tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

動き始めるか日本経済

2012年02月21日 17時22分51秒 | 経済
動き始めるか日本経済
 ギリシャの国民が「経済にタダの昼飯はない」という諺を理解し、デモをやってもストをやっても、結局は、自分たちの経済の生産力の範囲で生活をするしかないという事を理解し、「ただし今までやってしまった過剰支出の結果の借金は、とてもすぐに返すのは無理だから、当面面倒を見てほしい、将来一生懸命働いて、ユーロ諸国や世界の皆様におかけしたご迷惑は最大限償うように努力します。」という事になれば、ユーロの混乱も一段落でしょう。

 ヨーロッパの国々はそれぞれに成熟した国々で、西も東も解らない子供ではないのですから、ギリシャがそうなれば、今騒がれている他の国々も、「俺のところは違う」とは言いにくくなり、結局は、実体経済の実力の水準にまで支出を切り詰めるしかないと理解することになると期待されるからです。

 こんな見通しのもとに、ユーロ相場が対円でも、対ドルでも持ち直してきたのでしょうか。その教訓がアメリカにどこまで共有されるのかわかりません。
アメリカには、未だ「アメリカは別だ」という気もあるようですが、アメリカには良識を持った人もたくさんいますから、本心では解っているのでしょう。

 しかしドルの持ち直しには、「アメリカの経済が堅調を取り戻したようだから」などという経済学者たち、巨大な赤字を垂れ流してでも経済活動を活発にした方を喜ぶ「近代経済学」ならぬ「近視経済学」者も多いですから、多分、またいつか何か起こるのでしょう。

 その頃は、アメリカ経済の世界での相対規模はますます小さくなっていて、世界経済への悪影響がより小さくて済むことを願うばかりですが、これは世界経済の抱える最大の問題として、最後まで残されそうです。

 一番良く解っている日本人は、政治家も、アカデミアも、財界も。陰に陽にそれに言及し、世界の関心、アメリカの良心に常にそのことのリマインドを働きかけることを、まさに「アメリカのために」心がけることが大事でしょう。

 それはまた、日本自身が、失われた二十数年をかけて経験してきた、過度の円高への、長期的な対応策でもあります。
 幸い、日本銀行は、過日の政策発表で、その基本線を示すことができたと思います。これからは、あらゆることを契機にして、日本経済の実力以上の円高を阻止する手段、戦略を縦横に活用することで、日本経済が本来の力を発揮して、世界経済にまともな貢献のできるものにしていくことを考えるべきでしょう。

 日本の国が芯まで腐らないうちに、人づくりからやり直せる(まずは新卒の就職率を高められる)ような力を企業に持たせるぐらいの、円レート実現に、今をチャンスに徹底した政策努力をつぎ込むべきでしょう。
 それが出来れば、少子化対策にも、税・社会保障の一体改革にも、新たな地平線が開けるでしょう。