空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

国境付近のせめぎあい:lethal force使用可か不可か

2018-11-23 20:17:53 | Newsメモ
 Mattisが言明する、国境に展開した国軍兵は非武装である。あくまで国境警備を手伝うためにあるのであり、一時的に難民を拘束することはあっても、分単位のことであり、時間単位のことではない―

BBC Migrant caravan: Troops 'unarmed' at US-Mexico border, Mattis says 22 Nov 2018

 暴動等のさいに制圧するのが任務だというわけだ。

Migrants are often kidnapped by people traffickers and drugs gangs which force them to work for them.

 まあ、ギャングやなんかにつれられてきてしまったなんてことが多かったりして、だから、本来は保護されるべき属性であるところ

While Central Americans have long fled their homelands for the US and have sometimes joined forces along the way, the organised nature of this caravan is relatively new.

 意図的に集団となってこられるとなあ、と。

 ということでMattisは、軍を展開するとはいえ、まあ穏当な手法によって取り締まりするのだというのだが、ボスは過激な―まあいわんでもいい―コトを言う:

BBC Trump renews threat to close Mexico border over migrants 22 Nov 2018

He also said he had given troops at the border the go-ahead to use lethal force if needed.

"The whole border. I mean the whole border. Mexico will not be able to sell their cars into the United States where they make so many cars," he added.

 脅迫じみたいいようである。

"Judges must not legislate security and safety at the border. They know nothing about it and are making our country unsafe," he said in a tweet.

 不見識といわれるべきいいようである。いや確かに裁判官は治安維持に直接の責任を負わないが、しかし共同で国をよろしくすべく活動しているのだという信仰を共有してくれないと、国家の中枢部で分裂するよーな姿をさらすはめに。

 いやまあ、こうまで言っても国家体制が崩壊するわけではないあたり、米国が安定した国だということを示すのではあろうが、こういう危うい発言・行動を繰り返すことでだんだんと防御力も劣化するだろうところではあり。

 あと、トランプを非難して済ます習慣のあるひとは、同じように難民に厳しい態度をとるティファナの人々をも非難するように:

Hundreds of Tijuana residents have protested against the migrants' presence and urged them to leave.

 ―この意味で、トランプは被害担当艦ではあるのだ。あのおっちゃんを、ただの狂人と言って済ませるわけにはいかない微妙な理由がここに認められよう。彼はわかってやっている。一応仮にも、大統領として、ひとに嫌われようとせざるを得ないだろうと信じたことをしている―のだろう。基本的には金目で理解できることで、その限り、相当合理的に理解できるのだ。

 …人権を金目で出し入れしようというアイディアではあり、正面から言われると認める気にはなかなかならんのだが。
 それでもなお、「トランプがとんでもないひとだということは大前提だが」という枕詞を言いつつ、難民流入制御は正しいのではないか、とひとがわざわざいいたくなるレベルでは”まっとう”なのだ。

 すごくぶっちゃけの話、極論、難民を受け入れて米国がより金持ちになるという青写真を示され、それが説得的なら、トランプはゴーサインを出すだろう。

Others hope to get jobs abroad which will pay enough for them to send money to their relatives who stayed behind.

 ―これなど、金目でいえば、米国内でさらに経済を回すべきカネを不当に国外に流出させる挙とみえかねない。いや、その労働力を育てた分の還元と見做せばいいのだろうけど、それ以上になってんじゃないのか、といいたくなるだろう。それに対する対案を示せれば、トランプ氏はわりと説得されるのではないか:

朝日新聞 トランプ氏が「シンゾーは説得する天才だな」 甘利氏 2018年10月12日20時59分

 日米首脳会談で「トランプさんは安倍晋三総理とケミストリーが合う。(トランプ氏)「アメリカ軍が日本に駐留して日本を守っている。これは相当なコストがかかっている」(安倍氏)「いやいや大統領、日本は経費を7割負担している。もし米軍が本土に引き揚げたら、丸抱えで経費をみるんですよ。日本にいるから安上がりになっているんじゃないですか」(トランプ氏)「ジーニアス。シンゾーはオレを説得する天才だな」」というような会話があったという。

 …割と真剣に、トランプ氏は金目なら理解が速いのではないかと思うのだ。

沖縄タイムス 「在日米軍、米も利益」安倍首相が駐留費増を否定 2016年11月15日 07:25

安倍晋三首相は14日の参院環太平洋連携協定(TPP)特別委員会で、トランプ次期米大統領が選挙戦中に在日米軍駐留経費の負担増を求める発言をしたことについて、現状の日本側の負担は適切との考えを述べた。在日米軍の役割は日本防衛だけではないとの認識も示した

在日米軍について「日本に駐留している米軍の多くは海兵隊であり、海軍、空軍である。これは日本のみを守る、あるいは日本に対する抑止力ということではない」と発言。海兵隊は、アジア太平洋などに展開し、地域全体の平和と安定を守る上で重要な役割を果たしている「米国の前方展開戦略の要」と説明した

 とまあ、立派な、記録に残されるべき発言としてはこういう立派な言葉だし、まあ実務レベルでは大体話がついていることなのだろうが、そういうのをトップ同士の阿吽の呼吸で落としこめてしまえればさらに結構なことはまあ、同意されるだろう。

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