車泊で「ご当地マンホール」

北は山形から南は大分まで、10年間の車泊旅はマンホールに名所・旧跡・寺社・狛犬・・思い出の旅、ご一緒しませんか。

からむし織の里 in 福島県昭和村

2024年12月30日 08時00分00秒 | 神社仏閣・名所・観光・福島県

昭和村佐倉上ノ原にある「道の駅からむし織の里しょうわ」。からむし織の文化を伝える施設として、奥会津昭和村振興公社が2001年より運営。2014年に道の駅に登録されました。

「古代布 からむし織」

着物好きな人ならさして不思議にも思わない名称ですが、上布や伝統工芸に興味ない人には「からむし=殻虫・唐虫・カラムシ」と変換する人もいて、認知度の低さに逆に驚かされました。まぁ・・確かにムシと付くと止むを得ない気もします。前置きが長くなりましたが「からむし」は、イラクサ科の多年草で「苧麻(ちょま)」とも、また茎からとれる繊維の名称から「青苧(あおそ)」とも呼ばれます。現在、本州では昭和村が唯一の産地であり「小千谷縮・越後上布」の原料にも用いられています。

棒ガヤの垣の中の「昭和村からむし」。え??、これって抜いても抜いても生えてくるあの厄介な雑草じゃないの!?と思われたアナタ。ええ、その感想、多分間違っていません(笑)。

ところが茎の皮から採れる「靭皮(じんぴ)繊維」はとても丈夫で、績(う)んで取り出した繊維を紡いで糸にし、縦糸と横糸を織って布にすると、着物好きには垂涎の「上布(じょうふ)」になるのです。(績む=繊維を目的の細さに裂き、繋いで糸にする事) 長く着付けの講師をしていた私ですが、7桁のお値段に負けて遂に入手は叶いませんでした。

この苧麻、日本では有史以前から繊維用に栽培されていた事が文献などにも残されており、朝廷や豪族が部民(専門の職業集団)として糸を作るための「麻績部(おみべ)」、布を織るための「機織(はとりべ、はとり)」を置いていた事が解明されています。また日本書紀の、持統天皇7年(693)条によれば、天皇が詔を発して役人が民に栽培を奨励すべき草木の一つとして「紵(からむし)」が挙げられています。

縄文の昔から人間と共に生きてきた植物との営みを伝える「からむし工芸博物館」。館内では、からむしの歴史から、上布で作られた様々な収蔵品が、営みにまつわる道具とともに展示されています。

からむしは、雪がとけた5月中旬頃に根を植え、2年目以降の旧暦4月の中の日を目安に「からむし焼」をおこないます。これは、からむしの発芽がばらばらなので、先に出た芽を焼くと共に根に刺激を与えて一斉に発芽させる為に行います。また、害虫の駆除や焼いた灰を肥料にする意味もあります。

積もったばかりの平らな雪の上に上布を広げる「雪晒し」。太陽の熱によって雪が溶けて水蒸気になる時、殺菌・漂白作用のある「オゾン」が発生。これが布目を通る時に化学反応が起きて繊維が漂白されるという効果を利用したもので、汚れやシミなどを落とし漂白し、柄をより鮮明に浮き立たせるために行われます。

歴史のある「からむし織」は県の文化財に指定。原料となる「からむし」の栽培方法は国の保存技術に選定され、2017年に国の伝統的工芸品に。また、からむし織りのはた音は「日本の音風景100選」に選定されました。

昭和村大芦、からむしの里を後にふと目に留まった「中組山神社」。石段・石灯籠・石鳥居が村有形文化財の指定を受けています。石段下からの拝礼で・・・

山越えの私たちの前に現れた昭和村名水10選の看板。「天狗の冷泉」の名とその由来を読み、そっと手を浸せば思わず肩がブルっと震える。初夏の日差しもここまでは届かないようです。

訪問日:2015年7月2日

コメント (4)
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