承前。
1月10日に始まりました中部ソマリアHiran県都ベレトウェインをめぐる(周辺地域の)戦闘は連日続き,拡大傾向にある。全体的には攻め手のAhlu Sunnah Wal-Jamaaが優勢に事を進めている感。未確認情報ながら,このタイミングでHizbul Islam最高幹部の一員(であった)Madobe氏が反アルシャバブ戦に連帯するとの話がリークされたことは興味ある点(後述)。
まずは11日(月曜)早朝は平穏であったが,この日に戦闘が再燃したとの記事:
Shabelle Media Network Fighting restarts in Beledweyn town Posted: 1/11/2010 11:25:00 AM
Breaking News扱いです(By: Hassan Osman Abdi)。
Ahlu Sunna Waljma’aとHizbul Islamとの間の戦闘が再開した,重火器を使用した音が聞こえるとの地元からの証言。
Ahlu Sunna Waljama’a側Aden Abdulle Awale氏がShabelle radioに語って曰く,Hizbul Islamの兵が彼の側の陣地に攻撃を仕掛けたのであり,自派はこれを防御したのである。
他方現地HizbulIslam議長Shurie Farah Sabriyeがいわく,前日に攻撃を仕掛けてきた連中を追跡した結果,戦闘が生起したのである。彼は戦闘の事実を認める。
Shabelle Media Network Ahlu Sunna forces recapture east of Beledweyn town once again Posted: 1/11/2010 3:38:00 PM
数時間後の報道(By: Hassan Fantastic)。暫定政府・Ahlu Sunnah側がベレトウェインの一部を再奪取したとのこと。Ahlu Sunna Waljama’a側の主張では,市中心部の重要拠点―警察署など―を奪取したと。
現地住民の報告では,市東部での戦闘は激しく,また中心部でも戦闘は続く。
戦闘当事者の公式コメントは,この時点ではないようだが,Hizbul Islamの兵は(多くは?)市を出た模様。なので住民としては再編成→戦闘再開の流れを恐れる。犠牲者数の確実な数字は言及されず。
こうしたベレトウェインの情勢速報状態のShabelle Media Networkに対して,Garowe Onlineは周辺地域をめぐる事情のまとめ的な記事を我々に提供する:
Garowe Online Heavy fighting erupts in central Somalia, 16 killed Jan 12, 2010 - 12:31:05 PM
これはGarowe Online自社記事。月曜~火曜の戦闘で少なくとも16名の死者,21名の負傷sがが発生したとする。現場は中央ソマリアの村々―Wabho村はGalgadudのElbur市近くの村,Warholo村の名も言及される―。
Ahlu-Sunnahの報道担当者Sheikh Abdullahi Abdirahman Abu Yussufは幾名ものアルシャバブ戦闘員を殺害したとする。「この戦闘は,本日始り本日遅くに終わったが,激しいものだった。アルシャバブ戦闘員の死体のいくつかがそこらに散らばっている」。Warhole村も彼らの支配下にあるとする。
前日の戦闘による死者は10名(以上),戦闘再開前に,埋葬された由。
他方火曜はやくからのWarhole村での戦闘では12名ほどが死亡したとか。Abu YussufはアルシャバブからElburの基地を奪うまで戦闘するとする。「我々はElbur―アルシャバブ支配下にあるが―の支配権を奪うまで戦闘をやめはしない。我々はこの地域からアルシャバブの勢力を除去する用意ができているのだ」。
アルシャバブはこの事態に公式声明なし。基本,こうした表現は声明なしのグループの不利をほのめかすものですわね。
なお以下の:
Garowe Online Sixteen killed in battles in central Somalia Jan 12, 2010 - 7:50:45 AM
は見るからにAFPからの写し記事(末尾に明記してあるし)。本文中に"Related article: Thousands more flee Somalia"なんて文がリンクなしに放置されているあたり,推して知るべし。
ソマリア趣味者として面白い言及があるのは:
Garowe Online Somalia: Fighting continues for third day in Beledweyn Jan 12, 2010 - 1:28:49 PM
ベレトウェインでの戦闘を伝えるこの記事。10名以上が死亡,11名以上が負傷。戦闘は三日も続いており,Ahlu Sunnaの助勢をうけた暫定政府兵も進出,反政府側と戦っている模様。
目撃者によれば戦闘員・民間人の死体が町の通りに散見される。民間人は多くは街を脱出した模様。
「この数日,町を動揺させた戦闘は激しいものだった。未だ市中心部で続いている」,Hizbul IslamのShuriye Farah Sabriyeは語る。
政府側Tawane Hure大佐は,Al-Shabaab兵がHizbul Islam兵を支援しているとする。現状,全市を支配する力は―うん,双方にない様子。なお戦闘は4日目に突入する見込み。エチオピアとモガディシュの結節点にあるベレトウェインの支配権はしばしば移り変わるので,日々の情勢をあまりに重視するのは考えもの。
とはいえ,面白い状況が発生してまして―Ahlu Sunnaの主張では,Hizbul Islam最高幹部の一人Sheikh Ahmed Madobeが対アルシャバブ戦を戦うため,Ahlu Sunnahにjoinするとのこと。
「我らが兄弟Sheikh Ahmed Madobeは,Hizbul Islamの一員であるが,我々に合同した。彼は,南部の下Jubba県を奪取するため,アルシャバブと戦う用意ができているのだ」Sheikh Abdullahi Sheikh Abdirahman Al-Qaadiは語る。
付け加えるに,Madobeの兵は,当該地域をアルシャバブの暴虐atrocitiesから解放するため,既に合同しているのだという。
ご承知の通りMadobeは昨年11月,アルシャバブによって下Jubbaから追放されました。ケニアから作戦してアルシャバブと戦おうとするわけです―アルシャバブに,『お友達のキリスト教徒のところにいきなよw』なんて侮辱をうけながら。
アルシャバブとしては,MadobeはHizbul Islamの一員ではなく,エチオピアからの援助を受ける者と理解します。かつての同盟者だったんですがねー。
さて,ここに至る過去の事情については,当blogの「ジュバランド」カテゴリでもあさっていただくとして―
―これは奇手ですな。
確かに,Madobeが同盟者を求めてAhlu Sunnahと手を組む,のは決してありえないこととまではいかないでしょう。
しかし,Madobeからの公式声明はまだない様子。
Madobeとしては,別に本当にAhlu Sunnahと結んでいなくてもよいのだ。声明する必要も,必ずしもない―暗黙の同盟という可能性だって不可能じゃないだろう。もちろん,誠実な同盟者として合同したという声明を出してもよいが。
アルシャバブは,Madobeの声明のあるなしに関わらず,Madobeの攻勢に対して今以上の警戒を(さらには兵員を)割かねばならない。つまり,その分,対Ahlu Sunnah戦線に割く力が減る。
するとAhlu Sunnahは,一片の言葉で持ってアルシャバブに二正面作戦への備えを強要することになるわけで―
これは奇手,妙手ですなあ。
まーその,アレな子が某掲示板の場末あたりで『マドベが裏切り者だなんてこと(自分には)わかってたけどね』的なことを独り愚痴るのが見えるよーな気が致しますが―しかしアルシャバブは完全に「身から出たさび」というか,「自業自得」というか,まーそんなもんとしか。
教訓。「戦利品(都市の利権)はきちんと仲間内で公平にわけましょう」。けちったおかげで,キスマユのアルシャバブは好き好んで多正面作戦を呼び込んでしまいました。だからここまでのあほをどーやって弁護できるのかと。
Shabelle Media Network Heavy fighting kills 8, injuries 10 others in Beledweyn town Posted: 1/12/2010 3:49:00 PM
ベレトウェイン中心部Liq-Liqato橋(町を東西に分けるもの)周辺で激しい戦闘。ここを支配する者がベレトウェインの支配者になる,かも。
Shabelle Media Network Ahlu Sunna official: ‘fighting breaks out between Warholo and Wabho villages’ Posted: 1/12/2010 10:48:00 AM
アルシャバブは火曜朝のWabho・Warholo村での戦闘の存在を認めない方針。
1月10日に始まりました中部ソマリアHiran県都ベレトウェインをめぐる(周辺地域の)戦闘は連日続き,拡大傾向にある。全体的には攻め手のAhlu Sunnah Wal-Jamaaが優勢に事を進めている感。未確認情報ながら,このタイミングでHizbul Islam最高幹部の一員(であった)Madobe氏が反アルシャバブ戦に連帯するとの話がリークされたことは興味ある点(後述)。
まずは11日(月曜)早朝は平穏であったが,この日に戦闘が再燃したとの記事:
Shabelle Media Network Fighting restarts in Beledweyn town Posted: 1/11/2010 11:25:00 AM
Breaking News扱いです(By: Hassan Osman Abdi)。
Ahlu Sunna Waljma’aとHizbul Islamとの間の戦闘が再開した,重火器を使用した音が聞こえるとの地元からの証言。
Ahlu Sunna Waljama’a側Aden Abdulle Awale氏がShabelle radioに語って曰く,Hizbul Islamの兵が彼の側の陣地に攻撃を仕掛けたのであり,自派はこれを防御したのである。
他方現地HizbulIslam議長Shurie Farah Sabriyeがいわく,前日に攻撃を仕掛けてきた連中を追跡した結果,戦闘が生起したのである。彼は戦闘の事実を認める。
Shabelle Media Network Ahlu Sunna forces recapture east of Beledweyn town once again Posted: 1/11/2010 3:38:00 PM
数時間後の報道(By: Hassan Fantastic)。暫定政府・Ahlu Sunnah側がベレトウェインの一部を再奪取したとのこと。Ahlu Sunna Waljama’a側の主張では,市中心部の重要拠点―警察署など―を奪取したと。
現地住民の報告では,市東部での戦闘は激しく,また中心部でも戦闘は続く。
戦闘当事者の公式コメントは,この時点ではないようだが,Hizbul Islamの兵は(多くは?)市を出た模様。なので住民としては再編成→戦闘再開の流れを恐れる。犠牲者数の確実な数字は言及されず。
こうしたベレトウェインの情勢速報状態のShabelle Media Networkに対して,Garowe Onlineは周辺地域をめぐる事情のまとめ的な記事を我々に提供する:
Garowe Online Heavy fighting erupts in central Somalia, 16 killed Jan 12, 2010 - 12:31:05 PM
これはGarowe Online自社記事。月曜~火曜の戦闘で少なくとも16名の死者,21名の負傷sがが発生したとする。現場は中央ソマリアの村々―Wabho村はGalgadudのElbur市近くの村,Warholo村の名も言及される―。
Ahlu-Sunnahの報道担当者Sheikh Abdullahi Abdirahman Abu Yussufは幾名ものアルシャバブ戦闘員を殺害したとする。「この戦闘は,本日始り本日遅くに終わったが,激しいものだった。アルシャバブ戦闘員の死体のいくつかがそこらに散らばっている」。Warhole村も彼らの支配下にあるとする。
前日の戦闘による死者は10名(以上),戦闘再開前に,埋葬された由。
他方火曜はやくからのWarhole村での戦闘では12名ほどが死亡したとか。Abu YussufはアルシャバブからElburの基地を奪うまで戦闘するとする。「我々はElbur―アルシャバブ支配下にあるが―の支配権を奪うまで戦闘をやめはしない。我々はこの地域からアルシャバブの勢力を除去する用意ができているのだ」。
アルシャバブはこの事態に公式声明なし。基本,こうした表現は声明なしのグループの不利をほのめかすものですわね。
なお以下の:
Garowe Online Sixteen killed in battles in central Somalia Jan 12, 2010 - 7:50:45 AM
は見るからにAFPからの写し記事(末尾に明記してあるし)。本文中に"Related article: Thousands more flee Somalia"なんて文がリンクなしに放置されているあたり,推して知るべし。
ソマリア趣味者として面白い言及があるのは:
Garowe Online Somalia: Fighting continues for third day in Beledweyn Jan 12, 2010 - 1:28:49 PM
ベレトウェインでの戦闘を伝えるこの記事。10名以上が死亡,11名以上が負傷。戦闘は三日も続いており,Ahlu Sunnaの助勢をうけた暫定政府兵も進出,反政府側と戦っている模様。
目撃者によれば戦闘員・民間人の死体が町の通りに散見される。民間人は多くは街を脱出した模様。
「この数日,町を動揺させた戦闘は激しいものだった。未だ市中心部で続いている」,Hizbul IslamのShuriye Farah Sabriyeは語る。
政府側Tawane Hure大佐は,Al-Shabaab兵がHizbul Islam兵を支援しているとする。現状,全市を支配する力は―うん,双方にない様子。なお戦闘は4日目に突入する見込み。エチオピアとモガディシュの結節点にあるベレトウェインの支配権はしばしば移り変わるので,日々の情勢をあまりに重視するのは考えもの。
とはいえ,面白い状況が発生してまして―Ahlu Sunnaの主張では,Hizbul Islam最高幹部の一人Sheikh Ahmed Madobeが対アルシャバブ戦を戦うため,Ahlu Sunnahにjoinするとのこと。
「我らが兄弟Sheikh Ahmed Madobeは,Hizbul Islamの一員であるが,我々に合同した。彼は,南部の下Jubba県を奪取するため,アルシャバブと戦う用意ができているのだ」Sheikh Abdullahi Sheikh Abdirahman Al-Qaadiは語る。
付け加えるに,Madobeの兵は,当該地域をアルシャバブの暴虐atrocitiesから解放するため,既に合同しているのだという。
ご承知の通りMadobeは昨年11月,アルシャバブによって下Jubbaから追放されました。ケニアから作戦してアルシャバブと戦おうとするわけです―アルシャバブに,『お友達のキリスト教徒のところにいきなよw』なんて侮辱をうけながら。
アルシャバブとしては,MadobeはHizbul Islamの一員ではなく,エチオピアからの援助を受ける者と理解します。かつての同盟者だったんですがねー。
さて,ここに至る過去の事情については,当blogの「ジュバランド」カテゴリでもあさっていただくとして―
―これは奇手ですな。
確かに,Madobeが同盟者を求めてAhlu Sunnahと手を組む,のは決してありえないこととまではいかないでしょう。
しかし,Madobeからの公式声明はまだない様子。
Madobeとしては,別に本当にAhlu Sunnahと結んでいなくてもよいのだ。声明する必要も,必ずしもない―暗黙の同盟という可能性だって不可能じゃないだろう。もちろん,誠実な同盟者として合同したという声明を出してもよいが。
アルシャバブは,Madobeの声明のあるなしに関わらず,Madobeの攻勢に対して今以上の警戒を(さらには兵員を)割かねばならない。つまり,その分,対Ahlu Sunnah戦線に割く力が減る。
するとAhlu Sunnahは,一片の言葉で持ってアルシャバブに二正面作戦への備えを強要することになるわけで―
これは奇手,妙手ですなあ。
まーその,アレな子が某掲示板の場末あたりで『マドベが裏切り者だなんてこと(自分には)わかってたけどね』的なことを独り愚痴るのが見えるよーな気が致しますが―しかしアルシャバブは完全に「身から出たさび」というか,「自業自得」というか,まーそんなもんとしか。
教訓。「戦利品(都市の利権)はきちんと仲間内で公平にわけましょう」。けちったおかげで,キスマユのアルシャバブは好き好んで多正面作戦を呼び込んでしまいました。だからここまでのあほをどーやって弁護できるのかと。
Shabelle Media Network Heavy fighting kills 8, injuries 10 others in Beledweyn town Posted: 1/12/2010 3:49:00 PM
ベレトウェイン中心部Liq-Liqato橋(町を東西に分けるもの)周辺で激しい戦闘。ここを支配する者がベレトウェインの支配者になる,かも。
Shabelle Media Network Ahlu Sunna official: ‘fighting breaks out between Warholo and Wabho villages’ Posted: 1/12/2010 10:48:00 AM
アルシャバブは火曜朝のWabho・Warholo村での戦闘の存在を認めない方針。
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