アルシャバブ内部に亀裂あり

アルシャバブ内部の亀裂が報じられる

　ソマリアの反政府強硬派アルシャバブは運動方針について不和を生じ，二派に分かれている由：

Garowe Online　Ideologial differences splits Somalia's Al-Shabaab　Dec 20, 2009 - 1:32:27 PM

　最上位級指導者が名前を秘してGarowe Onlineに伝えるところでは，一方のSheikh Mukhtar Robeo Ali "Abu Mansur"―Robowという綴りがより一般的に用いられていますが―は，この国の紛争を終わらせるため，ライバル・グループとの対話を許容する方針。

　注釈をここで入れます，このAbu Mansurはしばしばアルシャバブのspokesmanとして登場した人物で，特にGedo県の統治体制を定める際には活発に行動してもいました。どー考えても最高位指導者の一人です。もどります―

　他方のグループは"Amir"たるSheikh Mukhtar Abdirahman Abu Subeyrが率いる側で，彼は1200名ほどの外国人Jihadistの支持を受ける人物。彼は伝えられるところでは，「ソマリアにイスラム主義の政府を設立するまで」紛争をエスカレートさせようとする。

　両グループはモガディシュ内に位置を占めているそうですが―この両派の内部紛争は，最近のShamoホテルでの自爆テロをめぐって顕在化したもののようです（「Shamoホテルの自爆テロの件」）。
　アルシャバブは，公的にはこの爆弾テロの責任を否定する声明（Sheikh Mohammud Ali Dhereによる）を出していますが―この否認が，Jihadistらの一団をいらつかせているのだそうです。


　Shamoホテルの爆弾テロはアルシャバブシンパさえも動揺させる重大犯罪であり，現地ではアルシャバブ旗の焼却デモさえも結果しました。
　しかし誰かがやった，背後にいるのは間違いないのだ。誰か？　自爆テロの手口はアルシャバブ，さらに詳しく言えばその内部に巣食うアルカイダ系列の人材に特有だ。これらの者たちの感覚からは，Shamoホテルは大戦果にほかならず，それを認められないとは何事か，となるだろう。

　…プロのテロリストじゃないって証拠だろうけどね，それ。手段と目的とをきちんと分離できない程度の連中だということを自供するに他ならないわけだが。

　そんなわけで，既に一定の統治の実績を得た（Gedo方面で特段の問題行動は―滅多に―伝えられないことに注意。下Jubbaでは，多々問題行動は伝えられるものの，それなりの統治はしてはいる。キスマユ政権はより原理主義的ですがねぇ）側からすれば，「手打ち」の機会を探る意味があろうところです。

　さて，アルシャバブの内部事情について，先日ジブチ外相が，『アルシャバブのトップにアルカイダ構成員が就いた』と述べたことをご記憶でしょうか：「アルシャバブはアルカイダ有力者を指導者として迎えたか　他　軍服と国旗の話題」。

　さてこれに対してアルシャバブとしては，そんなことはない，Fazul Abdul Mohammedなる人物は知らない，我々の指揮者Sheikh Abdul Rahman Abu al-Zubayrは未だ任務についている―と主張したわけですが（Raxanreeb radio Somalia: Al Shabab Describes Commander Replacement as False Rumours December 16,2009 Garowe Time 4:59 am, by Abdalle Ahmed）―

　…もしAbu Mansurとal-Zubayrとの不和を伝えるGarowe Onlineの情報が事実を伝えているとすれば，ジブチ外相の公言は別の意味合いを持つでしょう。al-Zubayrは外国のジハーディストの影響を受け，この一派の事実上の指導者はアルカイダのFazul Abdul Mohammedということになる―という。


　ああ，ちなみに私としては，現実の政治の場ではテロも戦争もある一定の意味合いがあるのだと考える方です。達成するべき政治的目的のために，『抑圧された者たちの痛切な，止むを得ざる念の物理（暴力）的表現』として行われる限りにおいて，ですが。

　裏をかえせば，厨2病的ドリーム目標設定のために，事実上テロ自体を目的にしてるよーなあほはとっとと消え去れ，と思う方です。