初めてあのトレイルに行ったのは2006年の3月。河津桜が満開の時だった。
 当時発刊されていた「MTBマガジン」のスタッフだったノゾムが、伊豆にすごくいいトレイルとツアーガイドがいるよと教えてくれて早速コンタクト。ルートがいくつかあるということなので、できるならたっぷり楽しみたいということで、トレイルストアのツアーとしては初の1泊2日のツアーとなったのだよなあ。

 それまでに伊豆半島のトレイルは何度か走ったことがあったんだけど、印象としては「斜度がきつい、短い」だったのが、この2日間でそんなイメージを180度ひっくり返すぐらい衝撃的なトレイルとプロのガイドによるツアーの素晴らしさが強烈に印象に残ったことを今でも忘れられない。
 最初は林間のトレイルで斜度が絶妙。常に遊びの要素が出てくるこのトレイルは、広い尾根についているので危険度も低く、ほんとにすばらしいトレイルだと思った。こんなトレイルがずっと続いたらいいなあと思いながら走ったことを覚えてる。
 でも、林をぬけたところにある展望台に立った時、このトレイルの本当の素晴らしさが目の前に広がった。こんなところ見たことない!。ひらけたトレイルがずっと続き、遠くまで見渡せた。そしてその先は海。また、後ろを振り返ると天城の山々。とんでもない場所に来た!と思った。
 道幅があって、芝のジュータンの上を走り抜けるトレイルはまるで雲の上を走っているよう(走ったことないけど)。目の先は海。ピークに到着するたびにため息がでるような風景が目の前に広がる。トレイルはまた様相を変えて、今度はテクニカル。そしてジープロードと続き、最後は山里を抜けて、川のわきを走り、海辺まで。
 良質なドラマのようなライドだった。こんなトレイルは他にはないと思った。世界にも誇れるトレイルだと思った。それをプロデュースしてくれたアロハバイクトリップのスタッフは本当に素晴らしいと思った。
 それから何度あの場所をライドしたかわからないけど、いつ行っても果てしなく楽しい場所、でした。最後に走ったのは去年の5月のツアーだったな。

 ずいぶん以前から風力発電の風車建設の話はあったので、いずれはこういう日が来るかもと思っていたけれど、現実のものになってしまうと寂しいし悲しいし残念。風力発電自体はこのご時世だし賛成も反対もない。けれど、あのすばらしい場所には建てて欲しくなかったというのが正直な気持ち。

 風車ができたあと、あの場所はどうなるのかな。また、すばらしいトレイルが復活するのかな。そうなるといいなあ。と思いながら、今までたくさんのすばらしい体験、そして感動を与えてくれたDOWN TO OCEANトレイルに心からありがとうと言いたいです。

 DOWN TO OCEANトレイルは走れないけれど、いつかまた走れるようになるといいけれど、トレイルストアではこれからもアロハバイクトリップのガイドによる、すばらしいツアーを開催していきます。