tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

万年黒字脱却の具体策

2013年03月06日 18時37分39秒 | 経済
万年黒字脱却の具体策
 アメリカを始め、ほとんどの国が、万年赤字で財政緊縮などと言って苦労しているのに、日本だけが、「黒字を出さずに、稼いだGDPは全部使おう」などと言えるのは、どういうことだ、と不思議がるかもしれません。しかしそれが現実なのです。

 家庭でも、そういう家計の家族は、いつも気持ちに余裕を持って、サラ金に追われる心配もなく、ゆったりと暮らせるはずです。それが1985年までの日本の姿でした。世界は称賛し、「ジャパンアズナンバーワン」と羨ましがりました。

 そして、その序でに「少し円を切り上げてくれませんか」と言って来ました。「そうですか、それじゃ些か・・」と言った途端、円は2年間で$1=¥240から$1=¥120になりました。これは「二年間に日本の物価が一律2倍になったということです。

 同時に賃金も2倍になったのだからいいじゃないか」という経済学者もいました。しかしこの物価では日本企業は、外国企業と競争できません。輸出は不振になり、国内は外国製品で占領されることになりました。企業は倒産か海外へ、雇用は減り、賃金は下がりデフレになりました。これがプラザ合意(1985)です。

 しかしそうした中でも、日本経済は経常黒字を維持ました。どうしてそんなことが出来たのでしょうか。答えは簡単です。「日本人一人ひとりが、収入が減り、先行き不安になれば、支出を切り詰めたからです。
家計調査の平均消費性向はプラザ合意直前の78~79パーセントから失われた10年の底の1990年代後半には実に72パーセント台に下がっています。
 「先行き不安」が財布の紐を締めるという日本人の生活様式がはっきり出ています。(このブログの「国際競争力への誤解」2010/6/16参照)

 高齢化社会で、高齢者は貯蓄を取り崩しての生活だから日本の貯蓄率は黙っていても下がるという説もありますが、それを待っている時間はありません。円高に戻さないためには、もう今から、経常収支バランス(±0)の経済にする必要があるのです。

 そのための手段は、国民に「貯蓄をしなように、消費を伸ばしましましょう。」というキャンペーンを張るか、政府が国民の使わないカネを借りて(国債発行して)国民に代わって使うしかありません。

 今の国債発行もこうした目で見る必要があります。もちろん、国債を発行して国にカネを使ってもらうより、国民自身が使った方がいいかもしれません。しかしそのためには(平均消費性向を上げるためには)景気の先行き、雇用の先行きを明るくしなければならず、そのためには、再び円高になる心配の払拭が必要です。まさに「鶏と卵」です。

 マネー資本主義の世の中では、日本人のような健全経済志向は肩身が狭く、借金に頼る赤字国の方がやり易いという面があります。困ったものですが、アメリカが赤字国である限り、マネー資本主義は直らないでしょう。

 ですから、日銀はあくまで金融を緩め、政府は国債発行で国内黒字を全部借り上げ、それを日本再生に使うのです(それでも国債は国内消化です)。それで赤字国ぎりぎりになって、初めて、国際投機資本が、「日本も、高齢化(ジャパンシンドローム)と大震災でいよいよ赤字国転落か!」と思うのです。そこまで行って、初めて円買いは安全でなくなり、日本はやっと円高の恐れから解放されるのではないでしょうか。