もう5~6年前に読んだ小説「博士の愛した数式」です。映画化もされたので、ご存知の方も多いと思います。主人公の数学博士は「1975年以降の新しい記憶は80分、きっちりと一時間と20分だけしか保てない」という想定になっています。
80分容量のドライブレコーダーに順次景色が書き込まれては、古いものから消去されていくのと同じ。大切なことは思い出せるようにと、博士の背広の袖には、付箋がたくさんつけられていました。
数字の並びを美しいとかチャーミングだとか表現する博士。数学者ってみなそうなの?文庫本の最後には、著名な作者の「解説」がありますが、これはあの「○○の品格」で有名になった藤原正彦さん(もちろん数学者)の解説でした。これも読む価値ありでしたね。
さて私のことですけど、元々記憶力に劣るのに、年を重ねる毎にさらに劣化中。。。幸いに仕事中は優秀な看護師が隣にいてくれるので、「あれ」と言えば欲しいものが出てくるし、また「あれ」と言えば、思い出せない患者さんの名前や、薬の名前を教えてくれます。
その一方、机の上で増えていく「これは忘れないように」との付箋。物忘れを自覚し、対処しようとしているから、まだ救われるんじゃないかと思っています。その付箋を妙なところにだけ几帳面な私はきれいに並べたりしています。