tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

パートの賃金水準

2007年11月21日 10時59分03秒 | 労働
パートの賃金水準
 パートの賃金水準を引き上げて、正社員に近づけようという動きが政府や労働側にあります。政府は最低賃金を引き上げて、パートの賃金を底上げしようと考えているようですし、連合も、このところ毎年パート賃金の上昇の要求をしています。

 今の正社員とパートの賃金水準のバランスが適切なものとは思いませんが、正社員の賃金とパートの賃金は「決まり方」が全く違うので、そのあたりを良く弁えていないと上手く行かないような気がします。

 パートの賃金は会社が決めているのではありません。基本的には地域地域のマーケットで決まっていて、経営者に出来ることは、せいぜいそれに多少の味付けをする程度です。

 パートなどの非正規従業員の多用が始まったのは、バブル崩壊以降の「失われた10年」といわれる長期不況の中です。当然求人は少ないので、パートの賃金は安く決まりました。正規従業員の賃金は企業内の賃金制度で決まっていて、法律に守られてなかなか下がりません。

 こうして発生した格差は、その後日本経済が立ち直り、雇用環境が変化して次第に変わってきています。パートの賃金は求人が多くなってじりじり上がっていますが、正社員の賃金は、傾向的にはまだ下がり続けているようです。多分こうした傾向は、今後も続いて、パートと正社員の賃金格差は次第に縮小していくのでしょう。
 そしてこれは、今の日本経済の実力(賃金を支払える経済力)から言えば、パートの賃金を上げるためには、正社員の賃金をもう少し下げなければならないという関係を示しているのでしょう。

 ようやく、低いながらも、成長路線を取り戻しつつある日本経済ですが、「地道に健全に格差の縮小に向かって活動している」ということが出来るようです。政府や労使に出来ることは、こうした動きを加速するような環境を作り出すことでしょう。