インターンシップの活用
インターンシップというのは、一言でいえば「学生の就労体験」ということでしょう。このところ日本でも次第に注目されるようになってきたようです。
確かに「金を払って勉強する」という学生の身分から、「金をもらって仕事をする」という社会人に転換することは、考えてみれば人生の中でもっとも大きな転換のひとつでしょう。親や先輩もみんなそうなのだからと「知識」としては知っていても、現実に自分の生活が大転換をすることになると、今の若者にとって、移行はそう簡単ではないようです。
一生懸命受験して就職した会社なのに、3年たったら大学卒で35パーセント、高校卒で50パーセントやめてしまうというのも、また、社会人への意識転換がうまく出来ずに、ニートになったり、半分ぐらい転換してフリーターになったりという人が沢山出るのも、この大転換にうまく適応できないからかもしれません。
この転換を漸進的に上手くやってこうという試みのひとつがインターンシップでしょう。学生のうちに企業で働く経験をして「そうか、社会人になるというのはこんなことなのか。まんざらでもないな。」と解ることで、転換をスムーズにやれるようになれば大変結構なことです。
アメリカでは、インターンシップを推進するのは「大学と企業で作る民間団体」です。ところが日本では、経産省と文科省と厚労省というお役所です。お役所は別々に予算を取って、それぞれに活動をすることになります。財政不如意ですから、活動はだんだん縮小します。それなら、日本でも民間で大学と企業が協力してそのための推進組織を作るかというと、そうした動きも見られません。
誰かがきちんと考えてやらなければならない大事なことでしょうが、今のところ、若者にとっての人生の大転換への支援体制がしっかりしないというのは、日本の若手人材の有効活用に無用な摩擦やロスをもたらすものだけに大変残念な状態なのではないでしょうか。