塞翁が馬。
実はこうなるような気がしていた。
だから、大会前にブームにこの言葉を書いた。
過去になく、大変なレガッタだった--。
お疲れ様です。スナイプスキッパーをしております、3年戸沢です。
先週末、全日本出場をかけた関東インカレ決勝が行われました。
正直なところ、もっといけた。この1年間、もうスナイプチームは全日本出場を目指すチームではなく、秋インカレや全日本で入賞を目指すチームになっていたし、チカラはあった。
それを他2艇が証明してくれた。
吉武/長岡の船が1位を取れたのも、まぐれなんかじゃない。3位で回航したはずなのに、そこから抜いていっているし、抜いて1位を取るには勝負するコース引きをしなければならないはず。3位を守りきるようなコースを引いたのではなくて、3位でもまだ前に出ようとするチームになった。
ご存じの人も多いかとは思いますが、自分はこの大会の1ヶ月前に右手に全治1ヶ月の怪我をしてしまいました。
本当に辛かった。
ちょうどその頃、実力がついてきてる自信もあったし、前のブログにも書いた通り、結果も出るようになっていた。
家に居てもいてもたってもいられなくて、何度も部活には戻ったけど、サポートするだけでも怪我が悪化して。今は治すことが自分の仕事なんだって。
そして、大会の3日前に練習がやっと再開できました。
初日は風がなさすぎたし、初日から一日中出れないということで2時間でハーバーバック。前よりいろいろなことにセンシティブになっていて、スピードは悪くないなって思えて。なんなら前より早い気がするって話をして。
そして次の日、早稲田とのコース練をしました。
7レースやって、過去になく前を走り続けて。やっぱり感覚は悪くなかった。
そして、レース当日。
ブームに書こうと選んだ言葉は
塞翁が馬。
(【意味】人間の禍福は変転し、予測できないことのたとえ。また、だから容易に喜んだり悲しむべきではないということ。)
怪我してたからといって、だめだだめだなんて思っちゃいけない。実際、ヨットに乗るのが久々だったからこそ感覚が研ぎ澄まされてた。だけど、前々日のコース練で走ったからといって、そんなに簡単に前を走れると思っちゃいけない。
レース中だって、前を走ることも、後ろを走ることも、トラブルだってたくさん起こる。
一喜一憂なんてしない。
そう思ってこの言葉を書きました。
正直なところ、多分どこか自信がなかった。。
みんなはずーっと練習してきていたのに、自分は休んでいたっていうのがどこかにあって。
久しぶりに練習に戻ってきたら、コーチにも仲間にも、みんなスタートが昔より厳しくなってるから気をつけろって言われて。
スタートでも弱気になっていた。
初日はあまり上手い人がいなかったり、空いてたりする真ん中から出続けた。
いつもエンドの5番以内からしか出たことないのに。これまでスタートは得意な自信があったはずなのに。
レースはいつも通り。
これが鉄則だった。でも、今回だけは自分の中に"いつも"がない気がした。
最初の1.2レースは悪くなかった。
スタートは上手くいかなかったけど、ボートスピードでカバーしていた。
実際、上マークまでは順位も悪くなかった。なのに、1レース目は他の船のトラブルに巻き込まれて上マーク付近で止まって。2レース目はそれを取り返そうとポートでレイラインにねじ込んで二回転。
何もかもいつもと違ってきた。
どんどん守りに入るようなヨットになって。何もトラブルがなくても順位もとれなくなった。
2日目。
考えてみると、正直、周りのスタートの技術は言われるほど大したことなかった気がしたし、吉武にそういう時はスタート動画を見返すとイメージが取り戻せるからいいよと言われて、前夜に見ていたらエンドに並んでもいける気がしてきて。
いつも通り、エンドから5番以内に並んで出るようにした。
実際、スタートは上手くいった。
スタート後の見え方が良いと自信が取り戻せるってこういうことなんだって。
でも直ぐにアクシデントが起きた。
1レース目にクルーのフットベルトが取れて、クルーが落ちてしまった。
10メートルオーバーの風予報。フットベルトなしでは走れないので、2分程かけて直した。
ティラーが離れて予期せぬタックもしてしまった。
そして上回航する時には、前の船が小さく見えるほど離れていた。
クルーの大善と、「抜かし甲斐があるな笑、本気で抜いて行こう!」って話して。
周りの音が聞こえなくなるような感覚があるほど集中してた。ボートスピードも過去になく良くて。その集中力は大善も同じようで、真剣さは伝わってくるし、本当にいいコースを引いてくれた。
そして、24位フィニッシュ。
あの強風の中であれだけ離れていてここまで抜いてこれるんだって。自信になった。
大善がその日重くなるようにパーカーを着ていたけれど、レース前に濡らすのを忘れていて、あの落水があったからパーカーが濡れて、早くなったんだよなって話をして。
塞翁が馬だねって。
2レース目。
下マークで前の船に追いついて、衝突回避でマークタッチ。回転を取り戻そうと、センターを下げないで攻めたジャイブをしたら沈。
最後まで、1点でもあげようとしたけれど、
結局44位フィニッシュ。
心が折れかけた。
でも、その時聞かされたのが
吉武がトップフィニッシュだったという吉報。
次こそ、自分が走ってやるって本気でそう思った。
それもあって、次のレースは1上6位、2上で他艇を抑えるタクティクスでコースを引かないで順位を落としてしまったけれど、フィニッシュ16位で帰ってこれた。
終始、他2艇に支えられたレガッタだったし、普段やったことのないことをやって失敗をし、どこか勝手に自信を無くしていったようなレースだった。
普段はコースも一緒に引いていたのに、それが自分の取り柄だったのに、そんな余裕もなかった。
振り返ればこの一年、ハーバーに自分たち1艇だけ。そんな日もあった。怪我した理由も医者にヨットに乗りすぎで、手の使いすぎと言われ。
自信なら持てたはずだった。
全日本では自分が引っ張っていくレース展開をしたい。そして、元々の目標であった、全日本で結果を出す。
なので、これからも応援よろしくお願いします。
そして、全日本では見ていてください。
毎度長い文章読んで頂きありがとうございました。
ps...
大善へ
大変な思いさせたね。もっと前走れるはずなのに走れなくて。大善から、どうにか自信や元気を取り戻させようとしてくれている感じがあって、嬉しかった。
本当にありがとう。
サポートへ
本当にありがとうございました。みんなの分ももっと結果を出したかったけれど、申し訳ない。また前走って結果で恩返しするので待っててください。
そして、特に永田。ありがとう。本当に心強かった。自分が怪我した時も永田が何とかしてくれるって思えた。全日本でみんなで結果を残そう。これからも宜しく。
それでは。
東京大学運動会ヨット部3年 戸沢真矢