大田市仁摩町宅野に門を構える「浄土真宗本願寺派寺院:龍善寺(りゅうぜんじ)」。『阿弥陀如来』を本尊とします。
こちらの本堂には、明治期に制作された鏝絵が飾ってあるとお聞きしてやってきました。鏝絵は本堂の中と言うことで拝見は無理かもと思いつつ、それでも勇気を振り絞って庫裏を訪ねたところ・・・なんと!応対して下さった住職様は快く本堂の扉を開けて私たちを招き入れて下さったのです。
飾られていた鏝絵は二枚、一枚目は『河行清五郎』が明治37年に製作した「龍」。 荒れ狂う波間から半身を見せる漆黒の龍。龍の背景には雪の様に散る白い波しぶき。
波間から突き出た手が掴もうとしているものは何なのか・・・
澄み切った漆黒の目に映るものは何なのか・・・・
もう一枚は『大門新作』が明治44年に制作した「牡丹に唐獅子」。これもまた明治時代の作品とは思えないほど美しく色鮮やかで、保存の良さがうかがえます。
満開の牡丹の花の間を駆け抜ける獅子は、満面の笑みを浮かべて後に続く獅子を見返ります。
後ろに続くのはその顔立ちからして仔獅子でしょうか。遅れまいとしながらも、ついつい甘い牡丹の香りに誘われて遊び心が刺激されてしまうのです。
鏝絵の写真が撮りやすいようにと脚立まで用意して下さり、さらに説明まで丁寧にしていただきました。思いもかけず間近に美しい鏝絵を堪能させて頂いたこと、本当に感謝しております。無信心ゆえの無礼も有ったことと思いますが、終始やさしく対応して下さった住職様。ささやかなブログの中からですが、改めて心からお礼を申し上げます。有難うございました。
訪問日:2011年5月16日