tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

そろそろ農業政策転換の時期では

2025年02月01日 16時18分24秒 | 政治

全国統計に先んじて発表になる東京都区部の消費者物価指数の2025年1月分の中旬速報値が昨日発表になりました。

対前年同月比の上昇率は

・総合・・・・・・・・・・・・・・・3.4%           

・生鮮食品を除く総合・・・・・・・・2.5%

・生鮮食品とエネルギーを除く総合・・1.9%

ということです。

1月の消費者物価指数については全国の1月分が発表になった時、詳細の分析をするとして、ここでは発表資料の中にあるお米”うるち米”(コシヒカリを除く)の対前年上昇率72.8%という数字を挙げておきます。

「コシヒカリを除く」と書いてある理由は解りませんが、平年作だというのにお米の値段が70%も上がるという異常事態になっている理由も解りません。 

政府は備蓄米放出もしていませんから昨年秋から50%、60%、70%と東京都区部ではお米の値段が上がってきています。もちろん全国も同じようで12月は64.4%でした。

備蓄米を放出するのは米作が異常な不作でないと出来ないという事で、今回の値上がりは流通段階のトラブルだからとかでごたごたしているようですが、流通段階のトラブルが何なのかは解りません。

JAの買い入れ価格は3割上がっているという情報もありますが、これでは「政策段階のトラブル」でといった方が解り易いような気もします。

困ったことに、日本ではコメは主食で、いわば食生活の中心ですから、それが昨年より7割上がっても政府は何もしないというようのことですと、これからいろいろなものが「つれ高」で上がるのではないかと心配です。

「政策段階のトラブル」と書きましたが、背景となる最大の問題は、政府が減反政策をとっているという事でしょう。コメの収量が上がってコメの値段が下がると政策上困るという事でしょう。

もっと困る問題を言えば、日本の食料自給率はオリジナルカロリーベースで38%しかなく、下がり気味という現実です。原因は農家の高齢化があって、減反よりも耕作放棄地が問題などといわれますが、こんな事は何十年も前から解っていることです。

農家に後継者がいず、高齢化していくのなら農家に期待するのは無理ですから、積極的に農業の法人化で大規模農業にするしかありません。そのためには農地法、農振法を改正しなければなりません。

農家が自民党の「票田」だからといってもそれは細るばかりでしょう。これから来るといわれている世界的食糧難時代に、食料自給率の低下という事では勿論対応不能です。

恐らく主要な穀物で日本が自給率100%を越えられるのは米ぐらいではないでしょうか。

しかも有難いことに、日本のコメはその品質の良さから輸出が急速に伸びていて、絶対量はまだ少ないですが、農水省の統計では最近5年間で2.3倍です。たとえ自給率100%を超えても、備蓄米は、いざとなれば食料援助などの戦略物資としての活用も十分考えられるのではないでしょうか。

米を国内の需給バランスだけで考える時代は終わっているのでしょう。農業政策、特にコメについての新たな国家戦略を考える時が来ているようです


日本的経営の理念と非正規社員問題

2025年01月31日 10時14分04秒 | 経済

今年の春闘では、賃上げの要求をする連合は勿論ですが経営サイドの代表である経団連も賃上げの必要性を強調しています。

これは大変結構なことで、思い切って少し高めの賃上げをすれば日本経済は随分良くなるとでしょう

更に結構なことは、労使が共に中小企業や非正規社員の賃金の積極体な改善を言って言う事です。 

政府は、もともと賃上げには熱心で、政府の圧力で引き上げ可能な最低賃金についてはこのところ随分無理をして上げてきています。

特に日本社会の「格差社会化」阻止のために重要な、中小企業、非正規従業員の問題ですので、改めて取り上げました。

欧米社会は元々「市民と奴隷」という形を取ってきたようですが、日本には縄文時代から奴隷制度が無かったというのが特徴のようです。恐らく身分差別のない「人間集団」というのが一般的な姿だったのでしょう。

海外から輸入文化が入って来て舶来崇拝の中で制度が作られたのでしょうが、今でも基本的に変わっていないのは「企業は人間集団」という見方です。

欧米では企業は職務の集合体で、その職務に適切な人間を採用するのですが、日本では、好ましい人間を採用して企業の中で仕事、社会性、人間性も磨かれていく、つまり企業が人を育てるのが日本的経営の基本なのです。

明治時代に会社というシステムが入って来て、会社の中では身分制度がありましたが、思い出すのは、戦後の日本経済再建の中で、当時の日経連(現経団連)会長だった桜田武が「戦後、日本企業では身分制を廃し、総て社員とした」と話したり書いたりしていることです。 

その日本の企業社会に今は「正規」と「非正規」という明確な身分がうまれ、しかも非正規の比率が4割近くに高まり、減る気配がないという状態です。

これはどう考えても「日本的経営」の基本からの逸脱ですから、その副作用が必ず出てくると考えてきました。

今それが、就職氷河期の卒業生の中の残された問題という形で、中堅社員の不足、生産性向上への障害、社会の劣化など様々な面で現れているのです。 

たしかに1995~2006年あたりでしょうか、円高不況の日本経済の中では、失業率の上昇を避けることが最優先、雇用の質までは問えない、という現実があったことは否定出来ないとは思います。

しかし、このコスト削減の手法が、為替レートの正常 化以降も続けられたことは。経営者の意識が変化(劣化)した結果ではないかと感じられます。

このブログでは、円高不況で増えた非正規社員は、円レートの正常化とともに復元(正社員化)が起きる予想していました。

残念ながらその予想は、ごく一部の企業を除いて当たりませんでした。そしてようやく今、非正規の賃金問題として気づかれてきたようです。 

しかし、日本的経営の(日本の社会的伝統・文化の)視点から言えば、単に賃上げではなく教育訓練、正規化、生産性向上の積極化です。

遅きに失した感はありますが、日本の経営者が、非正規の正規化問題を企業の社会的責任と考え、本気で取り組んでほしいと思っています。


トランプ大統領とFRB、アメリカ経済と日本

2025年01月30日 17時09分51秒 | 経済

今回のFOMCでは、パウエルさんは政策金利の引き下げはやめて、もう少し状況を静観するようです。

本来ならばFRBは政策金利を引き下げ、アメリカ経済の健全な成長路線を進める方向で考えていたのでしょうが、トランプさんの登場で、一部の国民が熱狂したり、国の政策決定が先行き不透明になったことがあるようです。

トランプさんは、メキシコとの間には物理的な壁ですが、アメリカの周りに関税という名の壁を建設し、国内では石油やガスをどんどん掘って、世界の石油価格を下げれば、アメリカの経済の活性化は可能と考えているようです。

インフレ問題にしても、アメリカの石油やガスの大量産でガソリンやその他のエネルギー価格が下がれば、物価全体が下がるという見方でしょう。

それでトランプさんは、パウエルさんに対してFRBは自分の創り出したインフレを抑えようとして、それにも失敗した、と批判しているのでしょう。

アメリカの石油やガスの埋蔵量がどのくらいかは解りませんが、アメリカが化石燃料を増産して、世界のエネルギー事情にどの程度の影響があるかも未知数ですし、気候変動を意に介せず、パリ協定を脱したアメリカへの批判も予測不可能です。

FRBは最も重要な仕事である金利政策を駆使してインフレを収め、金利を下げてアメリカの経済力を強くすることを考えっているのでしょうら、当面トランプさんの政策を見るよりしょうがないという事になります。

トランプさんは金利には触れませんし、パウエルさんは、アメリカ経済は現状でも良好だから、更なる物価上昇でもない限り、当分の間、金利は現状で動かすべきではないと、トランプ政策を横目で静観という事なのでしょう。

何時までこうした不安定の上の安定が続くのかはわかりませんが、トランプさんは弱いドルより強いドルの方がお好みに合うのでしょう。しかし、現状でもインフレ抑制の効果はあり、FRBが金利引き下げに動ず、当分現状維持のままでもいいのではないかと急がない事を強調しているようです。

こうした状況は日本にとってはどうなのでしょうか。日銀がどう判断しているかは解りませんが、日銀は金利を上げたい方向、FRBは金利を下げたい方向という客観的な事情を考えれば、これは円高の方向を共に促進することになり、 

些か円安に依存し過ぎた日本企業にとっては、急速な円高は望ましくない面もの原所多いでしょう。

政治的にも、経済的にもかなり不安定な要素の多い日本の現状です。出来ればアメリカが当面動かないという事は日本としては政策を取り安くなるという面もあるのではないでしょうか。

日本自身の取るべき政策が、政府と日銀で一致していてくれないと困りますが、金利政策で、徐々に円を強くし、輸出産業は円高への備えを確りやり、アメリカの石油価格を下げるという政策にも便乗し、賃金の引き上げを多少大きくしても輸入物価の下げでコストが相殺されるような状況を作り出す能性も出て来るのではないでしょうか。結果は実質賃金の上昇になります

国際投機資本も動きにくい中で、日本の低賃金と低金利を引き上げるチャンスにすることも可能ではないかなどと考えるところですがどうでしょうか。


リュウキンカ開花、昨年より遅れる

2025年01月29日 20時53分59秒 | 環境

昨日「リュウキンカ」(立金花)の写真が撮れました。

昨年と同じ場所に3輪、一つの株に1輪ずつ花をつけました。

13日に日本水仙を撮った時は、小さな丸い蕾を1つ発見しただけでしたが、昨日は、すでに3輪咲いていました。

25日の土曜日、夕刊を取りに行った際、薄暗い中で1輪咲いたかな、明日確かめようと思っていましたが一昨日27日に見た時は、寒かったせいか、まだ緑色の残った花弁が2,3枚不揃いに出ているだけで「霜にやられたのかな残念!」などと思っていました。

ところが昨日の午後、確かめに行きましたら、3輪揃って元気に咲いているのでびっくりしてさっそく写真を撮りました。

昨日は、大寒なのに春を思わせる暖かさでしたから期待していったのですが、リュウキンカは期待に増して元気に咲いてくれていました。

後から、昨年の写真と比べてみましたら、昨年は4輪で、塀際に1輪でした。塀際の1輪を除くと、あとの3輪は昨年の同じような配置で、撮影の方向が反対という事になっていました。下は昨日の写真です。

ついでに、ブログの日付を見ましたら、昨年は1月30日で、最初の1輪は1月19日開花と書いてありました。

今年は1月13日には、まだかと小さな蕾が1つ発見出来たばかりで、27日にもまだ完全に開いていない状態でしたから、今年の開花は、昨年より数日遅かったようです。

しかし、年々のブログを見ますと、かつてはリュウキンカの開花に気付くのは2月の中旬だったという事が解ります。

矢張り温暖化は、確実に進んでいるようで、気候変動は、日本列島の桜の開花時期のように、我が家の狭い庭の片隅のリュウキンカにも同じ影響を与えて来ていることが解ります。

アメリカではトランプさんが、アメリカが石油やガスを掘りまくれば、アメリカの経済は立ち直り、世界の戦争も終わると言っていますが、片方で、アメリカ湾(メキシコ湾)のハリケーンやカリフォルニアの山火事の被害が巨大化し、アメリカ経済に甚大な被害を齎しているという現実もあります。

気候変動には解らない事もいろいろありますが、敢えて危険を冒さないのも人間の知恵ではないとも思うところです。

しかし、これから4年間、アメリカのやることは、人類社会に無理な実験を強いるようなことも多いようですので、人類は、せめてその実験がどんな結果を生むかを確り見て、将来に役立つ知識や知恵を育てる材料にしましょう。


「民主主義」に「金主主義」を入れますか?

2025年01月28日 12時10分38秒 | 政治

今、世界は民主主義と専制主義(独裁主義)の対立が.露わになっています。しかし個々の人間、その複数形あるいは集団、一般の人々を包括する「民衆」の意見を聞けば、民主主義の方が好いというようです。

誰もが独裁国だと思っているロシア、ベラルーシ、ベネズエラなどでも、リーダーは選挙で選ばれることになっていて、形は民主主義です。

では、独裁主義も民主主義の一形態かといいますと、そうではないですね。形は同じでも中身は全く違う事は誰もが知っています。

建前だけでも民主主義にしないと通用しないという事なのでしょう。

やっぱり民主主義がいいという事になるのですが、いま日本で問題になっているのは、民主主義に金主主義が入って来たという問題のようです。  

金主主義も民主主義の中の一形態と日本では理解されてきているようですが、やはり「人間はカネとは違う」という事が大事のようです。

民主主義というのは、人間の頭数がすべてのベースで、投票して多数決、過半数という「生身の人間の数」が物事を決める基本だという考え方です。

人間の社会ですから、これは基本的に合理的ですが、勿論問題もいろいろあります。

例えば、権力や詐術で投票の結果を変えてしまうといった事もやられます。こうして選ばれたリーダーは往々独裁化して、その後の選挙では人々は権力で抑え込まれて独裁性が成立します。

多くの人間に間違った考え方を持たせるという方法もあります。その場合は間違ったリーダーが生れて、人々が後から気が付いて直さなければなりません、その時は社会が混乱します。

自由経済社会の中では、人々にはカネへの関心が強まっています。カネも人間と同じくらい大切、さらには人間より金が大切という人も出てきます。

リーダーになる人もカネが大事だと思えば、人間の数と同様に、あるいはそれ以上にカネがだいじで、具体的にはカネを出してくれる人を尊重することになったりします。

人間の頭数で決める民主主義に、カネにもあたかも投票権があるような、カネの影響が大きい状態になってきます。

そして「政治にはカネがかかる」といった言葉が生まれますが、これは実は選挙の得票には金がかかる」という意味なのです。 

日本にはイーロン・マスクさんのような人はいませんから、カネを出してくれる企業、団体が頼りになり「企業・団体献金」が票を集める手段の資金源として一般の人間より重要になるのです。

こうして総選挙ではカネで票田を耕し、無関心層は棄権してくれることが最も望ましいという(投票率50%)政権が安定政権だったようです。

譬えて言えば、カネに間接的な選挙権を認めるような事は「民主主義」の中に「金主主義」を取り入れ、民主主義の本質を変質させることなのでしょう。