空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

豊洲・築地をめぐる広報・報道とその立場とのメモ

2018-10-13 12:03:58 | ノート
朝日新聞 豊洲 新時代へ船出 広さや衛生管理一変 2018年10月12日11時56分

飲食店のような内装の仲卸「石司」では、店頭で生マグロがさばかれていた=11日午前6時40分、豊洲市場、樫山晃生撮影」という写真キャプションだけでも、既に相当の情報が。

市場業者でつくる豊洲市場協会の伊藤裕康会長(83)も記者団に「思っていた以上に順調に開場できた。築地と比べ衛生的。みんなで知恵を出して使いこなし、栄える市場を目指す」と語った。建物の壁がない「開放型」と呼ばれた築地と違い、豊洲は衛生管理のため、低温を保った屋内で営業する構造だ

 とにかく衛生への配慮は進展したものと思われる、そんな文章・感想が入る。

レイバーネット OurPlanet-TV : 「豊洲市場が開場~2年延期も課題山積」 Last modified on 2018-10-12 14:59:06

問題は湿度。屋根も壁もない開放式だった築地市場とは違い、豊洲市場は厚いコンクリートで覆われた閉鎖式。通気が悪く、マグロや魚にカビでも生えたら大変だ、と不安の声もあがっています

 と、こちらは批判的な見地から報じる。
 レイバーネットは、最後の編集後記で

「ここは残り少ない、人間らしく棲める町」
 昨年、写真展「築地魚河岸ひとの町」を開催した写真家で映画
監督の本橋成一さんが語った言葉です。本橋さんは浅草のお寿司
屋さんに連れられて初めて築地を訪れ、1980年代から15年に渡り
築地の写真を撮り続けてきました。
 さまざまな人が行き交い、受け入れあう町。人間関係が希薄に
なりがちな現代社会で、築地は本来の町のあり方を見せてくれた、
と言います。豊洲へ移ることで、そういったひとのつながりが無
くなってしまったら残念、と仰っていました。活気溢れる築地の
様子と、インタビュー、ぜひご覧ください。(高木)


 と書いており、問題意識がどこにあるのかを示唆するところがある。
厚いコンクリートで覆われた閉鎖式」の現代的な建築・支配システムでは「人間関係が希薄になりがち」なのだ。だから「本来の町のあり方を見せてくれた」築地の方が、この点では優れているのであり、そこから離脱するのは残念である、むしろ築地こを維持すべきだ、人間性のために―。
 ―というものだろう。

 まあその、技術や生活水準、規則の変容でだんだんに”昔ながらの”制度が消えていくのであり、惜しむ気持ちも悲しむ気持ちもわかるのだが、単純な回帰願望や旧例固守に留まりかねない。なんとか合理的な改良を、というのが大勢なのではないかなあとも思われる。

 築地主義者というか、反豊洲の立場らしいひとの豊洲攻撃・築地擁護の類の言葉がまあ、ひどくて、というか物凄くて―







 …「あ、おそらく、アナタのお宅の近くにはドブネズミなんかいないんでしょうね!」と言いたいかな。



 流した生ゴミを全てドブネズミが消費するプラントでもあればまあいいんですが、そこはそれこそ、築地は開放的なのであり、人間側の希望通りに生ゴミ消費はしてくれないのではないか。




 これは運動家のためにする議論といわれそうだなあ。



関連:togetter「東京中央市場労働組合長・中澤誠氏、豊洲市場の排水溝を詰まらせ「取り壊して建て直せ」→今までは排水溝にビニール袋まで流してたの?

 今までどおりの生活を、今までどおりのやり方を…そのように言い募るだけの人々を、我々は老害などといわないだろうか。社会・生活の改善を考えもしない、適応できない、拒絶する彼らにのみ合わせるのだとしたら、なんというか非合理主義というのではないか、それは。

 少なくとも、合理主義者の宗教としての共産主義とは相性が悪そうなんだが、レイバーネットはどうもこの点、反資本主義的ではあれ、反近代的、反現代的の気配がある。

 ―労働者等々の小さな声を丁寧に拾うのはよいのだが、その全てをそのまま増幅するのは難であり、記者は一定の取捨選択をすべき局面に直面するものなのであり、その際の基準はまずは科学と合理である―というのが古典的共産主義者なのではなかったかなあ、と思うのだが。

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