tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

トランプさんは少し変わるか・・・

2019年09月12日 23時29分41秒 | 国際経済
トランプさんは少し変わるか・・・
 株価の動きにはまるで素人の私ですが、何かこのところの、株価が順調に上がっているようです。
 日経平均を見ましたら、8月は小幅な上下を繰り返していましたが9月に入ってから上昇基調を強めているように感じられます。
 数字をトレースしてみましたら下のようです。

 なぜ急に株価のことについて書く気になったのかと思って、自分自身を振り返ってみまあしたら、こんなことが理由のようです。
 本来株価は、経済、景気、企業業績などを反映して動くものなのでしょう。しかし、世間では、良く株価は先見性があるなどといわれます。
 
 ならば株価が上がってくれば、景気がよくなるという事なのですが、その辺りは良く解りません。株価が上がるから景気が良くなるのか、景気が良くなるから株が上がるのか、多分相互作用の繰り返しなのでしょう。

 ところで、このところ、世界の経済見通しはよくありません。どこの国も経済成長率の予想を下方修正したりしているようです。
 ところがその原因というのは、どうも、経済現象にあるのではなく、典型的には米中貿易摩擦などの国際的な政治力学によるところが大のようです。

 ならば経済予測は簡単で、主要国のレーダーたちが、意地を張り続ければ、経済は低迷し、国際政治関係が安定すれば、経済もよくなり、恐らく株価も上がってくる、ということになるのでしょう。
 単純に言えば、トランプさんの頭の中を透かして見れば、株価の動きも解るということになるのではないでしょうか。

 この度、ボルトンさんが解任になったようです。タカ派だからこそ、トランプさんが大統領補佐官という要職に任命したはずでしょうが、何かタカは危険だとトランプさんに思われたような解説が多く見られます。

 ということは、トランプさんはボルトンさんを任命した時よりも柔軟になったという事でしょうか。北朝鮮には大変柔軟ですが、これから、中国に対しても、アメリカ自身の痛みが大きすぎて少し柔軟にならないと来年の選挙に響くと考えたのでしょうか。

 その辺りはトランプ陣営の中では、それなりに解っていて、さらに、国際投機資本筋は、地獄耳や第六感を持っていて、「これから株は買いだ」と先見性を発揮しているのだとすれば、世界中にとって大変結構なことだと思うのですが・・・。

 現実には、事はそんなに単純でなくて、これからも世界中が頭を痛めるようなことが続くのかもしれませんが、さてさて、どう読めばいいのでしょうか。

世界第1位と第2位の経済大国の経済戦争の行方

2019年05月11日 00時01分28秒 | 国際経済
世界第1位と第2位の経済大国の経済戦争の行方
 日本時間の今日午後1時1分、アメリカは中国に対し、2500億ドルの輸入品の関税を10%から25%に引き上げる決定をしました。

 交渉はもう1日あるわけですが、先を急いで仕掛けていた今日といいう期限を、アメリカは実行し、中国側は冷静に「報復措置をとる」といいつつその内容は言わないというのが現状です。

 相手の対応を期待して用意した切札を切ってしまうことになってしまったということは、アメリカの思惑は(多分)外れて、ファーストラウンドはアメリカの負けでしょか。冷静な中国が余裕を残した感じです。
 さすがは共産党一党独裁の国、当初下落した上海市場も持ち直し、政府系ファンドの介入などと報道されています。

 アメリカは残る3千数百億ドルの輸入についても、関税を25%に引き上げるといって脅しをかけるようですが、関税引き上げで経済力が強くなったといった例はあまりないので、また、この節、保護主義に走るというのは、国際的にみても評判を落とすだけですから、自由主義経済圏としては(アメリカは覇権国ですから)困ったっことだと言うことになります。

 トランプさんは、その優し気な笑顔と、仁王様のような怖い顔を使い分けて、アメリカの主張を通そうというのでしょうが、習近平さんの方が一枚上手で、さすがは春秋戦国の孫子の兵法から、三国志の諸葛孔明の軍略までの歴史を持った中国の方が一枚上手かななどと見る人もいるようです。

 ま、交渉・ディールの使い手か、兵法や軍略か、といったことは話としては面白いかもしれませんが、経済戦争では、長い目で見れば、結局、経済力が強い方が勝ちを収めることが多いので、関税で攻め立てるアメリカ方式では勝つのは難しいのではないでしょうか。

 GMを始め中国で稼いでいるアメリカ企業も多いわけで、アメリカも返り血を浴びる形にもならざるを得ないでしょう。
 というより、世界が巨大なとばっちりを受ける可能性も確実にあるわけで、米中のチキンレースなどともいわれますが、チキンにしては双方が大きすぎて、傍迷惑この上ありません。

 あまりこじれないうちに、双方がなすべき努力は確りやることも含めて、何とか交渉の纏まる事を願うばかりで、かりそめにも、行く所まで行くなどいうことないように願いたいものです。

日米交渉:やっぱり出てきた為替条項

2019年04月26日 14時49分24秒 | 国際経済
日米交渉:やっぱり出てきた為替条項
日米貿易交渉、実際には、日米FTA交渉として、今後時間をかけて着地点を探さなければならない交渉でしょうが、やっぱり、アメリカご執心の為替条項が出てきました。

 為替条項というのは、ひと口で言ってしまえば、国際競争力で「自国が有利になるように為替レートを操作してはいけない」ということでしょう。

 もちろんそんなことを認めたら、一生懸命生産性を上げて自国経済を健全なものにしていこうなどという建設的な努力は必要なくなります。
 生産性を5%上げる代わりに自国通貨を5%切り下げれば、即座に生産性の5%向上と同じ国際競争力上の効果が得られるからです。

 かつて、こうした経済戦略は「為替ダンピング」などと言われ、「近隣窮乏化政策」などとも言われて、世界経済の健全な発展を阻害したという苦い経験から、第二次世界大戦後の、いわゆるパックス・アメリカーナの中では、アメリカ主導で「ブレトンウッヅ」体制のもと『固定相場制』が採用されたわけです。

 これは大成功で、みんな国際競争力をつけようと生産性を上げ、1960年代までは、世界経済は順調に成長し、世界経済は最も順調な時代とみられています。

 ですから、為替レートを意図的に動かして国際競争力上有利な立場に立とうとするといったことは当然望ましい事ではないといいうことになるわけです。
 ならば為替条項を貿易交渉の中に位置づけようというのはまさに「正論」で、それを拒否することは何か「よこしま」な意図を持っているということになるはずです。

 今回の日米交渉の中では、アメリカが為替条項を持ち出し、日本は麻生さんが、貿易問題と為替問題は性格が違うものだから、一緒に論議すべきでないという立場で、為替条項についての議論を拒否しているという状況です。

 では、日本はなにか「よこしま」な意図を持っていて、為替条項の議論を拒否しようとしているのでしょうか。

 こう見てきますと、皆様には、「日本が拒否しているのは「よこしま」な考えがあるからではない」「アメリカの行動を警戒しているからだろう」というご理解を頂けると思っていますが、今後の展開次第では予断を許しません。

 この問題については、このブログでは、可能性、実現性は「別」として、理論的には、アメリカの好きな2国間交渉の中で、「日米固定相場制」はどうですかと提案していますが、どうでしょうか。

この辺りは、確りと今後の日米交渉の行方を見守り、何が本筋か、本当の解決策はなにかを、じっくり考えていく必要があるように思っています。

2019ワシントンG20 :日本、経常収支問題を提起

2019年04月13日 12時37分43秒 | 国際経済
2019ワシントンG20 :日本、経常収支問題を提起
 日本時間の今日未明、ワシントンのG20は閉幕したようです。
 今回は、共同声明は出さないという事がったようで、いわばそれぞれの意見の言いっぱなし終わったという事でしょう。

 入ってきているのは議長を務めた麻生さんと副議長の黒田さんの談話が中心ですが、二国間交渉に固執するアメリカと多国間交渉を良しとする多くの国々を纏めるのは容易でないようです。

 世界経済も、IMFが成長見通しを引き下げるといった状況の中で、やはり最大の問題は米中関係だったようで、それにヨーロッパでは英国のEUりだつもんだいがこじれにこじれていることも含めて、世界経済の下振れリスクは確認という事のようです。

 ただ、中国もアメリカも景気減速には極めて敏感に反応するという前提でしょうか、摩擦や混乱があっても、適切な景気対策の実行を予想して、「下振れリスクは短期的で、今年後半には回復に向かうというIMFの見方で一致したとのことです。

 一方では米中摩擦長期化という見方もあり、G20としては必要な政策をとるべき、という希望、あるいは希望的観測という感じもしないでもありませんが、せっかく安定してきている世界経済の成長にマイナスになるような国際間の問題は出来るだけ柔軟な交渉を通じて避けたいものです。

 ところで議長国としての日本は、国際間の問題の背景にある「経常収支の不均衡」という問題を提起したようです。
 貿易収支ではなく経常収支を取り上げたという事は、政策のあり方としてはより優れていると思いますが、経常収支黒字国として目立つ国の中には当然日本が入っているわけで、総論はともかく、日本としての各論の在り方が注目されます。

 日本は近年貿易収支は赤字になることもあるようなほぼ均衡状態ですが、経常収支は、ドイツなどと並んで、大幅黒字国になっています。

 現象的には、第一次所得収支(海外からの利子配当収入など)の大幅黒字が原因ですが、見方を変えれば、日本は、国としての(財政ではありません)収入に比べて、支出が少ない分が経常黒字となっているわけで、このあたりの日本の経済構造が問題にされる可能性は多分にあるのではないでしょうか。

 本来なら、経常収支赤字の国が努力不足、金の使い過ぎといわれるべきかもしれませんが、最近では、経済活動を頑張って黒字を出している国が悪いといわれるような風潮が顕著です。

 イソップ寓話ではありませんが、「貯め込むアリ」と「乱費するキリギリス」どちらが良いのか悪いのか、日本が議長国としてこれから開かれる福岡のG7や大阪サミットなどで、どんな議論になるか、ならないのか、何となく気になるところです。

FRBはどう動く、日米交渉で円高の危惧は?

2019年03月11日 17時54分36秒 | 国際経済
FRBはどう動く、日米交渉で円高の危惧は?
 早めに心配すると杞憂と言われそうですが、アメリカ経済好調ということで、このところ円レートは111円台で余り円高に振れないようですが、今後はどうでしょうか。

 今のアメリカの経済好調については、米中関係に比較的楽観的な見通しを織り込んでいるのではという意見も多いようです。
 現状中国の対応は予想外に柔軟で、あまり米中経済摩擦がひどくならないことが期待されますが、中国も為替レートについては、しっかりと予防線を張っている様子が見られます。

一方アメリカの方で注目される動きは、FRBがパウエル議長になって、予定されていた年内2回の利上げは取りやめ、「辛抱強く」という言葉で、現状の景気を持たせようという姿勢でしょう。

 もちろん視野には景気減速といった可能性も入っていて、その時点では当然金融緩和政策となるわけでしょうが、今の2.25~2.5%のレートでは緩和の余地は小さいということになるのでしょう
 B/S の再拡大、量的緩和も視野ということで、「日銀方式も参考になる」といったようです。
解説では。日銀が2%という「行き過ぎ型」のインフレ目標を掲げて、(異次元緩和を)続けているという行き方も参考になるということのようですから、どうもこれは要注意のような気がします。

 もともと日銀が異次元金融緩和策をとったのは、リーマンショックに対応して世界金融危機を防止するため、バーナンキさんがとった政策、ゼロ金利と量的緩和を徹底したことの模倣で、現実的な目的としてはそれにより円高を是正するということでした。

 そのおかげで日本経済は何とか復活しましたが、その後も円高を恐れて、異次元金融緩和を改め、金融正常時価を図る気配はありません。
 この異次元金融緩和の異次元的継続をFRBに参考にされたのでは、日銀にはもう円高阻止の手段は残っていないのではないでしょうか。

 平成31年度の「政府経済見通し」では年度平均の円レートは113.4円ということになっていますが、いささか甘すぎるような気もしますし、もし日米FTAの中で、トランプさんの切望する「円高・ドル安」を押し付けられた時、さて日本は何が出来るのでしょうか。

中国、全人代で成長目標引き下げへ

2019年03月05日 23時20分15秒 | 国際経済
中国、全人代で成長目標引き下げへ
 中国では、今日開かれた全人代で、経済成長率の目標数値を昨年の6.5%程度から6~6.5%と引き下げたというニュースが入ってきました。
 米中間の経済問題が簡単には片つかないといった状況の中での苦しい選択といった解説が目につきます。

 李克強首相が、汗を拭きふき演説する映像も一緒でしたが、このところの中国の行動様式を見ていますと、アメリカのごり押し方式とは裏腹に、何か大人の態度で、ソフトに受け流し、事を荒立てないという形が特徴的な中国です。
 南沙諸島の問題では国際仲裁裁判所の命令を「紙屑」と切って捨てた態度とはかなり違うようです。

 アメリカが問題とする知的所有権問題についても、中国は「尊重する国になる」ことを強く主張しています。
 
 今後の米中貿易交渉を見ていかなければ解りませんが、経済問題では、中国は何か自信を持ち始めたのではないでしょうか。
 「中国製造2025」から、さらに2035、2045といった30年先までの計画を持って、まさに「愚公山を移す」といった粘りで、世界の製造業の中心になるという見通しに少しずつ自信を持ち始めたのではないでしょうか。

 一方、アメリカは、ラストベルトの再開発も見通しは立たず、輸出するのは農産物とシェールオイル、あとは防衛装備品という状態で、工業製品はほとんどが中国をはじめとして外国で作っているというのが昨今の現実です。

 今のトランプ方式の「アメリカを偉大な国に」するという政策では、製造業においては、すでに勝負あった、という見方すらありそうです。

 歴史は浅いが、老大国になりつつあるアメリカと、歴史は超長いが、今や青年期の成長途上の中国という見方をする人もあるようです。

 日本はその狭間で、頼りの「アベノミクス」は何をしようというのでしょうか。
 幸い、日本経済は、平成長期不況を脱出して、これから本格的に頑張ろうという企業、そこで働く勤勉で生真面目で、エネルギーレベルの高い労働力に支えられて、何とか頑張っていますが、始まった通常国会での議論を聞いていると、どうも「政低・民高」の感じが強く、政治がブレーキになるのが心配です。杞憂でしょうか。

直接投資アンバランスの国、日本、何故?

2019年02月06日 23時38分38秒 | 国際経済
直接投資アンバランスの国、日本、何故?
 このところ日本の経常収支は毎年20兆円を超える黒字で、そのほとんどが「第一次所得収支」つまり、外国に進出した日本企業からの利子・配当収入で、これは日本国外で稼いだものですからGDP(国内総生産)に入って来ないことは、折に触れて書いてきました。

 第一次所得収支は、GNI(国民総所得)には入っているので、日本人が使っていいカネですが、企業の内部留保などになっていて、活用を待っている段階のようです。

 海外に進出している日本企業というのは、財務統計上は海外への「直接投資」という形で計上されています。これは近年急激に増えていて、その結果、そうした企業からの利子配当などが増えるわけです。

 ところでこの直接投資という項目には、対外と対内があって、「対外直接投資」は日本企業が海外に進出した分、「対内直接投資」は外国企業が日本に進出した分です。
 今日のテーマは、日本の場合、海外に出る日本企業は多いのに、日本に進出する海外企業が異常に少ないという極端なアンバランスです。図にしてみました。(資料:財務省)



 これは年々の投資額ですが、平成29年末の投資残高を見ますと対外投資174.7兆円、対内投資は28.6兆円です。
 通常、どこの国も、対外直接投資と対内直接投資は共に伸びていくようで、年々の対外直接投資がトップテンに入るような国は対内直接投資もトップ10に並ぶことが多いのですが、日本は対外ではトップ5ぐらいに入りながら、対内では20位から30位といった状態です。

 そんなことで、日本は投資しにくい国だと非難されることもあります。こんな国は主要国の中では日本だけで、他には見当たらないようです。
 外国が日本に投資してくれれば、その分日本の経済成長も高まるのですが(アメリカはじめ多くの国は外資の誘致に熱心ですね)、日本は勧誘しないからでしょうか。

 アベノミクスも行き詰まり、少子高齢化、消費不振で、経済成長もままならない日本ですが、それと、この直接投資のアンバランスと関係があるのでしょうか。
 もしあるとすれば、そこに日本の経済不振のブレークスルーの1つの鍵があるのかもしれません。

 政府は、外国人旅行者の誘致にばかり熱心ですが、外国企業に来てもらった方が場合によっては、より効果的という事もありそうです。
 この問題は、日本として、少し確り考えなければならない問題でもありましょう。出来れば折に触れて取り上げてみたと思っています。

NGR(国家の地球的責任)、特に大国の責任とは?

2019年01月05日 15時48分58秒 | 国際経済
NGR(国家の地球的責任)、特に大国の責任とは?
 2019年、平成31年は、何か波乱の幕開けの様相になってきました。
 象徴的なのは、年末年始にかけてのNYダウの乱高下です。東京市場も確りその後追いをしています。ただ問題なのは、円高が進んだことで、108~107円台をつけています。

アメリカでは、株価暴落の1月3日、FRBのパウエル議長が、ジョージア州でのイベントで、アメリカの景気は着実という認識を示し、金利の引き上げについては先延ばしも考え忍耐強く対応すると強調したそうで、同じ場にいたバーナンキ、イエレンの歴代議長も、それを支持したという事でした。

 その結果、4日のNYダウは830ドルを超える値上がりになったようですが、これがアメリカ経済の実態を表すものか、いわゆる口先介入のようなものなのかは、今後の動きをもう少し見ていく必要があるでしょう。

 世界の覇権国、基軸通貨国のアメリカが好況というのは多くの国にとって有難い事ですが、その好況が、万年赤字の上に成り立っているのですから、持続可能性に限界がある事は当然予想されます。

 今迄も、ニクソンショック、プラザ合意、リーマンショックと他国に負担を強いながら繁栄を維持してきたわけです。
 この実態は、トランプさんが「アメリカを再び偉大に」と言って関税障壁、ドル安政策で守ろうとすればするほどその病状が進行するという結果になるのでしょう。

 アメリカの関税障壁やドル安政策の相手は、さしあたって中国、それに日本といった事になるのでしょう。
 最近の中国との話し合いを見ていますと、自由主義経済のアメリカが関税障壁を主張し、共産主義の中国が自由貿易を主張するといった、世界があべこべになったような様相です。

 1月8日から始まる米中貿易交渉がどんなことになるか、従来は、自由化推進のアメリカを支持してきた日本が、中国が自由貿易を主張するようになってどういう態度を取るのでしょうか。
 その成り行きは恐らく同時並行的に日本にも関係してくるでしょうから、これからの日本の対応も容易ではないでしょう。

 世界の2大大国の間が貿易戦争となれば、世界経済への負の影響は必至です。2大大国が自己の利益を優先しようと、2国間交渉で鎬を削り、他の国々がそのプロセスや結果が世界経済に与える悪影響を一様に心配する構図は、今後の世界経済あり方にとって決して良いモデルとはいえないでしょう。

 このブログでは、かつてから NGR(Nation’s Global Responsibility) 
を主張していますが、特に大国にあっては、地球規模で世界に貢献するという視点が大切ではないでしょうか。

 もしトランプさんの好きな2国間交渉で賢明なディールが成立しなければ、国連や、WTOなどの国連傘下の機関が、権威をもって問題解決が出来るような地球規模の体制作りに協力するといった、合理的な思考回路をも持ってほしいとつくづく思うところです。

2018年の回顧1:矢張りアメリカ主導の世界

2018年12月30日 23時36分00秒 | 国際経済
2018年の回顧1:矢張りアメリカ主導の世界
 年末なので、今年を振り返って、より良き来年のためにと考えなければならないでしょう。
毎年書いているように思いますが、切れ目のない時の流れに切れ目をつけて、過去を振り返り将来を思い自らを律するというのは、まさに人間の知恵でしょう。

有史以来、いやその前からでしょうか、その切れ目を入れる時期として、人類はこれから日が長くなるという時期を選んできたようです(当然より多くの人類が住んでいた北半球の話ですね)。
 これから日が長くなる、暖かくなる、自然も改めて成長を始める、人間もそれに合わせて、改めてより良い日々を過ごしていきたいとか、そのために努力しようとか考えてきたのでしょう。

 自然を眺め、その生命力を感じながら、人間は本能に加えて、思考の中にそうした時間の区切り方を確立してきたのでしょう。
 ・・などと余計なことを書いてしまいましたが、今日・明日の2回は、何とか、今年を振り返ってみたいと思います。

 つい先月まで、日本経済は、戦後最長の経済成長の持続を達成し、スローペースではあるが、まだまだ好調を続けるのではないかと見られていました。しかし年末も近くなって、アメリカの株式市況が大幅な下落を繰り返しました。日本も、アメリカ以上の下げ幅を記録しました。 
 
 もちろん日本だけではありません。やはりこうしてみると、世界経済は何はともあれ、未だに「アメリカ主導」という事が実証された形です。

 こうした変化は、トランプさんが「アメリカ・ファースト」を掲げて大統領になってから、何となく懸念されてきたとこですが、中間選挙で下院における民主党の躍進を受けて、所謂レームダックになりかけているトランプさんという事になって、ツキが落ちたという事でしょうか。アメリカ自体の先行きの不安定が増すことになったようです。

 アメリカが国際関係のネットワークの中で、敢て自己中心の孤立をも辞さずということになると、TPPをはじめ「アメリカ・パッシング」の様相が出て来てはいましたが、やはりアメリカはメインプレーヤーの役にあるようです。

 世界の面倒を見ようというアメリカが、突如、自国中心と言い、そうした行動を部分的にでも取り始めると、国内でも対外関係でも、アメリカはバランスを失う所が出て来ましょう。それがさしあたって、不安感の増幅となって、株式市場に影を落としたという事にほかなりません。

 このアメリカの不安定さが、中国をはじめ、世界の国々に(当然日本にも)具体的に如何に影響し、それが実体経済にどう響いてくるかで、今後の世界経済情勢、日本経済に思わざる負の影響を与える事も予想も範囲に入って来るという事ではないでしょうか。

 アメリカ自身の経済社会が安定状態に軟着陸するか、それとも多発するトラブルの処理を誤って一層の混乱をきたすか、今のアメリカが、従来と違ったものになりかけているだけに予想は大変難しいのではないでしょうか。

新年の世界は、アメリカがなるべく過ちを少なくするように、アメリカ自身は勿論、世界主要国も連携して努力すべきでしょうが、それも現実には至難ではないでしょうか。

 その中で日本に必要なこと、日本の為すべきことは何なのでしょうか。明日大晦日のこのブログでもも考え続けていかなければならないようです

本当の「持続可能性」とは何なのでしょう

2018年12月03日 15時33分10秒 | 国際経済
本当の「持続可能性」とは何なのでしょう
 昨日のブログで、今回のブエノスアイレスG20サミットで最も重視された言葉は「持続可能」だったと書きました。

 振り返ってみれば、人類は、持続可能でないものを持続可能だと思い違いをして、随分と失敗を繰り返してきたようです。
今、トランプさんは、赤字になったアメリカ経済を保護貿易政策で持続的成長を取り戻せると思っているのかもしれませんが、これは思い違いで、保護政策はアメリカ経済衰退への道でしょう。

 また今日本では、ゼロ金利が持続的成長への政策だということになっているようですが、これも思い違いでしょう。
また、財政政策でも、相変わらず国債残高を増やし続けていますが、財政テコ入れが持続的成長への道だという認識も、全くの思い違いでしょう。
 
 かつて日本では賃金インフレが続く時代があり、石油危機で限界が露呈しました。また、地価高騰が続く時代もありましたが、バブル崩壊で終わりを告げました。

アメリカでも、住宅価格を長期にわたって上昇させた金融工学、マネーゲーム全盛の時代がありましたが、リーマンショックで深刻な破綻になりました。
パリ協定を離脱したアメリカですが、異常気象でハリケーンの巨大化や、異常旱魃でカリフォルニアの巨大山火事など、すでに不吉な前兆が出てきているように思われます。

領土を拡大すれば経済の持続的成長が可能なるとか、軍事力を増強することが、持続的成長につながるとか、まだまだいろいろな思い違いが、いろいろな所であるようですが、人類はどうしてこんな思い違いを繰り返すのでしょうか。

G20サミットなどは、世界の主要国のトップクラスの頭脳に支えられたリーダーたちの集まりです。そうした思い違いに気付いているリーダーも何人もいるはずです。
しかし、現実は、なかなかうまく行かないもののようです。

 恐らくは、長期的には巧く行かないことは解っていても、短期的には自分や自国の利益になると考えたり、世の中は合理性よりも「力(軍事力)」で動くものだといった旧態依然の意識が残っていたりするからしょう。

 そして最後には、国レベルの「エゴ」が判断を誤らせているのでしょう。しかし地球は狭くなっているのです。他国の犠牲の上に自国の持続的成長をと考えても、歴史は常にそれを否定してきているようです。
 「持続可能」という事は、最終的には、「地球人類全体の持続可能性」という所に繋がらないと、結局は「持続不可能」という事になってしまうのではないでしょうか。

ブエノスアイレスG20首脳宣言のキーワードは「持続可能」

2018年12月02日 23時01分27秒 | 国際経済
ブエノスアイレスG20首脳宣言のキーワードは「持続可能」
 G20が終了し、首脳宣言が発表されました。日経新聞などがその要旨を発表していますが、解説や見出しは「保護主義と闘う」という文言がトランプさんのアメリカの横槍で初めて書き込まれなかったこと、同じくアメリカの主張を入れて「WTOの改革」の必要が盛り込まれたといったもののようです。

 やっぱり並み居る19カ国の首脳も、トランプさんの横槍には敵わないのかなどと思ってしまいます。

 ところで首脳宣言の「要旨」を見ますと、最も多く出てくる言葉は「持続可能」のようです。
 先ず冒頭に「公正で持続可能な発展のための合意形成」が目的と明記されています。
 そのあと見ていきますと、先ず食料については「持続可能な食糧の未来」、貿易については「持続可能的で均衡のとれた貿易」、財政では「公的債務が持続可能な道筋にあるべき事」、
税制では「持続的な課税システムの確保」、雇用では「公正で持続的な仕事の未来」、「持続的なサプライチェーンの促進による雇用の確保」、投資では「包括的で持続可能な投資」などなどが連続して書かれています。

 さらに続けて、「インフラは経済的繁栄、持続可能な開発、包括的な成長の重要な推進力」、健康については、「世界保健機関(WHO)による「持続可能な健康への開発目標のための計画策定、難民問題についてはその根源である「持続可能な開発への変革のコミットメントを再確認」、資源問題では「持続可能なエネルギー資源への投資」、金融については「効果的な金融が成長と持続可能な開発を支える」などなどです。(この辺でやめておきます)

 結局、G20サミットの目指すのは、「持続的な人類社会の発展」という事で、これには「アメリカ・ファースト」トランプさんとても、必ずしも反対ではないのでしょう。

 考えてみれば、地球上に生命体発生以来40億年、ホモサピエンスが現れて20万年でしょうか、生命の発展の歴史は、地球という自然環境の中で、持続可能なものが生き残ったという事なのでしょう。

 「持続可能」というテーマな生命の基本であり、あらゆる成長発展問題の「判断基準」なのでしょう。
 戦後のアメリカが、理想に燃えて「ブレトンウッズ体制」を構築したのも、地球環境問題への対応としてCOPの会議が積み上げられて来ているのも、すべて、持続可能な人類の進歩、発展のための行動でしょう。

 こうした方向から、今アメリカは些か逸脱しているようですが、「持続可能」という判断基準で見れば、「トランプさんのアメリカ」の方が、どうも誤りだという事のようです。

 世界が混乱している時期にこそ、改めて物事を、長期的な視点で、「持続可能性」から判断することが、人類に要請されているように思われるのですが・・・。

米抜きTPP 年末に発足へ

2018年10月31日 15時50分36秒 | 国際経済
米抜きTPP 年末に発足へ
 さきに半分冗談も含めて「 アメリカ・パッシング」と書きましたが、今回TPPがアメリカ抜きの11カ国で発足、さらに加盟を希望しる国も増えているというニュースを見て、これではまともにアメリカ・パッシングが現実になると苦笑したところです。

 もともとTPPを言い出したのはアメリカで、その折は、いずれアメリカの赤字削減戦略の一環だろうと見ていて、 TPPは何か胡散臭いと思っていました。
 しかし、アメリカのフロマン代表の考え方は、アメリカの利害よりも、開かれた国際貿易を考える「まともなもの」のように見え、日本の甘利代表との相互理解もあったようでした。

 これなら、 TPPも良い結果になるのかなと思っていた途端に、トランプさんの一声で、アメリカはTPP脱退という事になりました。
 トランプさんにしてみれば、アメリカの思惑に従って、都合のいいものになればと思っていたのでしょうが、アメリカ・ファーストではなく、環太平洋・ファーストだったという事でしょうか、たちどころにこんなものは要らないという事になったのでしょう。

 結果は「アメリカは蚊帳の外」、アメリカ・パッシングです。
 今の世界は、アメリカが圧倒的に強力な超大国で覇権国、基軸通貨国という事ですが、すでに時代は移り、重商主義や植民地主義からの決別が進んでいる中で、そうした地球人類全体の発展進歩への知恵に反して、アメリカ・ファーストの自国中心主義を振りかざしても、世界はついてこないという事が実証されたという事ではないでしょうか。

 アメリカの中間選挙も目前に迫りましたが、アメリカ国民が、こうした世界の動きを敏感に察知し、地球人類のあるべき形をリードするアメリカに立ち帰るのかどうか。まさに来週にかけての世界の注目点でしょう。

 日本政府は勿論、産業界、そこで働く労使(団体)も徹底してTPPを大事にするべきでしょうし、この輪をさらに広げ、下手をすると( 前回も書きました)潮目の変わりそうな世界情勢を、本来のまともな方向に維持すべく全力を尽くすべきでしょう。

 日本経済は、まだまだ生産性を上げなければなりません。OECD加盟国の中の生産性低位国に甘んじているわけにはいかないでしょう。 (因みに、生産性を上げれば 人手不足も緩和します)
 そして、あらゆる部門の生産性向上を梃子に、常に、より開かれた経済を指向しつつ、世界経済の安定した発展に貢献すべく、孤立主義や自国中心主義の行動に対しては一貫してトラブル・シューターの立場を堅持してほしいものです。

 世界の二大超大国が、自国中心的な動きに走り、それが人類社会の発展の中で許されることの様に勘違いをする国が増えそうな様相も見える中で、国際的に見れば、国は小さくても、経済規模は何とか第3位を維持し、先進技術、経済発展でも多くの可能性を持ち、平和憲法を堅持し、自由かつ安定した社会を創ってきた日本です。
 
 「人畜無害で、世界に役立ってくれる日本」というイメージをさらに確立すべく、今一度本気を出して頑張ってみるというのはどうでしょうか。

トランプさん、自分の首を締める?

2018年10月26日 14時20分14秒 | 国際経済
トランプさん、自分の首を締める?
 どう見ても暴走気味のトランプ大統領ですが、何を目指して走っているのでしょうか。
 「アメリカ・ファースト」、「アメリカを再び偉大な国に」と選挙で公約しているのですが、このところ何かあちこちで馬脚が現れてきているように思われます。

 NAFTAの衣替えは、いわばご近所同士のお付き合いというところかもしれませんが、対中国という事で、世界の第1位と第2位の経済大国がガチンコの衝突となりますと、これは、世界経済にも大きな影響を及ぼします。

 もともとトランプさんの発想は単純で、「移民が大勢入ってきて、アメリカ経済を蚕食し、お蔭で競争力がなくなって、ラストベルトなどと言われる地帯が出来てしまった。これは外国に親切にし過ぎたせいだから、これからは、世界のためのアメリカではなく、アメリカのためのアメリカとなり「アメリカの繁栄」を考えるべきだ」という事でしょう。

 ラストベルトの繁栄を取り戻すというのが目玉なのかもしれませんが、そのためには政治的には国境を厳しくし、経済的には関税で輸入を防げばいいだろうという程度の着想だったようです。

 しかし、多少昨今の世界経済情勢を理解している人ならば、それで巧く行くはずはないと解っているのではないでしょうか。
 アメリカの企業自体が、中国をはじめ世界中に展開して仕事をしているのです。GMからアップルまで、中国で仕事をし、稼いでいるのに、中国との経済関係を悪くしても、アメリカさえよくなれば、と考えているのがトランプさんなのです。

 そんなに巧く行かないのですよ、という事がこの所現実になって来たのでしょうか、トランプ景気で上がっていたダウ平均も現実が解れば下がらざるを得ません。
 そのトバッチリは日本にも来て東証も大変です。日本はそんなに悪くないのですよと言っても、国際投機資本は儲けやすいところで稼ぐわけで、日経平均はアメリカよりも振れ幅が大きくなっているようです。

 現に中国の実体経済には成長率低下という形で、悪化の兆しが見えるようで、そうなりますと、事はゲームの域を越えて、中国もアメリカも、共に傷つく「トランプ・ショック」になりかねません。
 
 経済の大敵は先が見えない不確実性です。何を言い出すか解らないトランプさんは、アメリカを偉大にしようとして、結果的にはアメリカ経済をさらに駄目にし、自分の首も締めることになるのではないでしょうか。

 その余波が大きくなって トランプ・ショックで世界経済が混乱するようなことににならないことを願っていますが、それは、アメリカ国民が現状をどう判断するか (正しく判断することが出来るかどうか) にかかっているという事になるのでしょう。

産油国アメリカの現状

2018年10月03日 16時02分47秒 | 国際経済
産油国アメリカの現状
 アメリカがサウジを抜いてロシアに次ぐ産油国になったという記事があったので、ちょっと興味を持って調べてみました。

 以前アメリカのシェールオイル・ガスなどの生産額がどのくらいの規模のものか調べてみましたら、GDPの5%ぐらいになるといった数字があり、嘗てはアメリカの経常赤字がGDPの4~5%でしたので、 丁度赤字を消すぐらいの規模だとびっくりしたことがありました。

 その後アメリカは韓国や日本にLNGなどを輸出するようになったようですが、ロイターによれば、2016年まではゼロだった中国輸出が今年1月には日量40万バレル、10億ドルと報道されています。
 12ヶ月にすれば120億ドルですから、かなりの額でアメリカの対中国貿易赤字(4000億ドルほど)の緩和にどんな役割を果たすのでしょうか。

 そこで、ついでにアメリカの、原油、石油関連製品の輸出の統計を見てみました。
 U.S. energy information administration 発表の資料ですが、それまでずっと横ばいだった数字が2005年あたりから伸びはじめ2010年以降は急速な伸び昨年は2005年の6倍になっています。



 アメリカの貿易収支の赤字が異常な大きさなので、2018年に入っての貿易赤字の縮小は見られるものの、まだまだトランプさんの活躍が必要なのかもしれませんが、アメリカが世界一の産油国になるかもしれないといった可能性は、トランプさんの貿易戦争に今後影響して来るかといったことも起こりうるかもしれません。

 先月、日本の国際収支の構造変化を取り上げましたが、アメリカは、サービス収支と第一次所得収支は、万年黒字の状態です。
 本当は、この万年黒字で経常収支全体の黒字を維持すべきなのでしょうが、消費中心の経済成長路線が行き過ぎて、消費し過ぎになり経常赤字、借金国家に転落ということになったのでしょう。

 逆に日本は、消費の不振が経済の足を引っ張って、思うように成長しないという現状ですが、アメリカは消費に行きすぎ、日本は消費過少(貯蓄に行きすぎ)、という形のようで、中庸を保つというのはなかなか難しいのかもしれません。

嵐の前の静けさ?

2018年09月30日 18時24分54秒 | 国際経済
嵐の前の静けさ?
 地球環境の変化の結果でしょう。今年の台風は規模も大きく、数も多いですね。今回の24号も、すでに沖縄、奄美は深刻な破壊を受け、9月30日の夕刻現在、西日本がその影響を受け始めています。

 当初は東シナ海に抜けるかと見ていましたが、結局は日本列島を真っ向から縦断という最悪のコースを辿るようです。
 これから明朝までの間、どうにも気が休まりそうもありまあせん。

 天気もそうですが、国際情勢、国際経済情勢も何か似たような展開になるのではないかと危惧しています。
 地球環境の変化と同じように、国際関係の雰囲気も全地球的に何か良くない方向に変化してるような気がします。

 具体的に見ますと、覇権国、基軸通貨国のアメリカが、力の保有は誇示しながら、経済的には被害者意識の塊のようになり、世界への貢献などはどこかへ放擲、自国優先の「アメリカ・ファースト」国連の場でも恥ずかしげもなく宣言するような状態です。
 大国の矜持、ノブレス・オブリージェ、NGR,などといった概念は消滅してしまったようです。
 
 さらに、戦後70余年の世界の建設の中で、地域協力などの形で国々が協力し統合化して発展をと考えて来た統合型の国際関係への動きが、なぜか分裂の傾向を、あちこちで見せています。

 また、共産圏も含めて、経済社会が色合いの違いはあっても民主的運営を目指してきた一貫した動きが、なぜかこの所、権力集中に動く様相が見えて来ています。

 地球環境としての国際関係が統合から分裂、民主化から権力集中という変化の様相が見えるというのは、地球環境になぞらえて言えば、国際関係という地球人類の環境が変化(悪化か劣化か?)して来ているように感じられるのですが如何でしょうか。

 こうした国際関係の変化が見られる中ですが、世界経済は、何とかリーマン・ショックの克服に成功、成長路線を取り戻すプロセスにある段階ですが、国際関係・政治状況といった地球環境の変化が、何時なんどき、具体的な形で経済にも打撃を与えることになりかねないという心配があるのではないでしょうか。

 今夜の台風24号の襲来を前にして、まさに「嵐の前の静けさ」の中で、ふと、そんな事を考えてしまった次第です。