安倍政権の経済・労働政策を振り返る
長かった安倍政権もあっけない幕切れになりました。あっけなかっただけに、このブログに関わる経済、労働関係でも尻切れトンボになっている問題が多いのは当然です。今後の日本を考えるためにも矢張り一度整理しておかなければといった思いです。
経済面では、安倍政権の発足は華々しいものでした。
黒田日銀総裁を任命し、黒田さんは バーナンキ流の金融政策を活用、いわゆる2発の黒田バズーカを発射、$1=80円の異常な円高から$1=120円の円安を実現、為替レートの正常化による日本経済の正常化のベースを設定しました。
更に、安倍政権は、黒田日銀と連携し、「 2%インフレ目標」を設定して、日本経済の再活性化の実現を目指したのは当然だと思われるところです。
そのための具体的政策として「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「投資を喚起する成長戦略」の3本の矢を掲げ「 アベノミクス」と称しました。
まず、大胆な金融政策は大成功でした。日銀は円高容認から円高拒否に180℃の転換をしたのです。
しかしそれに続く財政政策と成長戦略は、恐らく(実は未だに)まだ中身が具体的には何も出来ていなかったのでしょう。
財政政策は、財政健全化と財政支で景気テコ入れの間でいつも揺れ動いていました。
2014年の消費増税(5%→8%)は$1=120円の円安政策と同期しており、円安差益も含め、日本経済はこれから本物の景気回復と思われた時期でしたから、「消費税は政権つぶし」というジンクスもその勢いで乗り切ることが出来たのでしょう。
しかし、1917年に予定されていた消費増税は、 結局2年半延期となり、矢張り昨年9月になりました。消費増税などと言い出したら選挙に負けるという意識だったのでしょう。
あの時、「財政健全化はどうするのか」という質問に、安倍総理は、「今回の増税延期は影響ありません」と明確に答えています。
その後も、財政の厳しさは続き、2020年の プライマリー・バランス回復は延期になり、2025年の回復も不可能との計算になっているのが現状です。
そして「投資を喚起する成長戦略」では、巨大な円安差益もあり、企業の投資は進みましたが、その多くは国内でなく、海外への投資となり、海外諸国の経済成長には貢献しましたが、GDP/国内総生産への貢献は予想外に少なかったのでしょう。
その結果、 第一次所得収支(海外からの、利子・配当収入など)は増えましたが、これはGDPには入りません。
もう1つ、經濟成長の最大要素である消費支出と「2%インフレ目標」を何とかしようという事で、安倍総理は毎年の春闘で、労使に「賃上げ奨励」をし「官製春闘」などという言葉を生みました。
しかし、賃金決定は労使の専管事項ですから、企業は面従腹背、賃上げを望む労働側も有難迷惑だったのでしょう。賃上げを政府の奨励の成果のように喧伝した安倍発言の評判は良くなかったようです
結局、賃上げは思うように上がらず、更に、政府の少子高齢化問題の深刻化発言、財政健全化の達成難の関連で、 年金財政の将来懸念などの見方から、国民の老後不安・将来不安が強まり、家計は貯蓄性向を高め、 消費性向は低迷 消費不振による経済成長の低迷を深刻にしてしまったようです。
こうしてアベノミクスは息切れから尻すぼみになるのですが、これは3本矢の中身が出来ていたのは1本目だけで、2本目、3本目は中身が何も出来ていなかったという事によるものでしょう。
安倍政権後半の実情についても、整理しておかなければならないことは沢山ありますが、長くなりますので、次の機会にしたいと思います。
長かった安倍政権もあっけない幕切れになりました。あっけなかっただけに、このブログに関わる経済、労働関係でも尻切れトンボになっている問題が多いのは当然です。今後の日本を考えるためにも矢張り一度整理しておかなければといった思いです。
経済面では、安倍政権の発足は華々しいものでした。
黒田日銀総裁を任命し、黒田さんは バーナンキ流の金融政策を活用、いわゆる2発の黒田バズーカを発射、$1=80円の異常な円高から$1=120円の円安を実現、為替レートの正常化による日本経済の正常化のベースを設定しました。
更に、安倍政権は、黒田日銀と連携し、「 2%インフレ目標」を設定して、日本経済の再活性化の実現を目指したのは当然だと思われるところです。
そのための具体的政策として「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「投資を喚起する成長戦略」の3本の矢を掲げ「 アベノミクス」と称しました。
まず、大胆な金融政策は大成功でした。日銀は円高容認から円高拒否に180℃の転換をしたのです。
しかしそれに続く財政政策と成長戦略は、恐らく(実は未だに)まだ中身が具体的には何も出来ていなかったのでしょう。
財政政策は、財政健全化と財政支で景気テコ入れの間でいつも揺れ動いていました。
2014年の消費増税(5%→8%)は$1=120円の円安政策と同期しており、円安差益も含め、日本経済はこれから本物の景気回復と思われた時期でしたから、「消費税は政権つぶし」というジンクスもその勢いで乗り切ることが出来たのでしょう。
しかし、1917年に予定されていた消費増税は、 結局2年半延期となり、矢張り昨年9月になりました。消費増税などと言い出したら選挙に負けるという意識だったのでしょう。
あの時、「財政健全化はどうするのか」という質問に、安倍総理は、「今回の増税延期は影響ありません」と明確に答えています。
その後も、財政の厳しさは続き、2020年の プライマリー・バランス回復は延期になり、2025年の回復も不可能との計算になっているのが現状です。
そして「投資を喚起する成長戦略」では、巨大な円安差益もあり、企業の投資は進みましたが、その多くは国内でなく、海外への投資となり、海外諸国の経済成長には貢献しましたが、GDP/国内総生産への貢献は予想外に少なかったのでしょう。
その結果、 第一次所得収支(海外からの、利子・配当収入など)は増えましたが、これはGDPには入りません。
もう1つ、經濟成長の最大要素である消費支出と「2%インフレ目標」を何とかしようという事で、安倍総理は毎年の春闘で、労使に「賃上げ奨励」をし「官製春闘」などという言葉を生みました。
しかし、賃金決定は労使の専管事項ですから、企業は面従腹背、賃上げを望む労働側も有難迷惑だったのでしょう。賃上げを政府の奨励の成果のように喧伝した安倍発言の評判は良くなかったようです
結局、賃上げは思うように上がらず、更に、政府の少子高齢化問題の深刻化発言、財政健全化の達成難の関連で、 年金財政の将来懸念などの見方から、国民の老後不安・将来不安が強まり、家計は貯蓄性向を高め、 消費性向は低迷 消費不振による経済成長の低迷を深刻にしてしまったようです。
こうしてアベノミクスは息切れから尻すぼみになるのですが、これは3本矢の中身が出来ていたのは1本目だけで、2本目、3本目は中身が何も出来ていなかったという事によるものでしょう。
安倍政権後半の実情についても、整理しておかなければならないことは沢山ありますが、長くなりますので、次の機会にしたいと思います。