tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アップルとアメリカ、日本の企業は?

2018年09月19日 15時28分36秒 | 国際経済
アップルとアメリカ、日本の企業は?
 米中関係が複雑の度を増しています。資源獲得競争、覇権争い・・・、世界第一と第二の経済大国の確執は容易ではありません。そして今度は貿易戦争です。

 トランプさんの目から見れば、中国は、アメリカ市場が寛容に中国製品を買ってやったから経済発展できたのだ、「もうアメリカ相手にそんなうまい商売ばかりさせない」と貿易(関税)戦争を仕掛けたという事でしょう。(日本にも言って来るかも知れませんね)

 しかし、今度新たに実施する2000億ドル規模の関税引き上げで、アップルウォッチやエアポッド、フィットビットなどは対象から除外するという事になるようです。
 これらの製品を作っているアップル社やフィットビット社はアメリカの会社ですから、アメリカの本社からトランプ大統領に頼んだなどといわれています。

 もともとアメリカの会社は、賃金の高いアメリカでモノを作っても儲からないので、低賃金の新興国などへ出て行って、アメリカの技術を生かしてモノを作って世界中に売れば大儲けできるということで中国にも工場進出したわけです。

 アメリカの企業とってみれば、中国進出は利益を出すために重要な選択だったのでしょうが、お蔭で、賃金の高いアメリカの労働者は仕事を失う事になるわけです。
 これは所謂、国と企業の利益相反で、先進国の企業が利益を増やそうと思えば、当然取る行動でしょう。それで、良い製品が安く出来て、それを買うアメリカの消費者も喜ぶという図式だったはずです。

 先進国の企業進出で、後発国の経済成長も早まり、世界経済としてもいいことでしょう。ミャンマーが国を開けば、世界中の先進企業が進出し、ミャンマーの経済発展に貢献、今後もし北朝鮮が国を開けば、韓国、日本をはじめ、高度技術を持った企業が続々進出するでしょう。北朝鮮もそれを期待しているはずです。

 こうして、世界経済の発展にも役立つ先進国企業の後発国進出ですが、それが米中間では今度の様な貿易戦争になり、日本にとってもトランプさんがどんなことを言ってくるか大変気になる所でしょう。
 
 何とかこの問題を、巧く解決する方法はないでしょうかと、国連や、OECD、IMF、WTO等が知恵を絞らなければならないのでしょうが、「問題解決は2国間で」というトランプさんの主張もあり、国際機関は出る幕がないようです。

 はっきり言ってしまえば、アメリカ企業が国内労働者を見捨てて、賃金の安い後発国へ出ていくことばかり考え、企業はMulti-nationalsとして立派になりましたが、それがアメリカ経済に悪影響を及ぼすという結果を無視してきたこと、つまり、企業と国家の利益が相反することについての国内の認識が不十分で、国と企業の適切なコミュニケーションもなく、「国としてどう考えるか(するか)」という重要な問題への関心やアプローチが無かったという失敗がもたらしたものという事でしょう。

 トランプさんにしてみれば、今は結果だけ見て被害者意識のかたまりでから、「解決の手段は貿易戦争」という事なのでしょうが、それでは世界中が迷惑するばかりです。
 
 トランプさんを説得することは容易ではないでしょうが、G7とかG20などで、この問題をしっかり議論することが本当は必要なのでしょう。

 日本にとってもこの問題は重要でしょう。何時かアメリカの様にならないように準備は出来ているのでしょうか。

北方領土問題:政府の本音は何処に

2018年09月11日 13時09分05秒 | 国際経済
北方領土問題:政府の本音は何処に
 個人の家屋敷の問題でも、隣家との地境の問題になると、何故かこじれにこじれるのがよくあることです。国と国の地境の問題になるとこれはさらに難しいでしょう。

 安倍さんはプーチンさんとウラジオストックでの首脳会談を終えました。共同記者発表ではプーチンさんから、領土問題では「ロシア、日本両国民が受け入れられるような決着を模索する用意がある」との発言があったと報道され、その中身は兎も角、具体的問題として(日本の)北方領土での共同経済活動の工程表をまとめたとのことです。

 領土の主張はともかく、共同経済活動ではwin=winの関係を作り出すことは可能でしょうから、海産物養殖や苺などの野菜の温室栽培などで日本の技術で協力し、双方にプラスになる事業展開が出来れば大変結構だと思います。

 ロシアが、国後、択捉の軍事基地化を進めたり、専守防衛の日本のイージスアショアの導入を問題視するのは、未だに国際関係は軍事優先と考えるお国柄を示すものでしょうが、軍事優先にも、それなりの経済的な裏付けが必要です。

 客観的に考えれば、ロシアが国後島や択捉島に住むロシア人にとって、そこが住みやすい素敵な場所にするのにはかなりコストのかかる仕事でしょう。そのコストを、出来れば北方領土問題解決を言いながら、日本との協力によって稼ぎ出そうという気持ちが大きいのではないでしょうか(下司の勘繰りですが、私だったら当然そう考えます)。

 しかし、それはそれで良いのではないでしょうか。日本としては、具体的な共同作業になかで、取るものを確り取り、経営・経済としてなり立つだけの付加価値を稼ぎ出せれば、続ける価値はあるでしょう。

 何時か政権も時代も変わり、友好親善が本物になる時期が来るかもしれません。
 領土問題というのは、そういう状況の中でないと、言い募れば募るほど、感情的対立があらわになり、解決が遠くなることは誰しも経験から理解しているところでしょう。

 願わくば、ロシアが、国際関係は軍事優先などといった好戦的な時代を卒業し、世界の友好親善が第一と考えるような国になることに、ほんの僅かでも貢献できればそれは意味ある事でしょう。

 戦前に、 石橋湛山が「日本は満州進出をやめ、韓国、台湾は独立させ、中国は支配するのではなく経済発展に協力し、経済発展した中国と貿易をしたほうがずっと優れた政策」と、国際関係の本質を見抜いた発言をしていますが、日本も、そしてロシアも、民生の安定発展に貢献するのかを政策の中心に置くような国になっていく日を願いながら、当面の win=winの関係を着実に進めていくことが出来れば、そしてそれが何かの出発点になればと思いつつ今後の展開を見つめていきたいと思います。

ブエノスアイレスG20とアメリカ

2018年07月23日 22時58分24秒 | 国際経済
ブエノスアイレスG20とアメリカ
 ブエノスアイレスG20 は 、スムーズに共同声明を発表し、昨日2日間の会議を終えましたが、これで、この所のアメリカが仕掛ける貿易戦争がどうなるというようなものではなかったようです。

 共同声明では最初の部分で、「世界経済は引き続き強固で、失業率も低いが、短・中期の下方リスクは増大している」と淡々と書いています。
 そしてその理由には、解りにくい表現で、金融や貿易、地政学上の問題などで国際的な不均衡が増大し、特に複数の先進国で「構造的に弱い成長」が含まれるから、十分監視していかなければならないといっています。
 
 また、昨年7月のハンブルグ・サミットの貿易に関する首脳の合意を再確認し、リスクを緩和し信任を高めるための対話や行動の必要性を認識、経済に対する貿易の貢献の強化に取り組む、といっていますが、従前のように、単刀直入に自由貿易の推進といわず何か持って回った表現なのが気になります。

 ムニューシンさんは、アメリカの従来の姿勢である「強いドル」を肯定したようですが、トランプさんは相変わらずドル安をお好みのようで、勝手にツイートし、影響で円は一時、110円台になって、日経平均は300円超の下落をしたりというのが現実で、覇権国首脳の口先介入は「為替操作」ではないのかなんて言われたりしているようです。

 ブルームバーグは、「ムニューシンさんの発言で貿易戦争のリスク懸念が後退」と成果を主張していますが、まだまだ、どこで何時飛び出すか解らないトランプさんにツイートを懸念する人の方が多いのではないでしょうか。

 このブログでも一貫して指摘していますように、トランプさんは選挙公約の時から貿易赤字の削減を指向しており、そのためには為替戦争も辞さず、アメリカにカネが流入することならなんでも歓迎というお気持ちのようです。

 そのためにアメリカの産業の国際競争力を強くしてといった迂遠な発想はお持ちでないようで、輸入品に関税をかけるか、手っ取り早くドル安にするかといった方法論が先行するようです。

 それに対して、機転の利く中国が先回りして人民元安に動いたことは、またトランプさんを刺激したようです。
 矢張りトランプ政策というのは、経済の本質に関わるような行動を主体に置くのではなく、将来どうなるかは別として、ごく短期的に辻褄を合わせる「近視眼的」政策のために覇権国の力を利用するといった思考回路が中心のようです。

 今回のG20にもどこかその影が落ちていて、共同声明も「そのものズバリ」の表現が消えているのでしょうか。
 そんなことを繰り返していても、長い目で見れば、アメリカ自身が弱体化し損するのでしょうが、その辺り、トランプさんの頭の中ではどんな回路がどう繋がっているのかどうにも解りません。

 世界が迷惑し、特に日本は関税と円高のダブルパンチを受けそうな困った事態が進んでいきそうです。
 安倍さんは3選されたら、何はともあれ憲法改正で、経済の行方にも財政赤字の問題にも、あまり関心をお持ちでないようで、心配です。

ショウ・タイムは終わりました

2018年06月14日 10時28分22秒 | 国際経済
ショウ・タイムは終わりました
 米朝首脳会談から1日経って、マスコミの熱狂、両首脳の笑顔が実況から記憶に変わり、米朝両国は勿論、境を接する韓国、多様な問題を抱える日本、さらには世界の国々も、「さてこれから・・・」と考えることになったようです。

 一方では北朝鮮にとっての「体制維持」の具体化の動き、他方では米・韓・日、そして世界にとっての「朝鮮半島の非核化」への現実的なアプローチがこれからの議論の的という事でしょう。

 すでにポンペイオ米国務長官は、トランプ大統領の任期である2年半以内に、北朝鮮の大規模な軍縮の達成を望む」とし、トランプ大統領の任期中に「北朝鮮の核開発の放棄に向けた主要な作業の完了」という考えを示しています。

 金正恩氏は労働新聞に30数枚の首脳会談の写真を載せ、この国(北朝鮮)のリーダーの役割を果たせるのは自分だけという国民へのアピールを開始しました。

 これからが、両国、両首脳の知恵と力の本格的な発揮の段階という事になるのでしょう。
 容易な道のりではないでしょうが、世界の良識ある世論の応援や、国連やその機関の役割なども広く活用して、より早く、よりよい地点に到達することを願うのみです。

 ところで、日本はこれまで、全てはアメリカ経由、という一貫した立場を取ってきましたが、トランプさんに頼めるのはもうここまででしょう。
 拉致問題については「北朝鮮は『解決済み』と言っているが、金正恩は何も言わなかった」という情報が入っています。ここからは「あとは日朝の問題でしょう」ということになるのが自然の成り行きでしょう。

 日本としては、北朝鮮の主張する、賠償を含む戦後処理問題が、どんな議論になるのか、それとアメリカの言う、非核化の実現に対応する経済援助は韓国・日本の経済力を活用したいという意向とはどのような関係になるかなど、当面の安倍政権の課題としても、さらに長期的な日朝関係にしても、困難な問題は多でしょう。

 ある意味では、アメリカも北朝鮮も、ともに、日本の経済力に頼らなければならないという可能性は大きいようです。
 北朝鮮の出方次第ですが、問題は困難度の高いものになりそうな気がしていますが、現実はどう展開するでしょうか。

 平和と国際貢献をモットーとする日本外交ですが、安倍政権を含め、これからがいよいよ大変な時期になるようです。

トランプ政策とアメリカ経済の行方

2018年04月25日 10時47分58秒 | 国際経済
トランプ政策とアメリカ経済の行方
 昨日のニューヨーク株式市場も大幅下げだったようで、今日の東京市場も下げていますが、日本の連れ安は別として、最近のダウ平均の下げは、有力企業の収益不振がきっかけの事が多いようです。

 昨日などは史上最高益を発表した会社に対してこれで利益がピークアウトだとの予想で嫌気といった解説もあるようです。
 アメリカ市場は従来の強気から少し風向きが変わってきたのでしょうか。

 トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」に沸いてから1年余、自国中心、保護貿易といった政策が打ち出される中で、アメリカの繁栄を取り戻すという言葉に踊らされた景気から、トランプ経済政策の企業経営、実態経済へのマイナスの影響がジワリと認識されるようになったのではないでしょうか。

 鉄鋼やアルミの関税引き上げにしても、優れた素材については輸入の多いアメリカの製造業のコスト高につながるという意見は多かったわけで、それで一部のアメリカの産業地帯が喜んでも、現実の企業経営にとってはトータルではマイナスでしょう。

 製造業だけではありません、農業分野でも、アメリカの関税引き上げに対抗して中国はアメリからの輸入大豆で報復というも対抗手段を打ち出していますが、アメリカの大豆輸出の4分の1ほどを占めるとみられる中国です、保護主義の対決となれば、米中双方に痛手が広がることは必定です。

 もともと経済理論からいっても、競争力の落ちた産業を保護する政策は、競争力回復のための一時的政策としてなら可としても、現実には保護政策をとればとるだけ、競争力はさらに弱くなるのは当然で、トランプ政策は合理性に乏しいのです。

 これまでの所では世界に先駆けて金融の正常化、金利の引き上げを続けながら、経済成長率の回復、雇用の改善、物価の上昇といった目標を順調に追いつつあったアメリカ経済ですが、「アメリカ・ファースト」といった雰囲気づくりの奏功、それにシェールガス・オイルが援軍になったといった面に支えられたようにも見えます。

 現実に実体経済が順調な活動を続けるかどうかといった「サステイナブル」な成長状態を実現できるかどうかは、これから明らかになるのではないでしょうか。
 これまでの順調な動きの裏で、改めて、双子の赤字(財政赤字と経常赤字)拡大の懸念も出ているようです。
 北朝鮮問題を中心にトランプさんの国際政治の面での手腕に世界の関心が集まる中で、アメリカの実体経済にも十分注意を払う必要がありそうです。

日米会談:通商問題は平行線

2018年04月19日 11時45分45秒 | 国際経済
日米会談:通商問題は平行線
 今回の日米会談の日本にとっての目的は何だったのかと考えてみますと、アメリカの対北朝鮮政策に全面的に賛同するという事を駄目押し的にトランプ大統領に伝える事と、安倍総理はトランプ大統領の盟友であることの再確認という事だったのでしょう。
 
そして、それをベースにして安倍=トランプ関係を一層親密にし、その上で、日米通商問題におけるアメリカの圧力を少しでも和らげること、さらに出来得れば、安倍総理の力ではどうにもならない拉致問題について、何らかのお力添えをトランプ大統領に頼むことだったように見えてきます。
 
 そして、先ず、拉致問題については幸いにして、トランプ大統領の快諾を得ました。マスコミにとっても予想以上の成果だったと受け取られたのでしょう。多くのマスコミは大きく報道しました。

 残ったのは通商問題です。
 通商問題については、安倍総理は、開かれた自由貿易主義がベストと発言して、トランプ大統領の反応を探りましたが、トランプ大統領はTPPなどの多国間協定には基本的に反対で、2国間の交渉で協定(マスコミは2国間FTAと言ったりしていますが少し違うように思います)に持ち込むのが最もいい方法という主張を繰り返し、結局は平行線だったようです。

 盟友関係も損得勘定の壁は破れないという事でしょうか。現実の動きは今後のライトハウザー通商部代表と茂木経済産業大臣の日米交渉に持ち込まれるという事になるのでしょう。

 日米通商交渉には歴史があります。日本の経済力向上、アメリカ産業の停滞という構図の中で、日米繊維交渉から始まり、牛肉・オレンジ、鉄鋼、テレビ、自動車、半導体と、日本経済は日米交渉で苦労してきました。

 その間アメリカは、変動相場制移行、ドルの切り下げ、プラザ合意(円高政策)、リーマンショックによるドル安、など多様な競争力回復策を展開し、またシェ―ルオイル・ガス開発で、世界トップクラスの産油国になりながら、未だ貿易赤字は深刻な状態です。

 この問題の背後には、いわゆる産業の競争力もさることながら、アメリカの自国の生産力以上に消費する経済体質、日本のGDP(GNI)を使い残して貯蓄に励む経済体質(キリギリス体質のアメリカ、アリ体質の日本:イソップ寓話)という決定的な違いがあるのです。

 アメリカの「 キリギリス体質」は直らないでしょう。また、直すと、世界中が対米輸出減少で困るでしょう。
 ならば日本としては「 アリ体質」と改善し、国民が消費拡大するような政策をとらない限り、根本解決はないでしょう。

 このブログでは何年にもわたり繰り返して述べていますが、この所ますますひどくなった「将来不安による消費の抑制、貯蓄性向の顕著な増加」に対する抜本対策を取らない限り、問題は何時までも繰り返されるのでしょう。

日本は為替操作監視国に

2018年04月16日 11時23分25秒 | 国際経済
日本は為替操作監視国に
 為替操作国とか、為替操作監視国などと聞きますと何か国際的な基準があるのかと思ったりしますが、これはあくまでアメリカが自分の都合でやっていることです。

 ご承知のように、アメリカは万年赤字で、そのままでは国として資金繰りがつかなくなるので、国債を発行して外国に買ってもらったり、金融市場で、債券や証券、デリバティブなどで稼いだ金収入で、実体経済の赤字分を埋め合わせています。

 しかし、リーマンショック以降、アメリカの信用は落ちたようで、マネーマーケットからの資金調達も難しくなったのでしょうか、トランプさんは貿易赤字の削減に熱心です。

 そのせいかどうか知りませんが、為替操作国には該当しなくても(このところ認定される国はありません)、為替操作の疑いがある国について「監視リスト」を作って発表することに(2016年から)していて、今回日本はその「監視リスト」に入れられることになりました。日本のほかにも、ドイツ、スイス、韓国、中国、台湾があげられています。

 何か悪いことをしているような感じですが。これはアメリカの都合で、日本が悪いことやインチキをしているわけではありません。
 アメリカが決めている為替操作国の条件は、①「対米貿易黒字年200億ドル以上」、②「経常収支黒字の対GDP比3%以上」、③「GDPの2%以上の為替介入」の3条件ですが、日本はそのうち①と②に抵触しているという事です。
 
 覇権国、基軸通貨国のアメリカが言うわけですから、矢張りマネーマーケットなどには影響があるでしょう。
 しかし、「アメリカが自力で競争力を高める努力をして克服すべき問題だ」などという意見(これが正論でしょうが)は全く聞かれません。

 理由は良く解りませんが、どの国もアメリカという市場を当てにして、対米輸出で稼いでいるからでしょう。
 アメリカが競争力強化、経済再建のために引き締め政策などを採ったら、対米輸出は激減し、困る国は多いのでしょう。
 アメリカは赤字でも好況を持続して有難い輸出市場であって欲しいという事でしょうか。

 アメリカの都合で決めていることですが、日本は文句の言える立場でもないでしょう。当面、日米首脳の会談・ゴルフもあるようですが、厳しい話もあるかもしれません。
 しかし、この問題は、今の日本の経済状態から考えれば、あまり困る話ではないという側面もよく考える必要があるようです。

 日本の経常収支黒字、対米貿易黒字という問題は、アメリカにとっての問題であるとともに、日本にとっても積年の大問題であるのです。
 これは端的に、 日本経済の異常な消費不振、それによる低経済成長がもたらしている現象なのです。

 なぜ日本では異常な消費不振が続くのか、これは大きく言えば、日本経済への国民の将来不安、その大きな原因は、国民の政府不信にあるのでしょう。
 世界でも最も安定した経済基盤を持つ経済大国、日本で何ゆえに、異常な消費不振が続くのか、少子高齢化のせいにして仕舞ってはいけないのではないでしょうか。

 国の政策に、日本経済の成長、国民の明るい将来を展望させるようなものが着実に盛り込まれてくれば、日本国民も喜び、アメリカも喜ぶような結果が出てくるはずです。
 国会も政府も脳みそを大いに絞って頂きたいと思います。

強いられる円高に要注意

2018年03月17日 06時47分05秒 | 国際経済
強いられる円高に要注意
 1月の25日に「 微妙に変化する?アメリカのドル政策 」を書きました。
 トランプさんが「ドルは高すぎる」といい「ムニューシン財務長官」がダボス会議でドル安容認の発言をしたといったニュースが流れたからです。

 そのあとすぐにトランプ政権は、矢張りドルは強くあるべきだという伝統的な主張に切り替えたようですが、そこのは「長期的には」という形容詞が入っていました。
 そして現実のドルの動きは、その後、1$=105円台と106円台を行き来するような円高定着傾向という事になっています。

 マスコミは、鉄鋼アルミの関税問題が、アメリカ経済の足を引っ張るとの思惑でドルが売られ・・・、などといっている様ですが、どうも、基本的にはアメリカ自体が「ドル安」指向になってきているように感じるのは私だけでしょうか。

 これから、中国、韓国、日本などに対して、貿易交渉を本格化するというようなことになりそうですが、国際投資資本を援軍に付けて、ドル安圧力も併せて、交渉に臨むこともアメリカには可能なのかもしれません。

 一時の$1=¥120からみれば15円の円高、最近で見ても5円の円高です。円高は日本の物価には強力な引き下げ圧力ですから、いくら日銀が2%インフレといっても、5%近い円高ドル安で、そんな願望は消し飛ぶことになります。

 こんな大事な時に麻生財務大臣はG20を欠席です。理由は「森友」という極めて低次元の問題ですから、何か日本の政治に虚しさを感じてしまいます。

 2月20日に 政府が円レートについて如何なる姿勢を持っているのか と問いました。
プラザ合意やリーマンショックを顧みれば明らかですが、現状の日本経済にとっては5円10円の円高でも、経済成長路線、財政再建計画に致命的な影響を及ぼす可能性は大です。

 低次元の行政の問題で、国民の不信感を増幅するだけではなく、国際経済関係で見れば、まさにこれこそ国難にも関わるような重要な国際会議に財務大臣が欠席では、安倍政権は、本気で国のため、国民のための政治をしているのかと問いたくなる人も少なくないでしょう。
 
 日本経済は、まさに国民の真面目さが支えているとつくづく実感するこの頃です。政府は、少なくとも国民の真面目な努力の邪魔はしないでほしいと思ってしまいます。

アメリカにトランプ抑止力はないのか

2018年03月04日 09時52分27秒 | 国際経済
アメリカにトランプ抑止力はないのか
 トランプ大統領の突然の鉄鋼・アルミに、それぞれ25%、10%の関税をかけるという発言について、ロス商務長官が「幅広い構想だ」と述べ、広く適用されることを示唆しました。さらに缶詰でも自動車でも原料としての鉄鋼の部分の金額は小さいものだから、経済への影響は限定的で、懸念は過剰反応だという趣旨の発言をしたようです。

 また、アメリカの鉄鋼輸入国のトップは16%のカナダで、中国からは2%、などという数字も報道され、中国目当ては当たらないという意見もあります。
勿論、アメリカとの友好を目指す国々からも反発や懸念の声は広がっています。
 今回の問題は、数字の問題よりも、世界経済の考える際の理念の問題なのです。

 EUも、アメリカの突然の発表に対し、警告の意味もあるのでしょうか、報復関税も検討するという態度を示し、今度はそれにトランプさんが更なる反応を示し、EUから輸入する自動車に関税をかける可能性に言及しています。自動車になったらまたおおごとでしょう。

 何か言えば言い返すという子供の喧嘩みたいな様相ですが、「口論」の内はまだいいですが、現実の問題になったら、それこそ世界経済に大打撃でしょう。
 折角リーマン・ショックによる世界金融危機から、経済の正常化に向かって動き始めている世界経済を、こんなことで壊したくないのが世界の良識でしょう。

 考えてみれば、リーマンショックで世界経済に大打撃を与えたのもアメリカ発ですが、今回はアメリカ経済が世界最も好調といわれる中での、平地に乱を起こすような事態です。

 戦後、アメリカはアメリカなりに、自由貿易を基調に、世界経済の安定発展をリードしてきました。そのアメリカの健全な良心は、今どこに行っているのでしょうか。
 トランプ大統領を選んでしまったことに、失敗と感じたアメリカ人は多かったようでしたが、民主党、共和党の一部も含めて、 ジャイアンの母ちゃん のように、「たけし!」と耳を引っ張る世論は起こらないのでしょうか。

 アメリカ全体が、トランプ流に堕してしまったと考える人は、未だそんなに多くないと思います。多分、アメリカ社会には、日本ほど「忖度」はないでしょう。
 世界経済社会の安定した発展のために、アメリカの良識が、改めて積極的な活動をしてくれることを願いたいものです。

アメリカは狂ってしまったのか?

2018年03月03日 10時40分10秒 | 国際経済
アメリカは狂ってしまったのか?
 昨日、突如、トランプ大統領の「鉄鋼輸入に25%の関税、アルミには10%の関税をかけるという方針の発表がありました。

 かつてのトランプさんの、あの「にんまり」した笑顔が復活し、「アメリカが通商面で何10億ドルも失っている時、貿易戦争は役に立つ、勝つのは簡単だ」と経済関係を戦争に例え、貿易戦争も辞さない様子を見せました。

 戦後自由貿易を主導してきたアメリカが、正面切って貿易戦争、関税引き上げを言い出すなど、かつてのアメリカからすれば、考えられない所でしょう。
 アメリカは本当に狂って行ってしまうのでしょうか。

 既に、このトランプ発言には、世界中から反発や懸念の声が上がっていますが、トランプ政権は本当に、関税引き上げで、貿易戦争に勝つのは簡単だと思っているのでしょうか。
 アメリカの軍艦や戦闘機は、外国からの安い鉄鋼、アルミニウムで作られています。アメリカの兵器の製造コストは上がるでしょう。トランプさんは、それでも高いアメリカの兵器を沢山買ってくれる国があると考えているのでしょうか。それはどこでしょうか?

 トランプさんが大統領になった時、トランプさんは 被害者意識の塊だと思いました。恐らく世界最大の経済規模を持ち、覇権国、基軸通貨国であるアメリカが被害者意識の塊になった時、世界経済の正常な回転が阻害されるのではないかと懸念しました。

 被害者意識の原点は、アメリカの貿易赤字です。問題は、外国が悪いのか、赤字改善が出来ないアメリカ自身が悪いのか、その認識の違いでしょう。「赤字は自分の国の努力で直せ」というのがIMFの基本方針でしょう。 アメリカだけが例外なのです。

 もちろんアメリカは「アメリカなりの考え方で」世界の政治・経済の安定に多くのコストをかけています。それも赤字の原因でしょう。 覇権国は余程の経済力がないと赤字になり易いのです。

 だからといって、歴代の日本の幕府の様に、その末期、経済力がなくなった時に起きたような状態が今の覇権国や世界に許されることはないでしょう。
 さらに言えば、経済は経済の法則で動きます。政治でそれを変えようとしても、少し長い目で見れば経済の法則の方が勝つのです。これは歴史が証明しています。

 アメリカがこのまま、狂ってしまわないことを切に願うばかりです。

IMFも強気、世界経済の動き

2018年01月10日 23時40分35秒 | 国際経済
IMFも強気、世界経済の動き
 政治の混乱、絶えない紛争などを抱えながら、世界経済は何とか前進を続けているようです。
 世界経済の見通しについては、IMF(国際通貨基金)、OECD(経済協力開発機構)などが発表していますが、総じて、今年、来年はと順調な成長を続けると予想しているようです。

 具体的に見てみますとIMFの世界経済の成長見通しは、2017年が3.5%、2018年が3.6%、2019年が3.7%となっています。
 OECDのエコノミック・アウトルックでは、2017年が3.6%、2018年が3.7%、2019年が3.6%と、いずれも、いわば高原状態です。数字は全て、実質成長率です。

 勿論手放しで好調を予測しているわけではなく、米国経済の先行きが必ずしも安定的でないとか、中国経済は金融面の脆弱性を持っているといった超大国の主要な問題点から、例えば、日本については国債残高の累増など、種々の面は指摘しつつも、相対的には順調な成長ペースを維持可能と見ているようです。

 矢張り、基本的には、リーマンショックで世界経済が金融恐慌に直面してからほぼ10年を経過し、ショックにより歪みのもたらす諸問題を、それぞれに苦労して解決しながら、一応の整理と復興を目指し、漸く安定的な経済路線に到達できたという所がベースにはあるのではないでしょうか。

 主要なところを国別に見ますと、IMFでは米国、2017-19の3年間が2.2%、2.3%、1.9%、ユーロ圏は、2.1%、1.9%、1.7%、とやや低め、中国は、6.8%、6.5%、6.3%、インド、は、6.7%、7.4%、7.8%、などで、新興大国の中国とインドが逆方向というのも興味あるところです。

 因みに、日本は、1.5%、0.7%、0.8%、となっており、2018年度の政府見通し1.8%よりだいぶ低く(0.7%ただし暦年))なっていますが、これは、日本が人口減少などで元気が出ないと読んでいるとのことです(それでも日本について2018年度0.1%の上方修正をしています)。
 OECDの日本についての見通しは少し高く上記の3年間については、1.5%、1.2%、1.0%、となっています。先進国についてはOECDの見通しの方が多少高目に出ています。

  IMFについては、日本の実体についての理解が多少足りないような気が時々していますが、いずれにしても、主要な国際機関が、世界経済について、こうした比較的楽観的な見方をしているという事は、日本にとっても環境条件は良くなる可能性が高いという事です。日本経済にとっても追い風でしょう。

 新しい年、新しい年度には一つ、国際機関の鼻を明かすような実績を上げていきたいという所ではないでしょうか。

ソフトパワーでの解決に期待

2017年11月10日 11時10分20秒 | 国際経済
ソフトパワーでの解決に期待
 米中トップ会談も終わりました。中国外交のしたたかさも世界に知れ渡ったようです。
 政経一体で、2500億ドル、28兆円の取引をまとめ、トランプ大統領も、対中貿易赤字を中国のせいにせず、これまでの大統領の責任にしたようです。

 「俺のようにやっていれば、こんな赤字にはならなかった」という説明が可能になるという事でしょうが、米中貿易収支が結果的のどれだけ改善するかは「?」のような気がします。もともとアメリカが稼ぎより余計に食べている国ゆえの赤字なのです。

 北朝鮮については、中国自身の事情(長い国境線を持っている)もあり、中国東北部に難民などの混乱を発生させないためにも、平穏な解決を望んでいるのでしょう。
 朝鮮戦争の時とは大違いですが、国民が豊かになり、その維持向上のために政府も保守的になるという事でしょうか。

 アメリカは、直接国境を接していないものの、北朝鮮のミサイルの開発次第で、ハプニングがないとは限らないので、トランプさんも内心は慎重なのでしょう。
 トランプさんは、これから、ベトナム、フィリピン訪問、アセアン、東南アジア諸国連合の会合にも出席という予定ですが、そうした席上でも、矢張り、軍事力による解決を回避したいという意見は強いでしょう。

 もともとが北朝鮮の核兵器開発という、軍事力の強化の欲求から発生した問題ですが、最終的には、核の抑止力(核兵器の使用は双方の破滅)の必然性という事は誰でも解っているのでしょうから。口先は別として、行動には慎重なはずです。

 アジアの多くの国は、今、経済発展に一生懸命で、豊かな国づくりに邁進しています。昔言われたような、戦争は好況を招くなどという事は、経済の国際化の中で、次第になくなってきているのです。

 トランプさんのアジア歴訪が、脅しや反発の連鎖の裏で、本当は、ソフトパワーによる解決がベストという意識の周知、一般化に役立ち、現実が(これはまさに北朝鮮次第ですが)ソフトパワーが、こうした紛争を解決するという、人類にとって最も好ましい方向に進むことを期待したいと思います。

トランプ大統領は「日米貿易不均衡」を言いますが

2017年11月06日 13時44分45秒 | 国際経済
トランプ大統領は「日米貿易不均衡」を言いますが
 トランプ・安倍蜜月を見せつけているようなトランプ大統領の、初めての日本訪問ですが、日本との貿易につては、やはりアメリカは赤字は容認できないようで、厳しい意見を持っているようです。

 トランプ大統領は、今日、日米の企業経営者の前で演説し、「日本との貿易は公正ではない」と述べたようです。
 確かに、二国間の貿易収支で見れば、日本は黒字、アメリカは赤字で、しかも、対中国の赤字に次いで2番目に大きい赤字だというのも間違いではありません。
 しかし、何か、単純に、アメリカが赤字だから「公正ではない」と言っているように聞こえるのですが、気のせいでしょうか。

 最大の問題である自動車については、アメリカは輸入車に乗用2.5%、トラック25%の関税を課しているとのことですが、日本は関税ゼロです。
 私もアメ車に乗ったことはありませんが、理由は買いたくなる車がないからです。これは、不公正なことではなく、単なる消費者の合理的購買行動の結果でしょう。

 以前から歴代大統領が、「バイ・アメリカン」と言っても、アメリカ人も日本車を買うのですから、問題はアメリカの自動車メーカーにあるのでしょう。
 日本の2輪車は、世界を制覇していますが、日本でも、ハーレー・ダビッドソンの愛好者は沢山いるのです。

 歴史的に見れば、戦後長い間、日本は景気が良くなると輸入が増えて、国際収支が赤字になり、その都度引き締め政策をとって不況になっていました。
 次第に日本の製品が良くなり、日米繊維交渉、鉄鋼交渉、自動車交渉、半導体交渉などが起き、何とか話し合いをつけてきましたが、結局アメリカの赤字は消えず、ドルは金との兌換をやめ、変動相場制になりました。

 それでもアメリカの赤字は消えず、アメリカは、G5を主導して、「プラザ合意」で日本が大幅な円高になるようにしました。お蔭で日本経済は20年以上苦労しました。
 しかし、未だアメリアの赤字は消えません。

 これは日本のせいではなく、アメリカ自体に問題があるからでしょう。アメリカの赤字の原因は大きく2つで、1つは国際競争力低下、もう1つは覇権国のコストでしょう。
 トランプさんは、覇権国のコストを下げようと、「内向き政策(アメリカ・ファースト)」を掲げて当選しました。
 
 しかし、事はそう簡単ではないようです。競争力はそう簡単には上がりませんし、中東や極東の紛争で、「アメリカ・ファースト」は、「アメリカが先に立ってそうした問題を解決する」というスローガンだと受け取られかねなくなっています。

 トランプ大統領は、アメリカは優れた武器を沢山持っていると言っていますが、日本は戦争をしない国ですから、そんなに武器を買うわけにもいかないでしょう。
 アメリカの牛肉ばかり食べるわけにもいきません。アメリカに進出した企業も、失敗すると巨大な損失を出して塗炭の苦に喘ぐことも少なくありません。

 問題解決は容易ではありません。
 その中で、日本は、拉致問題まで、アメリカのお世話になりそうな状況ですが、世話になればなるほど、アメリカにきちんと返礼をしなければならないでしょう。
 しかしこれは貿易交渉で解決できる問題でしょうか。何かちぐはぐな気がするのは私だけでしょうか。

トランプ大統領の真意は?

2017年09月07日 10時48分55秒 | 国際経済
トランプ大統領の真意は?
 米朝対立の様相は、ますますエスカレートするようで、その当事者以外の国々が、それぞれに心配し、極端な結果にならないようにと対話路線、政治的解決の重要性を指摘している状態です。

 この問題についてもトランプ大統領の真意は、些か測りかねるところですが、一線を越えない内に、当事者の双方が真意を示すような機会が欲しいものです。

 もう1つトランプさんの真意を測りかねるのが、経済問題の方で、最近また繰り返されている「保護主義がアメリカを強くする」という発言です。

 国際競争力が落ち、いわゆるラストベルト、錆びついた産業地域の票を集めて当選したと言われるトランプ大統領ですから、支持層を裏切らないためにも、保護主義を旗印にアメリカ経済の再生を図りたいところでしょうが、事は志のようにはいきません。

 戦後の世界経済は、アメリカ主導の国際化で発展を遂げてきました。主導者のアメリカの企業は、率先して国際化を選択し、世界に覇を唱えてきましたが、 国と企業の利害相反の問題から、アメリカの国内経済の一部は衰退したようです。

 現実に起こったことは、アメリカの技術水準を活用し、賃金の安い海外で生産することで競争力を持ったのですから、アメリカの高い賃金水準で、生産しても、競争力はない分野が増えているのでしょう。
 結果は、国内工場の閉鎖ですが、トランプさんは、国内工場を閉鎖するなと号令をかけ、国内生産を企業に求めたわけです。

 しかし、経済原則は、それは成り立たないことを実証することになります。国際競争力のない工場は、雇用削減に走っているようです。残る手段はドルの大幅切り下げでしょうか。これはアメリカの威信と信用にかかわります。

 「 トランプ大統領のアメリカ:経済政策は矛盾の集積 」でも指摘したところですが、知りたいのは、「保護主義がアメリカを強くする」という言葉を、トランプさんが本当に信じているのかという事です。

 支持層への義理を果たすために、無理と知りつつ、当面それを繰り返すというのなら解らないでもないのですが、本当にそう信じているというのであれば、それこそ、アメリカの衰退は目に見えているという事にもなり、さらには、そういう大統領の選んだアメリカとはいったいどういう国になってしまったのかという事なるのでしょう。

 なんにしても、アメリカは現状、覇権国、基軸通貨国です。大国の責任、このブログで述べている >NGR(nation's global responsibility )の立場から言えば、許されないことでしょう。

 アメリカ人の多くは健全な良識を持っていると信じたいのですが、アメリカ自体のこうした混乱は、アメリカ自体の良識と努力によって、早期に改めていってほしいものです。

イエレンvs.トランプ:金融政策の行方は

2017年08月26日 11時48分33秒 | 国際経済
イエレンvs.トランプ:金融政策の行方は
 アメリカ、ワイオミング州のジャクソンホールで行われている年次シンポジウムでのイエレンFRB議長の発言が注目されていました。
 結果的には、イエレン議長は、当面するアメリカの金融政策には言及せず、この結果ドルは急落などと報道されています。

 金利の引き上げの見通し、バランスシート縮小の見通しについて聞きたかったマーケット関係者には物足りないもの(失望?)だったかもしれませんが、現状のトランプ政権のもとでは、FRB自体も、積極的に金融政策の方向などの発言は無理でしょう。

 6月の記者会見などでは、ゆっくりでも金融正常化にしっかり進むといった言い方でしたが、その支えとし堅調な雇用情勢を上げていました。
 しかし一部に、トランプ劇場もいよいよ馬脚が現れ、結果、アメリカ経済はトランプさんへの過剰な期待が剥げ落ち、失速などという見方も出ています。

 当面は北朝鮮問題が最大の関心事かもしれませんが、アメリカ経済、世界経済から言えば、リーマンショックに発する世界金融危機から、金融に関わるもろもろの信用を回復し、安定した経済の構築を可能にするという、極めて重要なプロセスが、リーマンショックの責任者であるアメリカを中心に世界で進められているところです。

 当然、イエレン議長の発言は注目されるところですが、そこでは、当面する金融政策よりも、金融制度、金融規制の在り方といった問題をイエレン議長は取り上げたかったのでしょう。

 発言要旨では、これまでの金融改革、金融への信用回復の成果については評価を示し、一方、その中ですでに、あの世界的な金融危機の代償(金融危機をもたらした金融機関の失敗とその代償)の大きさについての認識が薄れているのではないか、といった危惧が述べられています。

 おそらくこれは、トランプ政権が掲げる「ボルカ―・ルール(金融機関の投機的自己売買の規制など)の見直し」とFRBの金融制度についての考え方(より堅実でありたいと思っている)の違いについて、ソフトですが、問題提起をしたという事ではないでしょうか。

こうした金融制度に対する基本的考え方の違う中で、FRBとして(一方的に)当面する金融政策には触れにくかったのではないでしょうか。

 報道では、ECB(欧州中銀)のドラギ総裁は、金融緩和で欧州経済は立ち直ったことを評価し、金融緩和からの出口についての発言は?とか、日銀黒田総裁は、十分な金融緩和を続ける意向などと伝えられていますが、政権と金融の関係があちこちで難しくなっているように感じられるところです。