総社市上林にある真言宗御室派寺院「日照山:備中国分寺」。『薬師如来』を本尊とします。奈良時代に聖武天皇の詔により日本各地に建立された、備中国国分寺の後継寺院にあたります。
お恥ずかしい話ですが、ここに現存する寺院がある事、この時の参拝で改めて知りました。まぁどの観光案内を見ても、出てくるのは季節の花に彩られた「五重塔」だけ!の写真。普通に寺院があった事を考えていなかった私が物知らず過ぎたのです。
寺伝では、廃寺となっていた国分寺を天正年間(1573~1592)に「備中高松城主・清水宗治」が再興。その後衰微しますが、江戸時代中期の宝永年間(1704~1711)に再建されたと伝えられています。
岡山県指定文化財「経蔵」
折角の御縁でお参りさせて頂きましたが、何と言っても今日の目的は、国重要文化財でもある岡山県内唯一の「五重塔」。
高さ34.315メートル。南北朝時代に奈良時代の七重塔(推定高さ50メートル。塔跡が残る)を焼失したのち、文政4年(1821)に位置を変えて再建を開始、弘化年間(1844~1847)に完成。
江戸時代後期の様式を濃く残すその姿は、背景を選ばない壮麗さで吉備路の景色に溶け込んでいます。
あと一月もすれば、ここは一面の黄金色に染まるでしょう。人々の命を紡いできた実りの向こうに高く聳える五重塔・・想像しただけで心が躍ります。
訪問日:2007年9月22日
国指定史跡である備中国分寺跡は、聖武天皇が天平13年(741)に仏教の力を借りて天災や飢饉から人々と国を守る「鎮護国家」を目的に建てられた官寺の一つ。その当時の境内は、東西160m、南北178mと推定されますが、南門・中門以外の建物の位置は明らかではありません。