tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

デフレほぼ脱出、日本人のエネルギー発揮を

2014年01月07日 12時45分35秒 | 経済
デフレほぼ脱出、日本人のエネルギー発揮を
 安倍総理が新年の挨拶で、今年こそはデフレ脱却をと言っていました。その為に何をするのかははっきりしませんでしたが、積極財政、賃金の引き上げなどを言っていますからそうした経済政策によってデフレ脱却をとお考えなのでしょう。

 客観的に見れば、日本経済はすでにデフレを抜けかけていると思います。それはデフレになった原因を理解していればはっきりすることです。毎度繰り返しになりますが、日本がデフレになったのは、日本の経済政策のせいではありません。
 原因は単純で、円高(プラザ合意、リーマンショックなど)によって、円建てのものはすべて円の切り上げ分だけ国際的に見て値段が高くなったからです。

 具体的に言えば、テレビならサムスンやLGと競争し、自動車ならVWやアウディ、BMWと競争していたのですが、円高になった分だけドル建の値段が上がり、日本製品は競争力を失ったわけです。国際競争の中で日本製品は値下げを強いられます。デフレです。

 一生懸命コスト削減の努力をし、競争力回復を図ってきました。ところが昨年から日銀の政策変更で、$1=¥80から$1=¥100円になり、さらにここにきて105円になってきました。25円幅の円安です。この円安で日本製品は急速に競争力を取り戻します。

 つまり、日本のデフレはほとんどが円レートの変動のせいなのです。105円になれば、ほぼデフレ脱却でしょうというのはそういう理由です。
 あと必要なことは、再び円高に戻さないこと、誤ってコスト高にして、今度は自分の失敗で競争力を失わないことの2つでしょう。
 安倍さんは「今年こそデフレ脱却を」という代わりに「もう円高に戻すようなことはしません」というべきだったのです。
 
 政府経済見通しによる来年度の消費者物価上昇率は3.2パーセントです。そのうち2パーセント弱が消費税導入による上昇でしょう。残る1.5パーセント弱が輸入インフレ(輸入原材料価格等の上昇)分と国内コスト(大部分は賃金コスト)上昇が実質経済成長率を上回る分によると見ているのでしょう。

 こうした物価上昇分を、消費購買力の増加で日本経済の成長を引っ張るという立場から賃上げに織り込むべきだという意見が労組や学者・評論家の一部にあるようです。

 消費増税で景気が腰折れになることを懸念すればこうした意見も説得力があるように感じられます。しかし、こうしたムード的強気論成立つとすれば、それは、日本経済がデフレを脱却したという条件、雇用環境が改善し、消費性向にプラスの影響が明らかといった条件、さらには、その賃金上昇をカバーする経済成長が可能になる、といった条件があっての話です。

 本気でそれを目指すなら、それは意欲的で国民に明るい希望を与えるものでしょう。しかし来年度の政府経済見通しでは実質経済成長は1.4パーセントとなっています。
 就業者数増加0.2パーセント、雇用者数増加0.5パーセントで、一人当りの国民経済生産性上昇は漸く1.2パーセントです。政府は掛け声と違って、あまり元気のない日本経済を描いているようです。
 日本の企業労使、日本人全体のエネルギーが、政府見通しを超えた元気な日本経済を実現することを望むや切です。