東京大学運動会ヨット部

東大ヨット部の現役部員によるブログです。練習の様子、レース結果、部員の主張から日記まで。

ラストスパート!

2019年10月25日 18時05分15秒 | 通常練習

2年スナイプ クルーの古関です。

 

先合宿は八景島にて全日本前の最後の練習を行いました。

 

スピード練習の時間を設けたので最終的なチューニングや走りの確認ができたと思います。葉山から移ってきたばかりで八景島特有の単発的で不規則な波に苦しめられたところもあったようですが、全日本の舞台の西宮も内海で波が不規則であると予想されるので良い経験を積むことができたはずです。

 

また、小松コーチに運営していただいて早稲田との合同コース練習も行いました。八景島の中でも1番陸に近く建物も多い海面にコースを打ったので、コンディションをできるだけ西宮に合わせた練習となりました。風が読みづらく、各艇難しさを実感したようですが、何か掴めたものもあったのではないでしょうか。

 

火曜日は生憎の大雨でオフとなりましたが、有志で集まり関西学連の提供する航跡データの分析会を行いました。これ!といった必勝パターンは見つからなかったようですが海面のイメージを多少なりともつけることができたはずです。

 

 

いよいよ全日本インカレまで1週間を切りました。各艇やるべきことは全てやったことでしょう。あとは全て出し切るだけですね、僕もサポートメンバーとして全力で応援したいと思います。

 

皆様も応援のほど、よろしくお願いいたします!

 

2年 古関鴻一


この夏のこと

2019年10月12日 22時30分31秒 | レース反省

4年470スキッパー兼主将の小野です。

 

昨日は葉山に行って船を縛りなおしてきました。未だかつてないくらいに縛りましたが、高潮が心配で今夜は眠れません。

皆さまも台風で文章を読む時間があると信じて、今回は長めのブログをしたためます。

どうぞ好きなところから読んでください。

 

 

9月初旬に葉山に引っ越してから秋インカレ決勝までのおはなし。

目次はこんな感じです。

 

①八景島から葉山へ(9月初旬)

②最後の女子インカレ(9月中旬)

③運命の決勝レース(10月初旬)

 

では、早速。

 

①八景島から葉山へ(9月初旬)

 

今年は入部以来もっとも練習量に不安がありました。

相模湾で世界大会がいくつも行われたため、出艇禁止日が多く週6練はできない八景島に例年よりも長く滞在。

 

やっと迎えた葉山への引っ越しの前日、台風15号が上陸。

深夜2時、海水にのまれていくハーバーを見て、「船、もうないかもな」とレースに出られるのかさえ不安になりました。

 

主将の第一の責務は「全日本でいい成績をとる」ことではなく、「安全に部活動をする」こと。

朝起きてバースに行くと案の定見たこともないほど秩序を失った景色が広がっていました。

船はなんとか無傷で、部員も無事。断水し瓦礫で溢れた八景島からなんとか脱出し葉山へ。

 

葉山に来ると一気に「インカレ」の匂いを感じます。

9月11、12日、この夏葉山で初めてのレース、秋季六大学戦に出場。

秋インカレはこの6校に加え、強豪の日大、中央、明海が必ず上位に食い込んでくる。六大学戦で6位を取ってしまうと、実質関東インカレで8位以上を取り全日本インカレに行けるのかが怪しくなる。

3年天木と乗った私は「不可ではないが絶対もっと前を走れるはず」という順位。全体の結果は、470は途中まで6位でしたがなんとか5位に、スナイプは6位。

葉山にきて早速受けた洗礼。全く焦らなかったと言えば嘘になる。しかし東大は例年葉山に来てからぐっと伸びるチーム。「練習すれば大丈夫」と言い聞かせました。

 

②最後の女子インカレ(9月中旬)

 

毎年恒例、女子セーラーたちが体力を大幅に削られる期間。

とはいえ、レースでの経験はプライスレス。女子レースの存在は大変ありがたいものです。

 

9月14,  15日は関東インカレ女子レース。去年4年生だった水石さんと残した結果は5位入賞だったので、今年は2年生の下重(以下ちかちゃん)と話し目標を4位入賞に決めました。

2日間とも女子ペアにとっては強めの北風。普段はペアの天木にコースを引いてもらうことが多いですが、女子レースは周りをしっかり見てコースの最終判断は自分でしていました

実力的には5位には入れそうな走りをしていましたが、ちかちゃんと練習を始めたのがレース前日の午後だったからか、足りていないコンビネーションを自分がカバーできず痛恨の2回の沈で結果は8位。先輩としての力不足を痛感しましたが、スキッパーとしての成長は感じられるレースでした。

 

女子レースはまだまだ続きます。次は9月21-23日の全日本女子インカレ@蒲郡。

これもまた強風レガッタ。

詳細はちかちゃんのブログをご参照ください。(https://blog.goo.ne.jp/todai_dinghy/e/4eed5a0567a9b0048724a66ded494d1a

学習が早いちかちゃんは全女までの数日でしっかりスキルアップしてくれました。今後の女子チームを安心して任せられそう。

 

ちなみに全女でもフィニッシュまであと少しのところで沈をしてしまい、その結果46艇中10位まで順位を落としましたが、大会が終わってからはポジティブに捉えるようにしました(多分ちかちゃんはめちゃくちゃショックだったと思う…)。自分はそもそもあまり沈をしない方だと思っています。2大会で計3回の沈のパターンを学んだので秋イン決勝の沈のリスクが減るな、と思いました。

 

またこの二つの大会を通して、例年より明らかに自分の視野が広がったと感じました。レースの戦い方をつかみ始めた気がして。去年はミートすらしなかった人たちの前を何度も切ったし、レース展開を自分の目で追うことができ関東女子インでは1位の瞬間も何度かあった。自分の実力は4年間で今が一番あるという実感とともに葉山へ戻ります。

 

③運命の決勝レース(10月初旬)

 

全女から帰ってきたらすぐに練習に参加。他大学の女子選手は大会の疲れを取るために休んでいた人も多かった。それもスポーツをする身としては正しいです。しかし私の場合はどうしても練習を休むことができない。

 

プレッシャーのかかる舞台に立った時に「これ以上できないくらいやった」という確信がどうしても欲しいから。

「効率を考えるのはまず時間を使ってから」という受験期にどこかで聞いた言葉や、小松コーチの「とにかく海に出る」というスタンスは この4年間少しも体から抜けなかった。

 

思えば、早稲田大学と練習を始めた3年前と比べると、レース後再出艇する文化も随分根付いた。レース委員長に交渉して、たった一艇レース後に練習に出たこともありました。

 

全女後の練習はインカレで上位に入る学校とのコース練習を繰り返しました。スタートも有利側から揉まれながらでも出る練習をしたし、スタートが悪くてもそこそこまで上がってこられることがわかりました。手応え的には決勝本番では4年間で一番いい成績を取れる感じがしました。

 

決勝での目標は6位入賞。6位に入る学校は必ず誰かがいいスタートを決めてくる。この夏もっともレースに出ている私が一番身を以て知っていることでした。

 

決勝レースの2日前くらいからインカレらしい緊張が少しずつのしかかってきました。予選を上位で勝ち上がってきた立教や横国も明らかに八景島にいた頃よりもレベルアップしている。

 

迎えた本番、自分が選んだのは度がすぎるほどの安全策。引いて引いての繰り返し。

7レースすべて、100%本部船から見えないところから出ました。

2日目、沈艇が続出する強風のレースではいつものように毎レグ少しずつ抜いていくタクティクスは引かず、沈しないことを第一に優先。

夏の間、一艇を抜いていく練習をたくさんして自信もそこそこついてきたはずでしたが、去年全日本に行くことのできなかったことのプレッシャーが舵をとる私の手に呪いのように重くのしかかっていた。インカレという本番のレースで初めて気づかされました。

 

地道に磨いてきた牙を自分から抜いていくような感覚で、全日本に行けたとはいえ悔いが残りました。特にペアの天木には楽しいレースをさせてあげられなくて申し訳ない。

                                                                                  

一昨年の決勝の翌朝は100%の安堵とともに目覚め、昨年は100%の後悔で目覚めました。今年は安堵と後悔が50%ずつ。

 

でも、これはよく言えば東大ヨット部が2年前よりも前進している証。この一年、両クラス全日本に行くためだけの活動をしてきたわけではない。

 

2年前よりも悔しい思いをしている部員は多いでしょう。

しかし幸いなことに、私たちにはあと一つ戦える舞台が残されています。

 

決勝が終わったあと、全日本に行くことができなかった他大学の4年生には「おめでとう!応援してるよ。」と言ってくれる人が何人かいました。

明るい言葉の裏にどんな思いがあるか、去年決勝のあと1ヶ月ほど泣くことをやめられなかった自分には想像できます。いや、想像以上の悔しさかもしれない。

海にあまり出させてもらえない1年生の頃から辛い思いもたくさんしながら練習してきた他大学の同期、海にいない時も部活のことばかり考えていたリーダーたち。自分もそうだったからわかる。全日本に行けなかった人たちの4年間を前に生半可な気持ちで次の舞台に立つことができるだろうか。

 

いや、できるわけがない。

 

安堵などしている場合ではない。妥協なんてできない。

 

西宮で最終日にAPA旗が上がるその瞬間まで、全力で戦い抜く。

後輩に、この部活で4年間を過ごすことが楽しみになるようなレースを見せて部活を去る。

それが今の私に課された使命です。

 

決勝は悔しいレースが多かったとはいえ、チームとしては全日本がとても楽しみです。

スナイプも470も仲間が失敗しても誰かがカバーできる力を備えています。1年生を含めたサポートメンバーも私が入部して以来最高のレベルまできていると思います。このメンバーで全日本を戦える未来がある、そはとても幸せなこと。

 

また、レース中は本当に多くのLBの方、保護者の方にお越しいただきました。

多くの方に期待されているということは本当に嬉しいことです。

「応援してよかったな」と思っていただけるような部活であり続けたい。

 

あと3週間、自分のヨット人生のすべてをかけて最後の戦いに挑みます。

 

 

 

4年 主将

小野万優子


思い

2019年10月10日 00時33分57秒 | レース反省

お世話になっております。3年スナイプクルーの阿部です。
何人目になっているかわからないですが、先日行われた秋季関東インカレの振り返りをさせていただきます。


僕は4年の多賀谷さんと31418艇にて出場していました。
正直なところ個人成績としては満足していないことも多くあるのですが、”あのときああすればよかった”とかいう後悔はもう船の上でもミーティングでも話しているし、どうせ誰かが長々と書いていると思うので、短く終わらせようと思います。


第2Rスタート後センターボードの藻に気づかなかった、第6Rで2回転、第7R下マーク際ジャイブで焦って沈。すべて結構反省してるんであんまり責めないでください。


ということで、ここからは自分たちの船の良かったところについて書いていきます。

まず、艇内の会話が普段のコース練と同じで多い。
インカレに何度も出ている多賀谷さんのおかげですね。
あと学連の設定した、第1Rのマークまでの距離が普段の練習並みに短かったから気楽に行けたというのもあります。ありがとう学連。

次に、ヘルムスマンがキョロキョロしない。
これは大変ありがたいことに僕を信頼してくれているらしく、スピードに集中してくれているはずです。

ランニング、リーチングが遅くない。
速いと断定できるほどにとてつもなく速いわけではないですが、たぶん速いと言えるくらいは速いはずです。あんまり前を走っていないからかもしれませんが、リーチングで抜かれた記憶はない気がします。

コースが中の上くらいには引ける。
日々の早稲田とのコース練習で、鍛えられた力だと思います。あと毎夜の長いミーティングでルールを読み込んでいる成果もあるかもしれないです。

最後に、一番大きいものとしてクローズのボートスピードが速い。
これはキョロキョロしないこととも繋がりがあるかもしれないですが、最高です。ヨットはメンタルが支配する部分が大きいとされますが、そういう要因もあるのでしょうか。

 

上で後悔したミスがなかったら平均得点12~14くらいは行けたかなと思うとかなり悔しいですが、まあ自画自賛もこのあたりにしておきます。

 

東大としては今年は去年できなかった両クラス出場ということで、「引退ブログではないです」みたいな悲しいタイトルのブログを書く人もいないし、ひとまず落ち着いたという印象があります。最低目標ラインは突破できて、みんな満足はしていないけど安心しています。土曜日にトリッキーな風の中3レース行ったにもかかわらず、その時点の結果と最終結果がほぼ変わらないことからしても、6位入賞という目標には、そもそも地力が及んでいなかった。


今回の秋インで引退する人の中に、個人的に1年間かそれ以上の間、フリートレースやコース練で意識しつづけて競ってきた人が何人か含まれています。ヨットの力としては全日本に出る強さのある人だろうと思っていたし、今も思っているし、だけどそういう人たちを押しのけて僕らは全日本に行く権利を得たんです。秋インが終わった後は具体的な目標が定まらず気が抜けがちですが、あと1か月全力で走るしかない、西宮に良い帆走りをしに行きます。


最後に
インカレ1週前の練習からインカレ当日にかけては、緊張感があり普段通りの動きをしているつもりでもよくない型に嵌ってしまっていることがありますが、そこで練習にお越しになり、かつレース最終日も疾風に乗ってくださった田原さん、レース期間中疾風に乗っていただいた浅川さん、レース当日出艇前に話しかけてくださった沢山のOBOG様方、ご親族に感謝申し上げます。


以上

 

東京大学運動会ヨット部 阿部

 

リザルトhttps://kantogakurenyacht.jimdo.com/%E6%88%90%E7%B8%BE%E8%A1%A8/%EF%BC%92%EF%BC%90%EF%BC%91%EF%BC%99%E5%B9%B4/


西宮で会心のレースが見たい

2019年10月09日 16時01分42秒 | レース反省

2年470クルーの廣瀬です。サポートメンバーを代表して今回の秋インの反省をしたいと思います。

470チームは目標の6位入賞には届かなかったものの9位と85点差の8位で無事に全日本に行くことができました。

とりあえず、サポートチームとしては春インのようなくだらないPTPをつけることもなく、レガッタを終えられたことに安心しています。全日本でもトラブルなくサポートすることが上位校と競ることの必要条件であると思います。準備には時間をかけて丁寧にやっていきたいと思います。

しかし、7位の明治とは151点差、6位の明海とは168点差もついてしまいました。全日本で総合入賞を目指すのなら厳しい点差である事は間違いありません。慣れない海面で上位校に負けないためには海面の調査を中心としたレスキュー艇からの情報が大切です。上位校に勝つサポート力をこの1ヶ月で必ず身につけて、総合力で他校と勝負して、西宮で先輩達の会心のレースをこの目で見たいと思います。

レスキューに乗っていて1年生を中心とした珠屋メンバーが瞬時にリザルトを出してくれてやりやすかったです。全日本でもよろしくお願いします。

また、西坂さんや角出さんが乗ってくださったことで、レースメンバーだけでなくサポートメンバーも安心してレースに臨むことができました。お忙しい中ありがとうございました。

来年、再来年と必ず全日本に出て上位校と競るレースをするためにも4年生との残り少ない時間を貴重にして、技術をしっかり盗んでいきたいです。

まとまりの無い文章となってしまいましたが、ここらへんで終わりにします。

自分は両クラスでの全日本が初めてで、どこまで自分たちの力が通用するのかワクワクします。部員一同一丸となって残り1ヶ月走りきるつもりですので、ご支援ご声援のほど宜しくお願いします。

全日本に向けて。

2019年10月09日 15時57分00秒 | レース反省

470チーム1年の調です。

関東インカレ決勝が終わりました。
東大は無事両クラスでの全日本インカレ出場を決めました。

両クラスでの出場は2年ぶりとのことで、2年前はどんな感じだったのだろうかとブログを遡っておりましたら、印象的なブログを見つけました。

それは、2年前の主将の角出さんのブログです。

とても感動したので、貼っておきます。

話を戻すと、決勝の間、1年生は全員陸におり、僕はたまやを担当していました。

1日目は爆風によるノーレース。

2日目は微風のなか4Rが行われました。
朝のミーティングでは、小松さんが、最初は特に文字を付けないことが重要だと、強調していました。
そして、実際のレース。9位の横国がDNFやUFDを付ける中、東大は文字を付けずに堅実にレースを運び、着実に点差をつけて8位。
たまやではマーク回航順位が直ぐに届きます。
大概リコール艇は前の方を走っています。でも、どんなに良いレースをしても、リコール艇は46点。ノーケース・ノートラブルの重要性が分かりました。

3日目は強風。朝のミーティングにおける小松さんの言葉が印象的でした。
「初日に文字を付けたチームは、文字を付けまいと心に決めて2日目を迎える。そこがチャンスなんだ。」
文字を付けないが故に、次からも自分たちの戦い方が出来る。勉強になりました。


葉山に引っ越してからは、インカレに向けて1年生はサポートに回り、基本ヨットには乗れませんでした。
レスキューの上からひたすらコース練習を見ていたのですが、インカレ直前の本気の各チームを観れたことは、1人でホッパーに乗ることよりもきっと勉強になったのではないかと思います。

勿論、乗りたい気持ちはありましたが、自分はスーパーサブを目指そうと思い、動画撮影やコース練のメモ、レスキューの備品整備を頑張りました。

葉山練の間、紺碧に乗ることも多かったのですが、やっぱり早稲田はサポートメンバーも本当に優秀です。
1人1人がチームに何が必要かを分かってる。
ヨットの技術で早稲田に劣る東大だからこそ、そういったところはどこにも負けたくないと思います。

全日本に向けてサポートの1年生のボクらも一層精進して参ります。


東京大学運動会ヨット部 調亮太郎


塞翁が馬

2019年10月09日 10時43分00秒 | レース反省
塞翁が馬。



実はこうなるような気がしていた。
だから、大会前にブームにこの言葉を書いた。

過去になく、大変なレガッタだった--。


お疲れ様です。スナイプスキッパーをしております、3年戸沢です。
先週末、全日本出場をかけた関東インカレ決勝が行われました。

正直なところ、もっといけた。この1年間、もうスナイプチームは全日本出場を目指すチームではなく、秋インカレや全日本で入賞を目指すチームになっていたし、チカラはあった。

それを他2艇が証明してくれた。
吉武/長岡の船が1位を取れたのも、まぐれなんかじゃない。3位で回航したはずなのに、そこから抜いていっているし、抜いて1位を取るには勝負するコース引きをしなければならないはず。3位を守りきるようなコースを引いたのではなくて、3位でもまだ前に出ようとするチームになった。

ご存じの人も多いかとは思いますが、自分はこの大会の1ヶ月前に右手に全治1ヶ月の怪我をしてしまいました。
本当に辛かった。
ちょうどその頃、実力がついてきてる自信もあったし、前のブログにも書いた通り、結果も出るようになっていた。

家に居てもいてもたってもいられなくて、何度も部活には戻ったけど、サポートするだけでも怪我が悪化して。今は治すことが自分の仕事なんだって。

そして、大会の3日前に練習がやっと再開できました。

初日は風がなさすぎたし、初日から一日中出れないということで2時間でハーバーバック。前よりいろいろなことにセンシティブになっていて、スピードは悪くないなって思えて。なんなら前より早い気がするって話をして。

そして次の日、早稲田とのコース練をしました。
7レースやって、過去になく前を走り続けて。やっぱり感覚は悪くなかった。


そして、レース当日。

ブームに書こうと選んだ言葉は



塞翁が馬。

(【意味】人間の禍福は変転し、予測できないことのたとえ。また、だから容易に喜んだり悲しむべきではないということ。)

怪我してたからといって、だめだだめだなんて思っちゃいけない。実際、ヨットに乗るのが久々だったからこそ感覚が研ぎ澄まされてた。だけど、前々日のコース練で走ったからといって、そんなに簡単に前を走れると思っちゃいけない。

レース中だって、前を走ることも、後ろを走ることも、トラブルだってたくさん起こる。
一喜一憂なんてしない。
そう思ってこの言葉を書きました。

正直なところ、多分どこか自信がなかった。。
みんなはずーっと練習してきていたのに、自分は休んでいたっていうのがどこかにあって。

久しぶりに練習に戻ってきたら、コーチにも仲間にも、みんなスタートが昔より厳しくなってるから気をつけろって言われて。
スタートでも弱気になっていた。
初日はあまり上手い人がいなかったり、空いてたりする真ん中から出続けた。

いつもエンドの5番以内からしか出たことないのに。これまでスタートは得意な自信があったはずなのに。

レースはいつも通り。

これが鉄則だった。でも、今回だけは自分の中に"いつも"がない気がした。

最初の1.2レースは悪くなかった。
スタートは上手くいかなかったけど、ボートスピードでカバーしていた。
実際、上マークまでは順位も悪くなかった。なのに、1レース目は他の船のトラブルに巻き込まれて上マーク付近で止まって。2レース目はそれを取り返そうとポートでレイラインにねじ込んで二回転。

何もかもいつもと違ってきた。

どんどん守りに入るようなヨットになって。何もトラブルがなくても順位もとれなくなった。

2日目。

考えてみると、正直、周りのスタートの技術は言われるほど大したことなかった気がしたし、吉武にそういう時はスタート動画を見返すとイメージが取り戻せるからいいよと言われて、前夜に見ていたらエンドに並んでもいける気がしてきて。
いつも通り、エンドから5番以内に並んで出るようにした。

実際、スタートは上手くいった。

スタート後の見え方が良いと自信が取り戻せるってこういうことなんだって。

でも直ぐにアクシデントが起きた。
1レース目にクルーのフットベルトが取れて、クルーが落ちてしまった。
10メートルオーバーの風予報。フットベルトなしでは走れないので、2分程かけて直した。
ティラーが離れて予期せぬタックもしてしまった。
そして上回航する時には、前の船が小さく見えるほど離れていた。

クルーの大善と、「抜かし甲斐があるな笑、本気で抜いて行こう!」って話して。
周りの音が聞こえなくなるような感覚があるほど集中してた。ボートスピードも過去になく良くて。その集中力は大善も同じようで、真剣さは伝わってくるし、本当にいいコースを引いてくれた。

そして、24位フィニッシュ。
あの強風の中であれだけ離れていてここまで抜いてこれるんだって。自信になった。

大善がその日重くなるようにパーカーを着ていたけれど、レース前に濡らすのを忘れていて、あの落水があったからパーカーが濡れて、早くなったんだよなって話をして。

塞翁が馬だねって。

2レース目。
下マークで前の船に追いついて、衝突回避でマークタッチ。回転を取り戻そうと、センターを下げないで攻めたジャイブをしたら沈。
最後まで、1点でもあげようとしたけれど、

結局44位フィニッシュ。

心が折れかけた。
でも、その時聞かされたのが

吉武がトップフィニッシュだったという吉報。

次こそ、自分が走ってやるって本気でそう思った。
それもあって、次のレースは1上6位、2上で他艇を抑えるタクティクスでコースを引かないで順位を落としてしまったけれど、フィニッシュ16位で帰ってこれた。

終始、他2艇に支えられたレガッタだったし、普段やったことのないことをやって失敗をし、どこか勝手に自信を無くしていったようなレースだった。
普段はコースも一緒に引いていたのに、それが自分の取り柄だったのに、そんな余裕もなかった。

振り返ればこの一年、ハーバーに自分たち1艇だけ。そんな日もあった。怪我した理由も医者にヨットに乗りすぎで、手の使いすぎと言われ。
自信なら持てたはずだった。

全日本では自分が引っ張っていくレース展開をしたい。そして、元々の目標であった、全日本で結果を出す。

なので、これからも応援よろしくお願いします。
そして、全日本では見ていてください。
毎度長い文章読んで頂きありがとうございました。

ps...
大善へ
大変な思いさせたね。もっと前走れるはずなのに走れなくて。大善から、どうにか自信や元気を取り戻させようとしてくれている感じがあって、嬉しかった。
本当にありがとう。

サポートへ
本当にありがとうございました。みんなの分ももっと結果を出したかったけれど、申し訳ない。また前走って結果で恩返しするので待っててください。
そして、特に永田。ありがとう。本当に心強かった。自分が怪我した時も永田が何とかしてくれるって思えた。全日本でみんなで結果を残そう。これからも宜しく。


それでは。

東京大学運動会ヨット部3年 戸沢真矢

第1レースの教え

2019年10月08日 17時33分30秒 | レース反省
3年470スキッパーの松前です。

先週末、秋季関東インカレが開催され、無事両クラス全日本出場することができました!

470チームのリザルトは以下の通りです。

4692 塚本・齊藤 35-14-15-25-37-29-17 計172点
4579 松前・大橋 43-35-27-18-29-17-16 計185点
4452 小野・天木 24-28-26-25-21-28-23 計172点

大学順位
1位 日本大学     105点
2位 慶應義塾大学 152点
3位 早稲田大学 201点
4位 法政大学     283点
5位 中央大学     345点
6位 明海大学     361点
7位 明治大学     378点
8位 東京大学  529点
9位 横浜国立大学   614点
10位 東京工業大学  646点



さて、今年の秋インカレは観る者をワクワクさせるレースはできただろうか。


レース初日は台風の影響でノーレース

そして、レース2日目の第1レース
第1レースは慎重に。小松さんが何度もおっしゃっていたことだし、チーム内でもリコールせずにノーケースノートラブルで帰ってくれば多少順位が悪くても構わないと、みんなで共有していました。スタートは、活気立つ各校が上有利の本船に集中するのを冷静に回避して、スカスカの下から落ち着いてスタート。やはり、混戦の上スタートはタコっていたのか、1上はまずまずの順位。その後、多少順位は落としたものの25番ぐらいでフィニッシュ…
と思いきや、2下マークで内側を回る権利がないのにねじ込んでしまい、マークを追い出され、スピンを張った状態で風上までラフして完全に停止。そのままバックしてしまい、フィニッシュに向かう船に何十艇も抜かれながら2回転。まさに地獄絵図で結果は43着。
あれだけ、ノーケースノートラブルを唱えておきながら、第1レースでやらかしてしまいました。

その後のレースは、43点というほぼ文字に近い点数を取ったことから、リコールを恐れてスタートで前に出ることができず、苦しいスタートから追い上げる展開となりました。
やはり、第1レースがその後のレースに与える影響がいかに大きいかを実感しました。

結局第3レースのタイムリミットに東大は3艇間に合い、9位以下の学校は間に合わなかったことで、全日本枠を争う戦いは大きく差がつきました。
そこからは8位をひたすらキープするレースとなりました。今回は、9位以下の学校が叩いていたので、自分たちが叩いても差は縮まらず、落ち着いたレースができました。


ただ、それは今年だけ。


一昨々年はたった3レースで9点に泣き、一昨年は9レースで6点に喜び、去年は4点で負けた。

最終的には横国と85点差あったけど、横国が3つ文字をつけてなかったらこの差はなかったかもしれない。ヨットにたらればないけど、ケースで失うたった数点に泣くところだったかもしれなかった。そう思うと、たった少しの判断ミスや不注意に対してシビアにならなければいけません。
わかっていたことだけど、甘かった。いつもできていているつもりでいたことができなくなるのが、インカレ。



あくまで、我々が目指していたのは関東6位入賞だった。全日本出場は最低ラインであり、目標ではなかった。自分が第1レース、第2レースで叩いたばかりに上位7校に挑む機会を失ってしまった。上位校も微風に苦戦する中、東大3艇が落ち着いて20番代で帰ってくればまだまだ追い抜くチャンスはあったのに。
9位以降と点差があり、全日本圏内が確実になっていくのに安心する一方で、明治と100点差以上突き放され、チャレンジャーとしてセレクション校に挑めない自分がとても恥ずかしかった。
去年涙を飲んでから、一年間頑張って練習してきたのは8位になるためじゃない。実力では敵わないかもしれないけど、セレクション校の一角を崩すために頑張ってきたのに。
そう思うと、全日本出場は喜ばしいことだけど、この秋インに対して喜べない自分がいました。こんなレースを観てもワクワクしないし、自分自身がワクワクしてなかったんだなって。


ただ2日目は強風の中、1回沈をしてしまいましたが、最後の2レースはしっかりと走っていれば予選校を追い抜くことができたし、上位校にも少し食らいつくことができました。
クローズのコースも良かったし、フリーでも抜いていけたので、去年から大橋が抱えていた北風強風のトラウマを少しは克服させてあげられたかなと思います。






今回無事に470チームが全日本に出場できたのは、多大なるご支援を頂いているLBの方々、いつも応援してくださる保護者の方々のおかげです。
全日本に向けて頑張って行きますので、引き続き応援よろしくお願いします。


また、今回は非常にサポートメンバーのありがたさを感じました。一人一人にお礼を言うことはできなかったけど、とても頼もしかったです。
自分はレース日の第1レース目で失敗しがちなのですが、淡青に明るく励まされたり、応援してくれたりしてもらってとても励みになりました。
陸でも艤装解装を何も言わずに手伝ってくれたり、雑用を代わりにやってくれたりと、とても助かりました。
去年の自分に比べて、今年の1.2年生は積極的に働いてくれてとても頼りになったし、この時期はあまり自分の練習ができないかもしれないけど、今回の秋インで見て思ったことを来年に繋げて欲しいです。

最後に、淡青に乗っていただいた角出さん、西坂さんありがとうございました。レース経験豊富な2人はサポートも完璧で、レースメンバーのメンタルをよくわかっていて、的確に指示をしていただきました。レスキューから見ていて、注意したくなるようなこともあったと思いますが、暖かくアドバイスしていただき、とても助かりました。


長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
西宮まで1ヶ月もないですが、2年ぶりに全日本に挑戦する機会を得られたので、精一杯頑張ってまいります



東京大学運動会ヨット部 松前亮平



追記

僕はひっそりと、一昨年の東大470の全日本出場を牽引した西坂・水石ペアの秋インのリザルトを目標にしていたんですが、全く敵いませんでした。まだまだ遠いですが、追いかけて行きたいと思います。
9レースで143点
やはり恐るべし、日本代表。









まさか夏に二回も福岡に行くとは思っていなかった

2019年10月04日 11時23分51秒 | レース反省

こんにちは。470チーム2年の足立です。

今回のJ/24全日本では、助っ人としてマストハンドを担当させていただきました。

 

実は助っ人と言っても、人員不足を解消するために来た訳ではありません。わざわざクルーザーチームの1年一人を陸に残してまで470チームの2年を乗せたのには、1年にはできない役割への期待があったからです。すなわち風や他艇など全体の状況を見て、チームを補佐する役割です。

 

そのため大会前にJ/24の練習に参加し始めたときから、自分はどんなことを期待されているのか常に意識してきました。J/24の場合、クローズのとき反対タックで同風位の艇が一番よく見えるのはマストハンドです。フォアデッキの動作をそつなくこなすだけでなく、できる限りブローや海面、他艇の情報をチームメイトに伝え、展開を考える。特にクローズで反対タックの艇の動きを見るよう意識しました。

 

しかし実際のレースを通し、詰めの甘さを実感することになりました。

 

1日目は、慣れない船の艤装や準備不足もあって動作ミスが重なり、かなり悔しい思いをしました。自分も動作に追われあまり周りを見れていなかった。

第二レースでFOXとミートしたときも詰めの甘さを実感しました。三上の最後、フィニッシュラインより左側でこちらがスタボ、向こうがポートでミート。風位同じと見てリーバウをうったところドンタックの位置に入れられ負けてしまいました。

 

しかしそれでも5位となり、ミスさえ無ければライバルに負けないボートスピードと動作があり、タクティクスで堂々と戦うことができるということを実感し大きな自信となりました。この第二レースでの成功体験があったからこそチーム全体が前向きになり、その日のミーティングでフォアデッキの動作を大きく見直し2日目以降は安定した動作を続けることができました。

 

2日目以降は動作に余裕ができ、より周りを見れるようになりました。ただそれでも、反省する点は多くありました。ジェノアのウィンドウ越しに反対の艇を見るのですが、こちらより風位が高いか低いかすぐに判断することができなかった。

 

3日目の最終レースでは、今までで一番良いスタートをきめました。スタート直後に広がっていた光景は今でも忘れません。めちゃくちゃ気持ちよかった。しかしその時良い景色に気をとられ、レースに集中できていなかったのです。

 

実は、レースを終え夜の便で羽田に着いたとき、FOXの方とお会いしました。手荷物返却所で話しかけられ名前を聞くことこそできませんでしたが、レースについて話を伺うことができました。そこで初めて色々と知りました。

まず、初日の第二レースでFOXとミートしたとき、FOXはベアして走っていた。それに気づかずリーバウをうってしまった。こっちが負けミートだと悟り、相手の舵の向きを見たりする意識があればスタボをかけられたかもしれません。

3日目の最終レースでも、スタート直後に15度のへダーが入っていました。スタート後の景色に気をとられていなければもっと早く気づけたかもしれません。

 

 

3日間のレースを通じ詰めの甘さを実感し、練習への取り組み方が甘かったと痛感しました。普段どんなに意識しても、レースの緊張感を生み出すことはできない。しかし、だからこそ普段の練習からできる限りレースを意識し、一つ一つの練習に最大限の意識をもって臨む必要があると実感しました。

 

それでも、良かった点も多くありました。5位フィニッシュを2回したということは、まぐれではなく堂々とタクティクスで勝負できるレベルにあるということです。またバッチリ決まったスタートがいくつかあったのも自信になりました。

艇内の雰囲気も日を重ねるごとに良くなっていきました。ミスをしても引きずらずに次に繋げることを考え、切磋琢磨していく雰囲気がありました。

 

 

今回の全日本を通じ、非常に多くのものを得ました。タクティクスやストラテジーに関する考え方、練習に対する姿勢、そしてチームで一丸となって目標を目指す楽しさ。

練習に合流してから大会が終わるまでの3週間、こんな短期間にこれほど多くのことを学んだ経験は初めてです。本当に濃い3週間でした。

 

最後に、大会直前にチームに受け入れてくださったクルーザーチームの方々、サポートしてくださったマネージャーの方々、応援してくださったディンギーチームやLBの方々、本当にありがとうございました。

この大会で学んだことをディンギーチームに還元していくよう努めます。そして、いつか必ずこの雪辱を果たしてみせます。形は変わるかもしれませんが。

3週間本当にありがとうございました。

 

 

足立


J24全日本のご報告と新主将挨拶

2019年10月02日 17時47分17秒 | レース反省

こんばんは

 

3年クルーザー班新主将、ヘルムスマンの春日です。

 

先日行われたJ/24全日本選手権のご報告と、新主将挨拶をさせていただきます。

 

以下、リザルトとご報告です。

8-5-(9)-5-8-8  34点 総合8位

 

 

なんだか自分の気持ちをとめどなく書き連ねるものになってしまいましたが、ご容赦ください。

 

結果だけ見れば、このレースで自分たちは、「負けた」。

目標として掲げていた5位には遠く届かず、アニオル以来の再戦となる神戸大の沢口さんにも敗れ、8位という結果になってしまいました。

 

しかし、振り返ってみれば、最終結果から伺える以上に成果を感じたレースでした。そして、今までに経験したどんなレガッタよりも、自分たちはこの大会を楽しんでいたと思います。

 

1日目、2日目はトラブルなく終わった第2,第4レースでは月光、だぼはぜ、シエスタ、FOXの4強に次ぐ5位でフィニッシュすることができ、2日目終了時点では仰秀史上全日本最高位タイの6位につけていました。一つ上のMARIL(九大OBチーム)に勝てば全日本史上最高位更新の5位。

第2レースではFOX(実はスナイプ番長白石さんも乗っていました)に半艇身差まで迫りました。

 

走りでは負けておらず、4強以外には走り勝つ場面も多くありました。

コースも中野が2年生とは思えないコース引きを見せ、レグごとに少しずつ順位を上げてくれました。

バウマンの落合はスタートで積極的に後ろを引っ張ってくれ、最終レースでは月光やだぼはぜを抑える完璧なスタートを見せてくれました。

フォアデッキの動作も、2日目からは安定しており、後ろを走りに集中させてくれました。1年生はそつなく動作をこなしてくれていたし、雰囲気を盛り上げてくれていた。足立は動作をするだけでなく、全体を俯瞰して足りていない部分をカバーしてくれていた。

 

6位にジャンプアップした2日目の夜、このチームならきっと明日も勝てると思いつつ眠りに落ちたのを覚えています。スタート、コース、スピード、動作のどれも負けていないし、順位は右肩上がり。

 

しかし、そう簡単にはうまくいかなかった。

 

最終日第一レースではU旗掲揚で慎重になりすぎたのかスタートに失敗し、予報に反して吹き上がった風にセッティング、体重が対応出来ておらずボートスピードもアドバンテージを失っていました。台風後の不安定な風に翻弄され、挽回できないまま8位。

 

それでも、最終レースに向けみんな前を向いていました。

「最後に良いレースをして帰ろう!」そう言い合ってスタート前のルーティンをこなしていきます。

 

そして最終レース。

アウター寄りの中央で待ち、落合の合図で15秒前に加速してフルスピードでスタートラインをきる。他の艇より半艇身以上バウを出した完璧なスタートでした。ボートスピードもよく、下に優勝争いをする月光、シエスタ、だぼはぜを抱えながらもリードを保っていました。

 

やっと、みんなの気持ちに応えられる。

信じてついてきてくれた下級生、そして何より3年間お世話になった磯野さんをやっと勝たせてあげることができる。

この1年間、ディンギー班が飛躍する一方で、クルーザー班はなかなか成果が出せずにいました。ANIORU’S CUPでは優勝を逃し、フリートレースでは最下位が定位置。どれも走り負けていることが多く、自分がもっと走れれば、と悔しい思いをしていました。経験者として鳴り物入りでヘルムになったにも関わらず、全く成果が出せない自分を、クルーのみんなは励ましてくれ、常に前向きでいてくれました。

仰秀史上最高位を取ることで、最後の最後にやっと少しは応えられるかな。

スピードに集中しながら、ぼんやりとこんなことを考えていました。

 

でも、少年漫画みたいに上手くはいきませんね。

月光、シエスタが後ろを切っていったあと、しばらくしてからタックしてポートで上マークに寄せます。このままいけば1上トップもあるんじゃないか?武居さんを磯野さんと一緒に引退させてしまおう。(月光チームが仰秀に負けたら引退と言われていたそうです笑)そんな声が前から聞こえました。

しかし、上マークに近づいていくと右海面の艇がありえない伸び方をしており、次々と前を切っていきました。しかも、競り合っていたチームは全て右海面。月光、シエスタ、だぼはぜより先に上マークを回航したものの、ライバル艇はずっと先に見えました。

1下までに3艇にも抜かれてしまい、その後巻き返そうと全力を尽くしましたが、順位を上げられず8位。

総合順位も8位となりました。

 

結局、このレガッタでも結果を残すことは出来ませんでした。

 

終わってからしばらくたちますが、もっとこうすればよかったんじゃないかと何度も思い出してしまいます。もしあそこで回航をもっとシャープにできていたら、もしあそこでもっと走れていたら。もし風がこんなに振れなければ。勝負事にたらればはないのですが。

 

でも、このレースからは数字以上のものを持ち帰れたと思います。

このレースを糧に、前を向いて必ず次の1年につなげていきます。

 

 

 

そして今週から、自分が磯野さんから主将を受け継ぎます。

今の自分が考えていることを残しておこうと思います。

 

まず、誤解を恐れずに言えば、部活は無理してまでやるものではないと思っています。仕事でやってるわけでさえないんだし。

では何のためにやるのかと言うと、楽しくて、そしてわくわくするから。

自分はこの「わくわくする」という感覚を大事にしたいと思っています。

もちろんこれは、刹那的に楽しければいいというものではありません。人は、何か大きなもの、誰もまだやっていないことに挑戦するとき、その過程にすら「わくわく」します。そしてもちろん、勝てないと楽しくありません。

一見回り道に見えますが、メンバーが心からわくわくしているとき、必ず結果もついてくると信じています。 

そのための手段として、二艇での練習、j/24以外での活動(Y30など)、スポンサーなども視野に入ってくると思います。

また個人的にディンギー班とももっと連携出来ればと思っています。

 

全員が一年後に最高の結果だと感じられるために、どうすればいいのか。

まずは今日からメンバー全員と一人ずつ、ご飯でも食べながらゆっくり話してみようと思います。ちょっとしたことですが、この1年間を考えると意外に大事なことなんじゃないかなと思っています。

真面目なことも、くだらないことも色々と話せたら最高ですね。

 

最後になりましたが、1年間多くの方にお世話になりました。

ご支援いただいているLBの皆様、何でも話せる同期、いつも抜けている自分を支えてくれる後輩、貴重なアドバイスをくださる月光をはじめとする社会人チームの皆様(来年こそは引退させてみせます!笑)、お忙しい中教えに来てくださる若手LBの方々、QOLと笑顔を提供してくれるマネージャー。そして、自分たちを引っ張ってくれた磯野さん。

 

1年間本当にありがとうございました!!

今年度もどうかよろしくお願いします。

 

 

クルーザー班新主将

春日健志


バウマンによるJ24全日本選手権ふりかえり

2019年10月02日 07時50分29秒 | レース反省

第一レースの始まりは慌ただしいものでした。頼りないエンジンをつけて西福岡マリーナを出航、能古島の西側を抜けて本部船付近にたどり着くや否や、予告信号が揚げられました。落ち着いて海面状況や見通しを調べる暇もなくクラス旗が降ろされ、私にとって初めての全日本選手権が始まりました。

おはようございます。クルーザー班2年の落合です。
スナイプから仰秀へ移籍しておよそ四ヶ月、私はバウマンとして割かし自信と楽しみを胸に抱いてこの大会を迎えました。全日本という規模は初めてでしたし、レース自体、小網代のフリートレースに二三回出たくらいでしたので、来たるべき難しさはあまり予想できていませんでした。入部当初に興味を持っていたクルーザー班が人手不足だと聞いて移籍してから、同期の中野に多くを教わりながらフォアデッキの練習をしました。少なくとも夏合宿に入る頃からはバウマンに専念し、比較的強風の日も多い中、小網代の住民となって練習に励みました。ヨットレースにおいて最重要点と言うべきスタートを主導するバウマンとして全日本の舞台に臨めたことは、とても貴重で、何より楽しい経験でした。

今大会のスタートを振り返る上で欠かせないのは、スタート練習にほとんどを費やした夏合宿中の一日です。走りだけでは日本トップレベルのチームにもひどく負けはしなくなっていた仰秀にとって、スタートが最大の課題であることは明らかでした。普段は一日の終わりに小一時間ほどしていただけだったスタート練習に、あえて一日の初めから終わりまでを使う試みによって、私たちは(といっても主に私とヘルムスマンの春日さんですが)、「オンタイム、フルスピード、有利エンド(或いは狙った位置)」を兼ね備えたスタートを実現するための大まかな方程式を得ることができました。
その成果は、まず大会1日目、第二レースにおいて現れました。出た位置こそ狙い通りとはいかなかったものの、風下にスペースを確保した上で、どの船よりもバウを出してスタートしました。感覚としては特別攻めたつもりはなかったのですが、自分たちのいつものパターンをなぞった結果、とても気持ちよくスタートできました。「これが第一線で出るということか」と思いました。
大会最終レースとなった3日目、第二レース、本船下あたりをアビームで走りながら待ち、周囲に合わせて並びます。大半の船は本船付近にかたまり、ライン中央に仰秀、下には昨年王者のだぼはぜが見えました。20秒前、たぼはぜとの間に十分なスペースがあることを確かめ、加速。直前のベアによる加速もあって、周囲から頭一つ出た位置でラインを切りました。
このときの景色を私は忘れません。月光、Siesta、だぼはぜ等の並み居る強敵が遅れて見え、眼前には完全にフレッシュな海面。その後も、並走するだぼはぜや、ふと振り返ると後方でタックしている月光の姿、上マーク回航後にクルーたちの一挙手一投足を観察できるほど間近にいるSiestaなど、それまでの自分たちの認識からすればにわかには信じがたい光景を目にしました。皮肉な事に、一番信じがたいかったのは、トップ艇団にいると思ってアプローチした上マークを神戸大など右海面に突っ込んだ船が先に回航していく様だった訳ですが。
いくら重要とは言えスタートだけでレースの全てが決まるのではないのはもちろんのことです。その事を、私達は忘れていた節もあったかもしれません。それでも、そうは言っても、まさに引退しようとする四年の磯野さんをして「完璧」と言わしめるスタートを実現できたことは、バウマンとしての冥利に尽きます。

この大会をこれから一年の糧にしようと思う時、二点、収穫があったと考えられます。一つは、的を絞った練習がいかに大きな効果を持つかを知れたことです。臆病がらずに攻めるスタートを続けられたのは、間違いなくスタートのみを猛特訓した一日あってのことです。(後から考えると、実は三日とも一度ずつリコールしているのですが、ゼネリコとノーレースで実質一回だけでしたし、リコールによって順位が落ちたとは感じなかったので、攻めたことの功が上回ったと言ってよいでしょう)。そのような一事に特化した練習をするためにも、早く全員が自分のポジションの動作に習熟することが大切でしょう。
二つには、大会の後、皆が口々に「楽しいレガッタだった」と言っていたのを聞いて思うことですが、常に前向きな、積極的な空気をチーム全体で保つのが大切だということです。大会前に練習に加わった1年生が活気を与えてくれたおかげで、チームの雰囲気が一層明るく開かれたものになりました。その雰囲気を保てたからこそ、最終成績以上に「充実した、楽しいレガッタだった」と感じられたのだと思います。きっとそういう心持ちが、海上での各々の積極的な行動とチーム内の密な連携を可能にするのだろうと思います。

個人的にも非常に楽しく充実していた今回の全日本選手権。あれだけ中身のあるレースができたのは、1年の板坂、維摩の集中、470から助っ人に来てくれた足立の協力、中野の熱意、春日さんの研鑽、磯野さんの気合と気配り、そして1年マネージャーみおとかほの下支えによるものでした。素晴らしい時間をありがとうございました。
これからは磯野さんからトリマーを引き継ぐ予定です。ボートスピードを担う重責ですから、今まで以上に気合を入れて臨みたいと思います。


クルーザー班2年 落合輝