こんにちは。470チーム2年の足立です。
今回のJ/24全日本では、助っ人としてマストハンドを担当させていただきました。
実は助っ人と言っても、人員不足を解消するために来た訳ではありません。わざわざクルーザーチームの1年一人を陸に残してまで470チームの2年を乗せたのには、1年にはできない役割への期待があったからです。すなわち風や他艇など全体の状況を見て、チームを補佐する役割です。
そのため大会前にJ/24の練習に参加し始めたときから、自分はどんなことを期待されているのか常に意識してきました。J/24の場合、クローズのとき反対タックで同風位の艇が一番よく見えるのはマストハンドです。フォアデッキの動作をそつなくこなすだけでなく、できる限りブローや海面、他艇の情報をチームメイトに伝え、展開を考える。特にクローズで反対タックの艇の動きを見るよう意識しました。
しかし実際のレースを通し、詰めの甘さを実感することになりました。
1日目は、慣れない船の艤装や準備不足もあって動作ミスが重なり、かなり悔しい思いをしました。自分も動作に追われあまり周りを見れていなかった。
第二レースでFOXとミートしたときも詰めの甘さを実感しました。三上の最後、フィニッシュラインより左側でこちらがスタボ、向こうがポートでミート。風位同じと見てリーバウをうったところドンタックの位置に入れられ負けてしまいました。
しかしそれでも5位となり、ミスさえ無ければライバルに負けないボートスピードと動作があり、タクティクスで堂々と戦うことができるということを実感し大きな自信となりました。この第二レースでの成功体験があったからこそチーム全体が前向きになり、その日のミーティングでフォアデッキの動作を大きく見直し2日目以降は安定した動作を続けることができました。
2日目以降は動作に余裕ができ、より周りを見れるようになりました。ただそれでも、反省する点は多くありました。ジェノアのウィンドウ越しに反対の艇を見るのですが、こちらより風位が高いか低いかすぐに判断することができなかった。
3日目の最終レースでは、今までで一番良いスタートをきめました。スタート直後に広がっていた光景は今でも忘れません。めちゃくちゃ気持ちよかった。しかしその時良い景色に気をとられ、レースに集中できていなかったのです。
実は、レースを終え夜の便で羽田に着いたとき、FOXの方とお会いしました。手荷物返却所で話しかけられ名前を聞くことこそできませんでしたが、レースについて話を伺うことができました。そこで初めて色々と知りました。
まず、初日の第二レースでFOXとミートしたとき、FOXはベアして走っていた。それに気づかずリーバウをうってしまった。こっちが負けミートだと悟り、相手の舵の向きを見たりする意識があればスタボをかけられたかもしれません。
3日目の最終レースでも、スタート直後に15度のへダーが入っていました。スタート後の景色に気をとられていなければもっと早く気づけたかもしれません。
3日間のレースを通じ詰めの甘さを実感し、練習への取り組み方が甘かったと痛感しました。普段どんなに意識しても、レースの緊張感を生み出すことはできない。しかし、だからこそ普段の練習からできる限りレースを意識し、一つ一つの練習に最大限の意識をもって臨む必要があると実感しました。
それでも、良かった点も多くありました。5位フィニッシュを2回したということは、まぐれではなく堂々とタクティクスで勝負できるレベルにあるということです。またバッチリ決まったスタートがいくつかあったのも自信になりました。
艇内の雰囲気も日を重ねるごとに良くなっていきました。ミスをしても引きずらずに次に繋げることを考え、切磋琢磨していく雰囲気がありました。
今回の全日本を通じ、非常に多くのものを得ました。タクティクスやストラテジーに関する考え方、練習に対する姿勢、そしてチームで一丸となって目標を目指す楽しさ。
練習に合流してから大会が終わるまでの3週間、こんな短期間にこれほど多くのことを学んだ経験は初めてです。本当に濃い3週間でした。
最後に、大会直前にチームに受け入れてくださったクルーザーチームの方々、サポートしてくださったマネージャーの方々、応援してくださったディンギーチームやLBの方々、本当にありがとうございました。
この大会で学んだことをディンギーチームに還元していくよう努めます。そして、いつか必ずこの雪辱を果たしてみせます。形は変わるかもしれませんが。
3週間本当にありがとうございました。
足立