登山家の田部井淳子著『それでも わたしは山に登る』、感動の一冊だ
11月になったら、多くのお店がクリスマス仕様となっている。街を歩くと、もうジングルベルが聞こえてくる。私がよく利用させてもらうスタバも例外ではない。クリスマス仕様で、店内は赤が基調の色となっている。
火曜日と金曜日はパートナー(スタッフのこと、スタバでの呼称)は、みんな赤いシャツだった。そんなある日のスタバでエベレスト女性世界初登頂者の田部井淳子著『それでも わたしは山に登る』(文藝春秋刊)を読んだ。そして昨日は、その田部井さんの「人生は8合目らがおもしろい」と題する講演を聞いた。そのご報告は、後日。今朝は、読んだ本の感想から。
さて、田部井さんは、2011年に「ガン、あと三ヶ月」との宣告を受ける。しかし他の病院で治せるとの診断で、治療を委ねる。そして、前半の抗がん剤治療を終えて、7月10日に手術。7月19日に退院、7月21日はもう「被災した東北の高校生を日本一の富士山へ」の取り組み参加。そして7月26日からは後半の抗がん剤治療。入院中にもテレビに出演したり公演活動もしている。その気力たるや、スゴイの一語だ。
さて、著書にはそんな手術&闘病記とともに、世界的な山々への登山への経験も書かれていて、グイグイと引き込まれて一気に読んだ。そして、田部井さんの人生の週末について考え方に共鳴した。
田部井さんは書いている。「死に顔は家族以外には見せたくない。家族だけで静かに送ってもらう。(中略)戒名はいらないし、葬式はしないで納まりたい」。私も同じだ。
その田部井さんは、終末期の身辺整理について「いろんなものを見ておくために時間を使いたい。家にこもって身辺整理する時間がもったいない、と私は思う。遺された人、ごめんよ」とも書いている。なるほど、そういう考え方もあるのかと、目が開かれた思いだ。
それにしても、世界的な登山家となっている田部井さんの書かれていることは、とても説得力がある。様々な教訓に満ちていて、たくさんのことを学ばせていただいた。感動の一冊だ。