アメリかでは1月20日、日本時間では今夜、トランプ大統領の第二幕、トランプⅡが始まります。
不法移民対策が当面する最初の課題でどこまでやるかが焦点のようですが、経済問題としては、関税の引き上げが当面するトランプⅡの主要課題という所でしょうか。
ご承知のように、アメリカは1970年代以来一貫して経常収支の赤字国です。この問題に関しては、トランプさんは、世界の多くの国がアメリカにものを売って儲けている。しかしそうした国々は、自国の利益ばかり考えて、アメリカを利用するばかり。一方アメリカは市場として利用されるばかりで、結局損ばかりしている。
この状況を正すためには、アメリカとして、安価で入って来る輸入品に関税をかけて、アメリカを市場として利用するばかりの国々に対抗しなければならないと言うのです。
という訳で日本を含めアメリカに輸出をする国に対して1律10-20%、中国には60%の関税をかけるというのが大統領選挙戦の時からの公約です。
アメリカは元々自由貿易の推進を主導した国で、関税引き下げに世界中を巻き込んで、それが世界経済の発展につながると主唱してきた国です。
もともと戦後はアメリカの経済力が強く、穀物から家電製品、自動車、航空機まで、みな競争力がありましたから、日本など他の国はアメリカから輸入していれば国内の生産力がつかないので、輸入品に関税をかけて国内産業を育成したのです。お米はその代表ですし、今でも小麦や大豆、トウモロコシ、牛肉などは、アメリカには敵いません。
しかし、電化製品や自動車などは日本や中国などの製品の方が安くなり、アメリカは中国や日本の製品を輸入し、貿易は赤字に転落です。
経済の原則は、消費者は割安(良くて安い)のものを買うという事です。トランプさんは、政界中がアメリカに輸出して儲けていると言いますが、アメリカの消費者は、良いものが安く買えて喜んでいるのです。
かつてアメリカが主導した自由貿易で、日本や中国が力をつけて来たのですから、今度はアメリカが力をつける番なのでしょう。トランプさんはそのために関税を引き上げてラストベルト地帯の復活を目指しているのでしょう。
関税は、輸入品に負けているアメリカの産業が復活するための防波堤のようなもので、関税をかけている間に、アメリカが産業の競争力をつける努力をしなければならないという事でしょう。
本当に大事なのは、競争力回復の努力なのですが、その辺りのトランプさんの意識が解りません。
トランプさんがイーロン・マスク氏を重用しているようですが、マスク氏の様な起業家が、沢山生れて来れば成功の可能性は大きくなるでしょう。
トランプさんの実験が成功するか、日本も「注視」しましょう。成功しても、失敗しても,学ぶことはいろいろあると思います。