伊東市八幡野、国指定天然記念物の社叢に守られて鎮座される「八幡宮来宮(はちまんぐうきのみや)神社」。 御祭神は『誉田別命(ほむたわけのみこと)・伊波久良和氣命(いわくらわけのみこと)』。
「此の地に鎮ります八幡宮来宮神社は、その創立を悠久の昔に発し、郷党衆庶の尊崇篤く、神威赫々として今日に至った古社である。
八幡宮は誉田別命(応神天皇)を祀る、神護景雲3年大宰の廟官阿曽麻呂が一国一社と定めて正八幡宮を勧請した際の伊豆国の代表八幡宮であって明治6年郷社に列列せられた。
来宮神社は伊波久良和気命を祀り、古来来宮大明神と崇められた延喜式神名帳所載の神社である。
もとは海岸の堂の窟に祀られていたが、後に八幡宮神域に奉遷され、明治9年郷社に列せられた。元来両社は別殿であったが、延暦年間本殿再建の際に二殿両扉の現在の姿になったと言い伝えられていて当社は一殿にして二社である。」社頭掲示より
濃く深い緑の懐に抱かれるような静寂の中、下界の音もここまでは届かないのか、耳に聞こえるのはただ静かに雨に濡れた苔むす参道を進む、私たちの息遣いのみ。やがて手水舎の手前に、天を衝くようにそびえる御神木の千年杉。
石段の正面、すっきりと美しく静かに佇む入母屋造の拝殿。
石段の上左右より神域を守護されるのは江戸流れタイプの小ぶりな狛犬さん一対。毬に手を重ねる阿形さん。考え深げな顔で四肢を踏ん張る吽形さん。
対の画像が無くて残念なのですが・・阿形さんのこの表情がとても好き。
御神木の前左右より神域を守護されるのは、全体が深い森の色に染まった端正な佇まいの狛犬さん一対。「文久二年(1862)十月吉日」の刻。
深い深い神域の緑に抱かれて150年余の歳月を過ごされてきたその表情、美しいというのは語弊があるでしょうか?
国指定天然記念物「八幡宮来宮神社社叢」、八幡野の「リュウビンタイ」。大型のシダ植物であるリュウビンタイは、この八幡宮来宮神社社叢が日本列島における北限自生地だそうです。
小雨交じりの神域は静かで清らかで・・その分、デジカメをもって動き回るにはかなり制限がかかります。雨に濡れた苔の石段は、油断すると事故につながりかねません。画像は少なくても参拝できた事を僥倖としなければ。
参拝日:2011年11月10日