60-70年代の学生運動の高揚の理由を「実家が太い」と解した人がいたみたいですけど、これはいかにも「現代風」な解釈だなと感服しました。若い人には想像がつかないと思いますが、あの時代の日本はすごくリッチだったんです。学生運動の財政的基盤は「学生が金を持っていた」ことです。
— 内田樹 (@levinassien) September 12, 2022
教科書的には、社会が豊かになったからこそ学生が造反有理な運動まで展開して解決すべき社会問題が解決したり、解決の見込みがつかなくもなくなったりして運動が下火になった、とするかと。超過激派によるとんでもない暴力事件の連発も、運動に対する一般市民の支持を失わせましたねというのが教科書的理解かと。
そしてこのころには、目指すべき未来=社会主義諸国の諸矛盾も明らかになっていったはずで、これもまた運動が退潮する要因と数えるのが一般的か。
そんなわけで、日本がリッチだったから学生運動ができた―というのは逆だろう、と。多くの者が貧しかったから、富の偏在を指弾する運動が盛り上がるのだろうと。社会の革命がなされるまえに社会の変革が起こって、あれちょっとまって別に革命しなくても毎日真面目に働いてたら給料あがっていかねえかなこれ?と思われてしまったのが―致命傷でしょうかね。
国立大学の授業料が月額1000円。僕のしてた学習塾のバイト代が時給500円。2時間働くと月謝が払えたんです。どんなバイト先も仕事が増える一方で「猫の手も借りたい」。仕事ができるなら誰でも雇ってくれた。僕のいた塾は学生70人で回してましたが4分の1が過激派学生でした。
— 内田樹 (@levinassien) September 12, 2022
高級な大学の学生さんにはそのとおり、でしょうかねえ…。バイトしてれば結構いけた、というのは実感だったのでは。
キャンパスでは角付き合わせていた党派でもバイト先では休戦して仲良くお仕事してました。お金があれば親元離れてアパート借りて誰にも監視されない生活ができる。学生に可処分所得があると統制が効かないということに政府が気づいたのはだいぶあとになってからです。
— 内田樹 (@levinassien) September 12, 2022
とまあ、政府の陰謀一元論へと、この辺で転化していくのはちょっとまあその。
学生を貧乏にすると過激化を防げることに気づいた政府は学費値上げを政策的に仕掛けました。月額1000円を3000円にするなんてじゃぶじゃぶ国庫に税金が入ってくる時代に全く不要な政策でしたが、学生たちの自由度は下げられました。親が金主になると子どもをうるさく監視するようになる。
— 内田樹 (@levinassien) September 12, 2022
「教育投資」をしているつもりになると親は「ちゃんと大学に行ってるのか」「単位は足りてるのか」「卒業できるのか」と子どもの生活にいちいち干渉するようになる。「苦学」という選択肢が困難になるのと学生運動の退潮はシンクロしてました。
— 内田樹 (@levinassien) September 12, 2022
学生運動の退潮の諸要因は、まずは前掲の通りかと。
50-60sは戦争の影響もあって母子家庭が多かったという事情があり、結婚式に出ると新郎新婦ともに父は早逝ということも多々、その方々が長男長女の場合は中学生卒で奉公、余裕があれば工業高校→工員/商業高校→行員というのがある種のエリートコースだったり、と関西の町工場や鉄工所で聞いた昔語り…
— 河東竹緒 (@rivereastbamboo) September 13, 2022
学生運動を評価するも否定するもスタンス次第でしょうけど民俗調査派的には「学生に占拠された学舎に踏み入ったら夜伽の部屋まであった」という回顧譚を複数の教授から聴いたあたりで「お腹いっぱいです、ごちそうさまでした。もう食べられません」って胃もたれがちに興味を失くした経緯があるのよね…
— 河東竹緒 (@rivereastbamboo) September 12, 2022
とまあ。「学生運動側の信頼性を貶めるために捏造された性醜聞」的なお話が…ですね…これがまあ…(頭を抱える)。
…当時はそれなりに誇らしげに口にしていたものでしょうがね…しかしですね当時の価値観からしても恐らくちょっとねぇ…(引き続き頭を抱える)。
私は学生運動そのものを否定する気はありませんし、本気で社会を変えようと取り組んだ学生達の意欲もある程度共感できます。ただ革命だ共産主義だと大言壮語を掲げておきながら、どうやって体制を変えるのか、どうすれば国民は理解してくれるのかという視点が彼らには決定的に欠けていたように思えます
— 本気半分トマタマ半分 (@berry2010528) September 13, 2022
つ「ぼくたちは明日のジョーなので飛行機をハイジャックして北朝鮮にゆき、北朝鮮を革命してぼくたちの味方にして世界の革命へまい進したいと思います」
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