2009年8月20日以降数日間のモガディシュ戦闘事情

　珍しくソマリア紛争事情が日本語になったようなので：

朝日　ソマリアで激しい戦闘　２日間で６６人死亡　2009年8月21日19時32分

　力の及ぶ限り，各方面の事情をメモしましょう。
　前提条件の一つとして，20日，国会が大統領の要請に応えて非常事態宣言を可決したことが挙げられましょう：

Garowe Online　Somalia: Federal lawmakers approve state of emergency law　Aug 20, 2009 - 4:38:40 AM

　6月に要請された非常事態宣言は賛成451，反対23，棄権6で可決。これによって，政府側は反政府側に対してより自由な行動をとることができるようになった，というわけです。まあどのくらい可能かどうかはさておき。
　また，20日木曜，AMISOMが市中に行動したようです：


ShabelleMediaNetwork　Clashes between Islamist fighters and AMISOM start in Mogadishu 　8/20/2009 1:05:00 PM

　イスラミスト支配地域まで行動，多少の小競り合いがあった由。

　21日から報道があり，20日夜から，推定反政府側がKM4地区（重要交差点）の政府側・AMISOMに戦闘を仕掛け，金曜朝まで続いたとのこと。死者は少なくとも31名（Garowe Onlineによる），負傷者は100名以上といわれる：

Garowe Online　Somalia: 31 dead in Mogadishu battles and bombs　Aug 21, 2009

　うち12名はバカラマーケットのレストランに直撃した砲弾による民間人死者の模様。なお政府側は3名の反政府側死者を公開（…品がない！）。
　なお参照：

ShabelleMediaNetwork　Shelling kills 16, injure 40 others in Mogadishu 　8/21/2009 11:57:00 AM

　さらに翌日（またさらに土曜日まで）にも戦闘は続く。少なくとも政府側防衛相Sheik Yusuf Mohamed Siad ”Inda Adde”によれば政府側優勢。新規に地区を確保したとさえ言うが，真偽不明。

ShabelleMediaNetwork　Heavy fighting breaks out in Mogadishu 　8/22/2009 10:38:00 AM

Garowe Online　Somalia: 9 dead in Mogadishu clashes　Aug 22, 2009 - 2:44:39 PM

　土曜日の戦闘はモガディシュからアフグイェに行くチェックポイントを焦点とし，一時アルシャバブ側が奪取するも，（AMISOMの増援こみの）政府側に再奪取された由。なおAMISOMの人員的損害はないとのこと。死者9名が数えられるが，これが政府側か反政府側かは不明。

　以上の件についてアルシャバブからの発表はメディアに利用可能ではない（もって回った言い方）。恐らく，モガディシュ方面では「政府側優勢」は確定情報でいいでしょう。「そこそこいい勝負」なら，アルシャバブは「わが方が勝利した」「地歩を確保した」などと言うでしょうから。

　何にせよ，モガディシュ方面のアルシャバブは，まずまずの攻勢を組織し（夜襲から始まるのは劣勢を補う意味もあるか？）―恐らく，政府側の防御を食い破ることができなかった模様です。

　他方，ヒラン県都ベレトウェインでは反政府側に景気の（割と）いい話がありました。市の一地区を確保したというのです。