三重県四日市市諏訪栄町、諏訪神社に隣接する「諏訪公園」。もとは神社所有の「保光苑」という公園でしたが、明治40年に四日市市に移管。大正5年(1916)には「諏訪公園」と改称し、現在も市民の憩いの広場として親しまれています。
すわ公園の一角を占める建物は、伊勢電気鉄道株式会社の社長や四日市銀行の頭取などを歴任した実業家熊澤一衛氏が、昭和天皇のご即位記念事業として建設し、昭和4年(1929)の竣工後、図書2,000冊を添えて四日市市に寄贈した図書館です。
昭和20年6月18日の四日市空襲では、負傷した人たちを緊急収容するなど、病院として転用されていた時期もありました。
戦後、図書館として復活しましたが、昭和48年に新図書館の開館に伴い同51年から児童福祉施設「こどもの家」が設置され、現在にいたります。建物の両サイドに施されたレリーフは「うさぎの餅つき」。古来より日本では餅つきはハレの日の行事。そう、この兎たちは図書館の完成を祝って餅をついているのです。
そして図書館らしく中央には「2588」の文字が浮き出された本のレリーフ。
この数字は図書館が竣工された「皇紀2588年」を表しています。
天使が肩に捧げる水瓶。水は、多分下の牡牛の口から流れ出るようになっていたのでしょう。長い年月・・良くも無事でいてくれたもの・・・
建物の随所に見られる美しい意匠が、スクラッチタイルの外壁に彩を添えて見る者を魅了します。
このような建物が今も現役で使われている事に感動し、いつまでも在り続けて欲しいと心から願います。
桜と橘のレリーフが施された玄関ドア
ちなみのこの建物・・実は派出所なんです(⌒∇⌒)
そしてこれ・・・二階部分の用途は確認していませんが、下は公衆WC。
公園全体が図書館を中心としてまとまり、開放的な空間を生み出しています。
「すわ公園交流館」は2003年に国の登録有形文化財となりました。願わくばいつまでもこの美しい景色が残されますように・・・
満開の桜の向こうに鎮座される諏訪神社
境内社:政成稲荷神社近くに聳え立つ「誓之御柱」。昭和九年、五箇条のご誓文をもとに地元の篤志家によって建立されました。
一. 広ク会議ヲ興シ万機公論ニ決スベシ(政治を行う際に多くの意見を求めること、政治に関して、全てのことを会議で話し合って決めていく)
一. 上下心ヲ一ニシテ盛ニ経綸ヲ行フヘシ(身分の上下に関わらず、心を一つにして国家を治め整えていく)
一. 官武一途庶民ニ至ル迄各其志ヲ遂ケ人心ヲシテ倦マサラシメン事ヲ要ス(役人・武士・庶民まで身分の違いを超えて、それぞれの志を実現できるような社会を目指す)
一. 旧来ノ陋習ヲ破リ天地ノ公道ニ基クヘシ(古くからの悪い習慣を無くして、世界共通の正しい道理(国際法)に従う)
一. 智識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基ヲ振起スヘシ(欧米の進んだ文明(智識)を求めて、国家を発展させる)
明治天皇が天地神明に誓約する形式で、公卿や諸侯などに示した五箇条のご誓文。黎明期の日本が対面しなければならなかった、国内外の諸事に対する心構え。私の母は「五箇条のご誓文」と「教育勅語」を諳んじて、意味も解せない幼い私によく聞かせてくれたものです。
訪問日:2011年4月10日
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