空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

ジョウハル:イスラミストは仲間割れ

2008-09-01 02:54:44 | ソマリア関連
 しばらくチェックしてなかったらハルゲイサの具合が悪くなってたようでびっくりなのですが(SomalilandTimes Hargeysa Is Calm AgainJuly 12, 2008),他方南部ソマリアでイスラミストの仲間割れが起きたということにはあまりびっくりしない私だったり(深夜の挨拶)。

Garowe Online Somalia: Divided over Djibouti Agreement, Islamists fight in Jowhar Aug 31, 2008

 というか遂に来るはずのものが来たなと言う感ですね。

 まずは事実関係の報告。中Shabelle県都ジョウハルはここ数ヶ月の間,イスラミストの支配下にありますが,8月31日日曜日,派閥抗争によって少なくとも2名が死亡。
 モガディシュ北方90kmに位置するJowharですが,イスラミストの県知事Sheikh Dahir Addow Alasow配下の民兵と,別のイスラミスト指導者Abdullahi Moallim Muktarのボディガードが衝突。

 地元ソースに拠れば,県知事Sheikh Dahirは,暫定政府とイスラミストとの合同治安維持部隊がJowharに近日到着するというレポートに反対の意見をしめす。


 …つまり,ジブチ合意でそーいう構想があったというわけで。エチオピア軍が120日以内にですか,撤退後,治安維持の責任は暫定政府とジブチ合意に従うARSジブチ派民兵で担うというわけですね。

 この記事の様子から見て,県知事Sheikh Dahirはエリトリア派,Abdullahi Moallim Muktarはジブチ派というわけだ。

 ともかくジブチ派は,ARSメンバーのうち半数以上を囲い込んでいる(エリトリアから出てきた,ともいう)。彼らはそれぞれ,民兵指導者だったり族長クラスだったり,ともかくソマリア指導層であるのは間違いない。
 当然,ソマリア地元でも,彼らに従う分子が存在するはずで―過激派の行動は大変人目を惹きますが,穏健派の行動は如何様に出ようかと注意していたところです。

 そうしてでてきた事件がこれ,数ヶ月に渡って安定的に支配できてきたJowharでの仲間割れ。イスラミスト過激派にとっては些か気になる失点と言うべきか。これは勝利者間の権益闘争と言うのではむしろなく,ソマリアの近未来像を巡る衝突と考えるのが正しいかと思います。

 …まぁ…陰謀論者がこの件を目に留めれば,きっとまたぞろ『**国が陰謀を巡らして離間を講じ』だとか言うんだろうけど…。まぁ…ジブチには米国の基地がありますけどね…ジブチ派のような穏健派は暫定政府に協力せしめるべきであるというのが公式見解だったりするようですけどね…。

 ともあれ,日本の陰謀論者たちは『アメリカの対テロ戦争第三の戦線』(苦笑)ソマリアのことなんか碌々注意していないようですので,ソマリア趣味者の私としては,深淵を見ずに済むので気楽なものです。

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