村木厚子『私は負けない』を読んだ、この本の構成は素晴らしく深く考えられた
今朝から寒い。日中は10度を超えないという。明日もこの寒さは続くという。こんな寒い日は、温かい部屋の中で読書に限る。今読んでいるのは、映画で北川景子が演じた『記憶障害の花嫁』。このことは後日書かせていただく。
さて、今朝は村木厚子(聞き手・構成 江川紹子)『私は負けない 「郵便不正事件」はこうして作られた』(中央公論新社刊)を読んだ感想(最初の転換で「乾燥」と出た、冬だ)。この「郵便不正事件」の村木厚子さんの件については、既に江川紹子さんが構成した2010年の文芸春秋の10月号に掲載された、村木厚子さんの『私は泣かない、屈さない』と題する手記などを読んでいた。それ故、事件の概要や検察が自らひいた「ストーリー」に従った証言を取り固めていくやり方も既に読んではいたが、改めて読んで怒りとともに恐怖も感じた。
この本の中で、「私が冤罪を晴らして社会に復帰できたのは、私が無実だったから、だけではありません。幸運だったからです。無罪になるのは、優秀な弁護人やよい裁判官に巡り会うなど、いくつかの条件が重ならなければ難しいのです。やってもいない罪に問われた時、運を頼みにしなければならないのでは、法治国家としてあまりに残念です。普通に適正な手続きを行えば、無実の嫌疑が速やかに晴れるような、冤罪ができる限り防げるような、そんな仕組みが必要ではないでしょうか」と書かれている。
ここを原点として、本書は構成されている。村木さんの体験記とともに、圧倒されたのは事件の当事者であった上村係長を登場させて村木さんが対談し、かつ上村係長の被疑者ノートも資料として掲載されている。
さらには映画「それでもボクはやっていない」(2007年)の監督である周防正行監督も登場している。「司法改革に必要な3つの課題」を考えるとともに、本を作るとはこういうことだと教えてもらった。ホント、スゴイ本だ。
ところで、この本は市立図書館から借りているが、カバーと帯がつけられてブッカー(透明のシート)が貼られている。いつもは、帯やカバーなどは外されているので、とても嬉しい。難しさはあろうが、今後是非とも帯とカバーもつけて貸し出して欲しいと願った。