空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

GSOMIA破棄:某(私 は 要請どおり発言を控えてみてあげよう…)

2019-08-29 22:56:18 | Weblog
 …と思ったか、どうだか…。

中央日報 韓国政府、ハリス大使呼び「GSOMIA懸念、自制を」要請(1) 2019年08月29日07時24分

韓国政府の韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了決定に関連し、米国が「強い憂慮と失望」を何度も明らかにしたことに対し、韓国の趙世暎(チョ・セヨン)外交部第1次官がハリー・ハリス駐韓米大使に「公開的で反復的な失望の表示を自制してほしい」と要請したと政府消息筋が28日、伝えた。外交相手国、特に同盟国にメッセージの発信自制を要請するのは極めて異例だ。韓日葛藤から触発されたGSOMIAおよび独島(トクド、日本名・竹島)訓練イシューによって韓米の間にギクシャクした雰囲気が漂っている様子だ

消息筋によると、趙次官はこの日午後、ソウル都染洞(ドリョムドン)の外交部庁舎でハリス大使と面談し、「GSOMIA終了の決定は日本が先に原因を提供したもので、韓日関係の脈絡で講じた措置だ。韓米同盟や韓米関係に否定的な影響を与えようとするものではない」という政府の立場を改めて説明した。また「それでも米側から失望感を表現する、公開的で反復的なメッセージが出てくるのは、韓米同盟強化に資するところがない」とし「すでに米国の立場は韓国政府に十分に伝わっているので、このような形の公開的メッセージの発信は自制してほしい」と要請した

 …うん…僕もね、「韓米同盟や韓米関係に否定的な影響を与えようとするものではない」というのが、”我々は米韓関係に否定的であろうとしているのではない”という意思の問題であれば、うん、そうなんだろうなあと思うんだ。けれど、GSOMIA破棄ということが持つ影響としてどうかというのは、韓国政府の意図とはまた別に存在しうるものでね…。

 で。
「ちょっとアンタ、黙ってくれる?」と言われた側はちょっと黙ってあげる気になったらしい:



NHK 米駐韓大使の講演キャンセル 韓国政府の求めに不快感か 2019年8月29日 19時39分

ハリス大使は29日、韓国の退役軍人らでつくる団体の会合で朝鮮半島情勢と米韓同盟をテーマに講演する予定でしたが、急きょ、キャンセルとなり、団体側はNHKの取材に「急変した情勢を受けて、28日延期を決め、アメリカ大使館側に伝えた」と説明しています

韓国メディアは28日、ハリス大使が韓国外務省のチョ・セヨン(趙世暎)第1次官と会談した際、韓国側から日本との軍事情報包括保護協定の破棄決定や韓国軍が島根県の竹島の周辺海域で行った訓練を批判しないよう求められ、これにハリス大使が不快感を示したことが理由ではないかという見方を伝えています

 日本語の文章として、ハリス大使ご自身がキャンセルしたとは断言しかねるといえるくらいに微妙に書いてありますけど、この気配りもさほどの意味をなさないかも。
 まあその、「喋らないことで意思を表明する」なんてのはそれなりにありふれた手法ですよねー。

 そしてハリス大使の発言の機会がキャンセルされた一方で―

中央日報 米下院外交委員長「GSOMIA破棄、文大統領に懸念」 2019年08月28日07時41分

エリオット・エンゲル(民主党・ニューヨーク)米下院外交委員長は今月24日(現地時間)に声明を発表し、「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、米国同盟国の間の地域安全保障脅威に対する共通の認識に寄与し、さまざまな困難にも推進された重要なGSOMIAを終了する決定を下したことに対して深く懸念する」と明らかにした。これに先立ち、米政府も国務省報道官のコメントを通じて、韓国政府を2度公開批判(「文在寅政府の決定に深刻な懸念と失望」「米軍に対する脅威を増加させること」)した。エンゲル氏は「今回の決定は協定脱退の正当性を考慮するとき、特に問題」とし「これはソウルと東京が長年の歴史問題を(安全保障懸案と)分離することに失敗したことを見せている」と話した。あわせて「韓日だけでなく、地域全体に影響を及ぼす実質的な国家安保協力を阻害するよう放置したことは無責任なこと」と付け加えた

 米本土で下院外交委員長だとか、まあその、ごっつい肩書きのひとたちが発言する。そしてそれをメディアが拾ってくるのである。

米民主主義防衛基金(FDD)のデービッド・マクスウェル上級研究員は26日、中央日報の電話取材に対し、「GSOMIA終了はトランプ大統領の韓米合同演習は『完全な金の無駄使い』という発言とあわせて、金正恩(キム・ジョンウン)に『今日はうれしい日』だとシャンパンを開けさせるようなこと」と話した。在韓米軍・在日米軍で服務の経験がある特殊戦部隊大佐出身のマクスウェル氏は「米韓日のリアルタイム情報共有が重要なのは、各国の情報差を補完して情報の判断を正確に下すことで、北朝鮮の脅威の兆候・警報態勢を強化するためのもの」としながら「3国間の情報共有縮小は米軍はもちろん、3国のどの軍隊もはるかに大きな危険にさらすこと」と強調した

 米韓のみならず日本の軍隊も危機にさらすだろ、という。

「文在寅政府は国家安保よりも政治的支持基盤を前面に出した今回の決定で、米国との防衛費分担金交渉でも弱い立場に立つことになった」とし「米国交渉チームが『韓国が防衛に専念しない』としてボルトン氏が提示した通り、50億ドル(約5300億円)全額を出すよう要求する可能性がある」とした。マクスウェル氏は「韓国政府が国家安保的背任行為を続けるなら、最悪の場合、在韓米軍の縮小はもちろん、撤収にもつながる」という警告も付け加えた

 まあ、保険料は高騰しますわな。

外交分野の元老ロバート・アインホーン元米国務省特別顧問(核不拡散担当)も中央日報の取材に対して「米国は韓日紛争の起源が何で、特にこれが韓国の人々には途方もない感情的問題である点を理解する」としつつも「両国は直ちに自己破滅的な行動を中断して緊張緩和に出なければならない」と促した

 とまあ、自己破滅的行動とまで。酷評というでしょうな、これ。

 …ほんと、なんでまた、こんな自己破滅的で非合理的な決断を下したものだか…思考の理路はそれなりに理解しますが、重大な認識不足や重大な認識の誤りを多々含んでいるように思います。

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