全国統計に先んじて発表になる東京都区部の消費者物価指数の2025年1月分の中旬速報値が昨日発表になりました。
対前年同月比の上昇率は
・総合・・・・・・・・・・・・・・・3.4%
・生鮮食品を除く総合・・・・・・・・2.5%
・生鮮食品とエネルギーを除く総合・・1.9%
ということです。
1月の消費者物価指数については全国の1月分が発表になった時、詳細の分析をするとして、ここでは発表資料の中にあるお米”うるち米”(コシヒカリを除く)の対前年上昇率72.8%という数字を挙げておきます。
「コシヒカリを除く」と書いてある理由は解りませんが、平年作だというのにお米の値段が70%も上がるという異常事態になっている理由も解りません。
政府は備蓄米放出もしていませんから昨年秋から50%、60%、70%と東京都区部ではお米の値段が上がってきています。もちろん全国も同じようで12月は64.4%でした。
備蓄米を放出するのは米作が異常な不作でないと出来ないという事で、今回の値上がりは流通段階のトラブルだからとかでごたごたしているようですが、流通段階のトラブルが何なのかは解りません。
JAの買い入れ価格は3割上がっているという情報もありますが、これでは「政策段階のトラブル」でといった方が解り易いような気もします。
困ったことに、日本ではコメは主食で、いわば食生活の中心ですから、それが昨年より7割上がっても政府は何もしないというようのことですと、これからいろいろなものが「つれ高」で上がるのではないかと心配です。
「政策段階のトラブル」と書きましたが、背景となる最大の問題は、政府が減反政策をとっているという事でしょう。コメの収量が上がってコメの値段が下がると政策上困るという事でしょう。
もっと困る問題を言えば、日本の食料自給率はオリジナルカロリーベースで38%しかなく、下がり気味という現実です。原因は農家の高齢化があって、減反よりも耕作放棄地が問題などといわれますが、こんな事は何十年も前から解っていることです。
農家に後継者がいず、高齢化していくのなら農家に期待するのは無理ですから、積極的に農業の法人化で大規模農業にするしかありません。そのためには農地法、農振法を改正しなければなりません。
農家が自民党の「票田」だからといってもそれは細るばかりでしょう。これから来るといわれている世界的食糧難時代に、食料自給率の低下という事では勿論対応不能です。
恐らく主要な穀物で日本が自給率100%を越えられるのは米ぐらいではないでしょうか。
しかも有難いことに、日本のコメはその品質の良さから輸出が急速に伸びていて、絶対量はまだ少ないですが、農水省の統計では最近5年間で2.3倍です。たとえ自給率100%を超えても、備蓄米は、いざとなれば食料援助などの戦略物資としての活用も十分考えられるのではないでしょうか。
米を国内の需給バランスだけで考える時代は終わっているのでしょう。農業政策、特にコメについての新たな国家戦略を考える時が来ているようです