空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

中地重晴「水俣学の視点からみた…」

2014-05-17 19:42:22 | Weblog
J-CAST ニュース 福島県双葉町で鼻血「有意に多い」調査 「避難生活か、被ばくによって起きた」 2014/5/16 19:18

 話題の論文は:「法政大学学術機関リポジトリ  水俣学の視点からみた福島原発事故と津波による環境汚染」から読める。

宮城県丸森町は,福島県境に接しており,福島原発事故による放射能汚染地域であり,住民には,放射能汚染脳汚染に関するストレスがかかっており,双葉町民と同様の健康障害が出てきていると考えられる」の「脳汚染」がちょっと気になる誤植。

 興味深いのは、総論としては「多重ロジスティック解析を用いた分析結果は,主観的健康観(self-rated health)に関しては,2012年11月時点で,木之本町に比べて,双葉町で有意に悪く,逆に丸森町では有意に良かった」というまとめがあること。

 また、「主観的健康観は双葉町で悪く,精神神経学的症状も双葉町・丸森町で悪くなっており,精神的なサポートも必要であると思われた」も注意したい。

 著者の中地重晴氏は、簡単に過去の論文業績(タイトルのみ)を見てみると、全く華々しくなく、延々とアスベスト汚染等環境問題に携わってきた人のようで、文章は穏当なところをいっている―某漫画のように”放射性物質のせいだ!”と断言したりしない。
2011年3月11日以降発症した病気も双葉町では多く,オッズ比3以上では,肥満,うつ病やその他のこころの病気,パーキンソン病,その他の神経の病気,耳の病気,急性鼻咽頭炎,胃・十二指腸の病気,その他の消化器の病気,その他の皮膚の病気,閉経期又は閉経後障害,貧血などがある」ともあり,”有意な差があるよ”と示唆する病気の名前を列挙していて…

 …常識的には,”放射線一元論”では説明つかないだろうコレ,と思われる(思わせられる)。
 経歴を見ても(熊本学園大学 研究者総覧 中地 重晴),堅実な調査者という印象を持つに足りる。さっくりとでもよいので,話題の論文は読んでおくとよいかも。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« みていた記事メモ(2014-05-17) | トップ | ※講義用材料メモ及び愚痴 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事