?」。先輩「うううん、『どなた?』」「???」。

色んな言い方を試しても何が違うのかなかなか掴めず、苦労した思い出です。

どんな端役でもその一言、一つの動作が、私が『どなた?』と指し示した人物への観客の想像を乱してしまうことの重さを知りました。

そして、芝居の奥深さを感じた経験でした。

今回の芝居では、学者グーという役で劇団の大大大先輩と出演する場面が沢山あります。

劇団歴25年の中でその先輩とこんなに会話するのは初めてですが、臆することなく瞬間瞬間の先輩とのやりとりの中で何かを発見したり、感じたりできるよう、アンテナ張って集中して稽古していきたいです。



毎回衣装づくりでお世話になっているうちの大御所ミシン。



9月7日からの上演です。

ご来場お待ちしております!


町田聡子


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作 ベルトルト・ブレヒト
訳・ドラマトゥルク 黒田容子
演出  公家義徳
音響  島猛
照明  真壁知恵子
衣裳  稲村朋子
映像アドバイザー・撮影 飯名尚人
制作  小森明子・太田昭

■キャスト
トゥランドット姫      正木ひかり
皇帝            永野愛理
皇太后           志賀澤子
ヤウ・イェル        三木元太
総理大臣          竹口範顕
宮廷学者フィー・イェイ   篠原祐哉
アー・シャー・ゼン(農夫) 伊藤 克
エー・フェー(彼の孫)   山﨑智子
ゴーゲー・ゴーグ(ギャング)和田響き
マー・ゴーグ(彼の母)   原口久美子

浅井純彦
雨宮大夢
大橋隆一郎
小田勇輔
上條珠理
坂本勇樹
仙石貴久江
永濱渉
奈須弘子
町田聡子
真野季節
洪美玉

9/7 19
8 14
9 14
10  休演日
11 19☆
12 19☆

13 19
14 19
15 14
16 14
17 14


ブレヒトの芝居小屋

全席自由 開場は開演の30分前 整理番号順の入場

料金

前売一般 3800円 前売U25→3000円〈25才以下の方対象〉

当日4500円

☆Low Price Dayは一律2500円

チケット申込

東京演劇アンサンブル TEL:03-3920-5232 FAX:03-3920-4433

ticket@tee.co.jp

協賛 ケンタウルスの会

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