井上ひさしの絶筆となった「木の上の軍隊」、尊敬と感謝を込めて観に行った
「2010年4月に他界した日本を代表する劇作家、井上ひさしは、亡くなる直前まで、ある一本の作品を執筆しようとしていた。その作品が、『木の上の軍隊』である。戦争時、沖縄県・伊江島で、戦争が終わったのを知らぬまま、2年もの間、ガジュマルの木の上で生活をした2人の日本兵の物語が描かれるはずであったが、井上氏の急逝により、この舞台はその初日を迎えることはなかった。
本企画は、この実在のエピソードをもとに、才能溢れる若手作家の蓬莱竜太が新たな戯曲を書き下ろし、井上ひさしがもっとも信頼を寄せた栗山民也が演出を手掛ける、井上ひさしに捧げるオマージュ企画である」。
そんな舞台「木の上の軍隊」を5月4日に観に行った。私が心を寄せてきた井上ひさしの絶筆となった「木の上の軍隊」であり、井上ひさしへの感謝と敬意を込めて観劇を計画した。
この舞台は「こまつ座」からのダイレクトメールで知った。そのチラシには、シアターコクーンと銀河劇場の二つが書かれていた。その天王洲・銀河劇場は、これまで行ったことのない劇場であり、てっきり大阪にあると思い込んですぐさま申し込んだ。ホント、田舎者だ。
チケットが届き、劇場の場所を確認した時点で勘違いに気づいた。またまた「老人力」の発揮である。そして銀河劇場での公演はGW後半の4日間のみ。まさにGWの最中であった。それでも3日とか6日ではなかったので、飛行機は予約もできた。
さて、「木の上の軍隊」は、一幕のみで、出演者は藤原竜也、片平なぎさ、山西惇の三人のみ。それにヴィオラの徳高真奈美の生演奏がつく。4人ともずっと舞台の上にいて、休憩なしで進行していく。藤原竜也の舞台を観るのは、今回が初めてだった。素晴らしい俳優だ。加えて、舞台回し役の片平なぎさが何とも魅力的で、ある種深刻な舞台に温かさを醸し出していた。とてもいいお席で鑑賞し、感激させてもらった。
ところで、私がその舞台を観劇した当日の5月4日、NHKスペシャル「ラストメッセージ 井上ひさし“最期の作品”」で、彼が死の間際まで書き上げたいと願っていた未完の戯曲「木の上の軍隊」が上演されるまでのドキュメンタリーが放送されたとのことだ。当日の朝、その舞台を観るために上京する飛行機便に乗ろうとバタバタして、ていねいにテレビ番組欄を見なかったのが敗因だ。録画していないので、観ることができないでいる。悔しい。
それにしても舞台「木の上の軍隊」を観て、井上ひさしが健在で書き終えていて欲しかったと、改めて思った。井上ひさしの冥福を改めて祈るとともに、その業績の大きさもまた改めてかみしめている。今年はもう少しだけ、井上ひさしと向き合ってみようと思っている。
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