tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

安全の重要性、「安全はペイする」を越えて

2014年01月19日 11時43分25秒 | 労働
安全の重要性、「安全はペイする」を越えて
 昨年末、国として考えなければならない自然災害と安全の問題、国際関係と安全の問題について書かせて頂きました。
 地球環境問題への対応の遅れが自然災害を大きくしているのではないかといった問題、国際関係の在り方においていかに紛争に近づかないような冷静な行動を取るか、は極めて重要と考えるからです。

 ひとたび災害や紛争が起これば、それによる損傷は計り知れません。かつて「安全第一」とか「安全はペイする」という標語がありましたが、「あらゆる場面で」安全の大切さは、いくら強調しても強調し過ぎることはないでしょう。
 
 そこではあえて触れませんでしたが、今回の原発問題にしても、これは、自然災害と人間の対応における失敗の複合体ということが出来るでしょう。
 これはかつて、3つの神話の中の原子力安全神話で触れさせていただきました。

 ここでまた、改めて安全問題を取り上げたのは、最近、産業やインフラ関連でも安全に対する心構えが些か緩んいるのではないかと思われるような事故が多発しているからです。
 以前なら考えられないような、大企業、公企業などでも何か、事故が多いような気がします。

 因みに、厚労省の労働災害統計による死傷者数でみても平成21年までは減少傾向にあったものが、22年から24年にかけては、3年連続の増加傾向になっています。
 労働災害は景気と関係があり、好況の時は増加する傾向がありますが、日本経済が不況に沈んだ一昨年までの統計で増加というのには、問題を感じていしまします。

 日本企業は作業現場だけでなく、私のような事務職に至るまで、5SやTQMの考え方を学び、「ヒヤリハット体験」「検算しない計算は計算ではない」「校正(後生)恐るべし」など安全や不注意についての仕事に応じたノーハウを教わった経験があります。
 「ヒヤリハット」などは、退職後の生活の中での車の運転においても、大いに役立っています。

 これも因みにですが、企業の教育訓練費の動向を見てみました。かつての労働費用調査、今の「就労条件総合調査」で、これは3年に1度程度しか調査項目に入れていませんが、(最近時点では2006年と2011年)従業員1人当たりで、2011年は2006年の約3分の2に減っています。
 更に、安全関係のトレーナーが、「最近は効率重視で、安全関係は出番が少ない」と嘆いているのを聞いたこともあります。

 日本企業は、強いられた不況の中で、本当にまじめに頑張って来ましたし、安全のレベルは総じて高いと思っていますが、長期不況のせいで、已むに已まれず安全教育のコストを削減しているとしたら矢張り問題です。
 「安全はペイする」という視点からも大きな損失ですし、さらに安全そのものを何よりも大事にする気持が大事です。教育予算がなければ、ベテランがOJTで、正規、非正規を問わず指導を徹底するといった一層の真剣さが必要とつい考えてしまった次第です。