6月家計調査:10万円給付金はどう使われた?
今日、2020年6月分の家計調査が発表になりました。
2人以上所帯の前年同月比の消費支出(名目値)を見ますと、2人以上所帯:マイナス1.1%、内、勤労者所帯:マイナス3.3%で、2人以上所帯は4月、5月の対前年同月比2桁の減少からかなり回復で、勤労者所帯でも5月のマイナス15.5%から確り回復しています。
5月迄のstay home の影響が緩和されたことによるのが大きいと思われます。
それでもまだマイナスですから、その後第二波の深刻さなども考えると今後についても心配の種は尽きません。もう一つ、見ておくべき点は6月には、1人10万円の給付金の振り込みが本格化してきているはずですが、これがどうなったかという事です。
家計調査では収入が調査されているのは勤労者所帯だけですから(無職所帯についても収入は調査されていますが、これはまた別途見たいと思います)勤労者所帯の収入の内訳をちょっと見ていきましょう。
勤労者所帯の実収入(以下全て名目値)は、6月はボーナス月ですから増えますが、ここでの増減の数字は対前年同月ですからボーナス月という影響はありません。
ボーナスの調査は民間機関などがやっていますが昨年より多少減っているようです。しかし勤労者所帯の6月の実収入の対前年同月比は15.7%の伸びです。
勿論給料などの定期的な収入は、所帯主の分も、(配偶者分は微増)、その他の所帯員の分もどれも昨年6月より減っています。
増えているのは、「特別収入」の中の「他の特別収入」という項目で今年の6月は15万700円です。前月は3万9000円でしたから、6月はずいぶん増えました。
これが1人10万円の給付金です。平均所帯人員は3.31人ですから、4月5月でほぼ半分の人に行き渡ったという事でしょう。
この分は課税対象にならないので、そのまま手取りですから可処分所得は19%も増えました。
これに対して、消費支出は前述のようにマイナス3.3%ですから、毎月ご報告している「平均消費性向」は昨年6月の43.5%から今年の6月は35.4%に下がってしまいました。(6月はボーナス月なので平均消費性向は低い)
つまり、勤労者所帯の平均で見れば、可処分所得が134,651円増えたのですが消費支出は10,058円減らしたという事になっています(家計調査の統計表から計算)。
コロナ禍の中で国民はおカネに困っているから、「早く全員に配れ」の掛け声だった政府からの特別給付金は6月に1所帯平均157,000円振り込まれましたが、その86%は振り込まれた銀行の預金残高の増加になっているという事です。
これは勤労者所帯ですが、この分ですと、15兆円近くを要した1人10万円の給付金のうち十何兆円かは、差し当たって家計の銀行預金残高を増やすことになりそうです。こういうのを「事、志と違った」というのでしょう。
国内総需要が縮小している中で使われないおカネ十何兆円は銀行を経由して、日銀に還流するかマネーマーケットに行くのでしょう。
もしこのおカネを検査体制を含む医療設備の高度化やワクチンの開発に使っていたら状況はずいぶん変わっていたのではないかなどと考えてしまします。
余計な事まで書いてしまいましたが、家計調査を見れば、1人10万円のバラマキが、何処に行っているかはきちんと見えてくるという事で、統計調査というのは、本当に役に立つものだという事が多くに人にご理解いただければと思っています。
今日、2020年6月分の家計調査が発表になりました。
2人以上所帯の前年同月比の消費支出(名目値)を見ますと、2人以上所帯:マイナス1.1%、内、勤労者所帯:マイナス3.3%で、2人以上所帯は4月、5月の対前年同月比2桁の減少からかなり回復で、勤労者所帯でも5月のマイナス15.5%から確り回復しています。
5月迄のstay home の影響が緩和されたことによるのが大きいと思われます。
それでもまだマイナスですから、その後第二波の深刻さなども考えると今後についても心配の種は尽きません。もう一つ、見ておくべき点は6月には、1人10万円の給付金の振り込みが本格化してきているはずですが、これがどうなったかという事です。
家計調査では収入が調査されているのは勤労者所帯だけですから(無職所帯についても収入は調査されていますが、これはまた別途見たいと思います)勤労者所帯の収入の内訳をちょっと見ていきましょう。
勤労者所帯の実収入(以下全て名目値)は、6月はボーナス月ですから増えますが、ここでの増減の数字は対前年同月ですからボーナス月という影響はありません。
ボーナスの調査は民間機関などがやっていますが昨年より多少減っているようです。しかし勤労者所帯の6月の実収入の対前年同月比は15.7%の伸びです。
勿論給料などの定期的な収入は、所帯主の分も、(配偶者分は微増)、その他の所帯員の分もどれも昨年6月より減っています。
増えているのは、「特別収入」の中の「他の特別収入」という項目で今年の6月は15万700円です。前月は3万9000円でしたから、6月はずいぶん増えました。
これが1人10万円の給付金です。平均所帯人員は3.31人ですから、4月5月でほぼ半分の人に行き渡ったという事でしょう。
この分は課税対象にならないので、そのまま手取りですから可処分所得は19%も増えました。
これに対して、消費支出は前述のようにマイナス3.3%ですから、毎月ご報告している「平均消費性向」は昨年6月の43.5%から今年の6月は35.4%に下がってしまいました。(6月はボーナス月なので平均消費性向は低い)
つまり、勤労者所帯の平均で見れば、可処分所得が134,651円増えたのですが消費支出は10,058円減らしたという事になっています(家計調査の統計表から計算)。
コロナ禍の中で国民はおカネに困っているから、「早く全員に配れ」の掛け声だった政府からの特別給付金は6月に1所帯平均157,000円振り込まれましたが、その86%は振り込まれた銀行の預金残高の増加になっているという事です。
これは勤労者所帯ですが、この分ですと、15兆円近くを要した1人10万円の給付金のうち十何兆円かは、差し当たって家計の銀行預金残高を増やすことになりそうです。こういうのを「事、志と違った」というのでしょう。
国内総需要が縮小している中で使われないおカネ十何兆円は銀行を経由して、日銀に還流するかマネーマーケットに行くのでしょう。
もしこのおカネを検査体制を含む医療設備の高度化やワクチンの開発に使っていたら状況はずいぶん変わっていたのではないかなどと考えてしまします。
余計な事まで書いてしまいましたが、家計調査を見れば、1人10万円のバラマキが、何処に行っているかはきちんと見えてくるという事で、統計調査というのは、本当に役に立つものだという事が多くに人にご理解いただければと思っています。