サプライチェーン全体への適正な付加価値配分
2017春闘も3月15日の大手集中回答日を過ぎて、今、中小の交渉が年度末を目指して進行中という事でしょうか。
途中集計結果も出ていて、大手が昨年を下回る一方、中小でも大手を上回る賃上げ率とか(額では難しい)、パート・アルバイト賃金の上昇が顕著といった情報もあるようです。
格差社会化が進む中で、いわゆるトリクルダウン仮説が否定され、連合白書でも、「サプライチェーン全体への適正な付加価値配分」が主張され、労組だけでなく、日本全体でも(世界的にも)格差社会化反対の意識は強いようです。
連合が上記主張と同時に、取引価格の適正化(公正取引)といいう、本来は経営にかかわる問題にも積極的に言及していますが、企業内でも、企業間でも、賃金格差が異常に拡大することは社会の不安定をもたらし、望ましいことではないという意識でしょう。
ピケティも「所得格差は、放置すれば常に進行していく」と指摘していますが、それは「その流れは止めなくてはならない」という意識があってこそでしょう。
背後には、所得は生産性の向上によってもたらされるもので、その配分は勝手にゆがめられてはならないという基本的な考え方があるはずです。
ところで、生産性測定の技法の中で「ダブル・デフレーション」というのがあります。
日本の産業構造は大手親企業アセンブラーの下に、複数階層の下請けという形が多くみられます。
円高不況の頃は、親会社が子会社に対し一斉に、「納入価格3割引下げ!」といった通告をするといったこともありまあした。また「下請けにしわ寄せ」などという言葉も良く使われますが、こうした問題が合理的かどうかを客観的公正な基準で判断するための道具が「ダブル・デフレーション」です。
3割値下げをするには、3割生産性を上げなければなりません。親企業が輸出する価格が円建てで3割下がったから、下請けにも3割り値下げを要求するという事でしょうから、サプライチェーン全体が3割生産性を上げて、対抗するという事です。
逆に円安になって、円建て輸出価格が3割上がったら、皆3割値上げしていいよ、というのが、サプライチェーンの付加価値の均等配分です。
これを正確に測定しようというのがダブル・デフレーションです。理屈は簡単で、親企業から下請けまでの各階層で、販売価格と材料・サービスの購入価格の両方の変動を記録し、価格が変動しなかったと仮定した場合の付加価値生産性を測定します。それと現実の付加価値生産性を比較して、現実の付加価値生産性の方が低ければ、「生産性を上げて頑張ったが、仕入れと販売の価格変動で食われてしまった、という事になります。
各段階で、こうした数字を比較すれば、配分が均等だったかどうかわかります。
日銀では「企業物価統計」の中で、産業別の「投入・産出」(仕入れ・販売)、の物価水準を出しています。例えば。鉄鋼産業の値上げが自動車産業の付加価値にどう影響したかといった分析が(ある程度)可能です。
生産性は付加価値の源泉で(付加価値は賃金の源泉で)、価格変動はそれに直接影響を与えるのもですから、「ダブル・デフレーション」の考え方は、重要だと思っています。
2017春闘も3月15日の大手集中回答日を過ぎて、今、中小の交渉が年度末を目指して進行中という事でしょうか。
途中集計結果も出ていて、大手が昨年を下回る一方、中小でも大手を上回る賃上げ率とか(額では難しい)、パート・アルバイト賃金の上昇が顕著といった情報もあるようです。
格差社会化が進む中で、いわゆるトリクルダウン仮説が否定され、連合白書でも、「サプライチェーン全体への適正な付加価値配分」が主張され、労組だけでなく、日本全体でも(世界的にも)格差社会化反対の意識は強いようです。
連合が上記主張と同時に、取引価格の適正化(公正取引)といいう、本来は経営にかかわる問題にも積極的に言及していますが、企業内でも、企業間でも、賃金格差が異常に拡大することは社会の不安定をもたらし、望ましいことではないという意識でしょう。
ピケティも「所得格差は、放置すれば常に進行していく」と指摘していますが、それは「その流れは止めなくてはならない」という意識があってこそでしょう。
背後には、所得は生産性の向上によってもたらされるもので、その配分は勝手にゆがめられてはならないという基本的な考え方があるはずです。
ところで、生産性測定の技法の中で「ダブル・デフレーション」というのがあります。
日本の産業構造は大手親企業アセンブラーの下に、複数階層の下請けという形が多くみられます。
円高不況の頃は、親会社が子会社に対し一斉に、「納入価格3割引下げ!」といった通告をするといったこともありまあした。また「下請けにしわ寄せ」などという言葉も良く使われますが、こうした問題が合理的かどうかを客観的公正な基準で判断するための道具が「ダブル・デフレーション」です。
3割値下げをするには、3割生産性を上げなければなりません。親企業が輸出する価格が円建てで3割下がったから、下請けにも3割り値下げを要求するという事でしょうから、サプライチェーン全体が3割生産性を上げて、対抗するという事です。
逆に円安になって、円建て輸出価格が3割上がったら、皆3割値上げしていいよ、というのが、サプライチェーンの付加価値の均等配分です。
これを正確に測定しようというのがダブル・デフレーションです。理屈は簡単で、親企業から下請けまでの各階層で、販売価格と材料・サービスの購入価格の両方の変動を記録し、価格が変動しなかったと仮定した場合の付加価値生産性を測定します。それと現実の付加価値生産性を比較して、現実の付加価値生産性の方が低ければ、「生産性を上げて頑張ったが、仕入れと販売の価格変動で食われてしまった、という事になります。
各段階で、こうした数字を比較すれば、配分が均等だったかどうかわかります。
日銀では「企業物価統計」の中で、産業別の「投入・産出」(仕入れ・販売)、の物価水準を出しています。例えば。鉄鋼産業の値上げが自動車産業の付加価値にどう影響したかといった分析が(ある程度)可能です。
生産性は付加価値の源泉で(付加価値は賃金の源泉で)、価格変動はそれに直接影響を与えるのもですから、「ダブル・デフレーション」の考え方は、重要だと思っています。