今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

しばらくローライ35系かなの巻

2025年01月14日 19時00分00秒 | ブログ

特に書くことも無いのですが、ローライ35系の通常作業をしています。まず、ローライ35Sブラックですから外装アルミですが、へこみもなく良いコンディションに見えますが・・

 

ホットシューが黒く塗られていますね。ブラックアウト化ということ? 商品ですから塗料を取り除かないと・・

 

ローライ35系のレンズはカビは経験的に少なく、発生しても清掃が出来る場合が多いですけど、この個体は各レンズとファインダーも大量に発生していますね。こんなのも珍しい。どんな環境に置かれていたものか・・

ヘリコイドグリスもだめですので全て分解洗浄をします。

 

 

次は、一見良さげに見えるドイツ製ローライ35 #3145XXXですが、点検するといろいろありますね。まずシャッターが切れない、レンズ汚れ、沈胴スムーズでない、ヘリコイドグリス劣化、レバーアテ欠損、トップ裏側の化粧ネジ欠品など・・

しかし、かなり汚れていますね。feet機でHONEYWELL販売ですからアメリカで使われていたものでしょうか? とにかく汚れ放題。商品化ですから外観のきれいさは重要ですので清掃をしますが、私は子供の頃から掃除が好きな子でした。小学4年だったか、掃除当番の時、担任の女先生から「君は箒の使い方が上手だね」と言われたのがうれしくて記憶に残っています。

裏蓋も汚れ放題。シューレールが曲がっていますね。修正をします。

 

 

ドイツ製ではメーター不良の個体が多くなっていますね。この個体は一応動いていますがCdsの受光面を塞いでも中央より左(低輝度側)に針が下りて来ません。これはCdsの劣化の過程で、そのうち針が中央に張り付いて動かなくなります。現状で良いかなぁ??

内部にラベルが貼られていますがHONEYWELLの商品番号でしょうか? 沈胴の摺動も気になりますのでメンテナンスをしておきます。

 

すっ飛ばしてオーバーホールをしたシャッターユニットを取り付けます。

 

 

トップ裏面のレバーアテの追加と欠落していた化粧ネジを取り付けました。裏蓋もきれいに清掃をしてシューレールも修正してあります。

 

きれいな31番台のドイツ製となりましたね。

尚、現在gooブログは外部攻撃により更新が困難になっています。

 

次はローライ35T #6245XXX ですが、中身はローライ35と同じで、特に露出計などの電気部品は製造が新しい分、経験的に信頼性が高いと感じますね。

 

あら、この個体もトップ裏面の化粧ネジが欠落しています。

 

 

生産が新しいと言ってもヘリコイドグリスは劣化して回転ムラがあります。

 

問題はコストダウンです。ローライ35のブラックモデルの外装は黒アルマイトの上に塗装がされていますが、ローライ35Tでは黒アルマイトのみで塗装は省略されています。したがって、風合いが違ってきますね。まぁ、好みの問題ですが、アルミの板厚は実測0.55mmと非常に薄いので強度が無くペラペラです。

従来は刻印に色入れだったものがタンポ印刷のような表現になったので、文字が消えてしまうという悲しい現象が起きます。

 

さすがに疲れて来ました。次はローライ35S #2454XXXですが、この個体も化粧ネジがありませんね。ここのネジはトップカバーを直接抑えるのではなく、ダイカスト本体に締め込む構造なので緩みやすいのです。トップカバーを直接締めるとカバー平面に歪みが出来てしまうためです。当方のオリジナル製作のネジを使います。

 

トップカバーは材質がアルミで黒アルマイト処理の上に塗装をされていますが、裏蓋は材質が真鍮で塗装をされています。上下で材質が異なるという仕様なんでしょうか? 本体と裏蓋が別物という可能性もあるのでしょうか? 

例によって主のいないカメラは汚れ放題です。これを清掃していきます。

 

 

Rollei-HFTが上下逆になっていますので分解はされているようです。

 

 

角が補修塗装されていますけど、あまりきれいではないですね。どの程度の損傷なのでしょう?

 

塗料を剥離してみましたが、本体に大きなへこみが有るわけではないので、あるがままの方が良いのではないでしょうかね。

 

沈胴チューブの内周にヘリコイドネジが切られているので、分解がローライ35のように簡単には出来ないのですね。工数は5割増し程度です。

 

無限調整をしてピントリングを取り付けますが、固定ネジの緩み止め剤がごっちゃり塗布されていて溶解が大変でした。化粧プレート裏の古い接着剤で過去に数回分解されたことが分かります。ここの古い接着剤を清掃してある分解機をまず見たことがありません。私は気分が悪いので完全に清掃してから接着します。

上下カバーで材質が異なる個体ですので同じブラックモデルであっても質感が違ってきますね。私は真鍮製が良いです。

 

UP予定が無かったので簡単に。じつは苦手のローライ35TF(SE)というモデルがあります。露出計の表示をファインダー内にLEDで点灯させるという方式で、他は普通のローライ35と同じです。画像を撮り忘れましたがトップ面に大きな基板が入っています。発売は1979年とのことですから46年前? 使われている電子部品やコンデンサー、ダイオード、抵抗など、10年も動作保証など出来ませんよ。

この個体はシャッター/巻上げも出来ずよって沈胴も出来ない。おまけに電池蓋を開けることも出来ないという状態。お手上げです。また、オーナーさんでもお気づきになられていない方もありますが、Cdsの受光窓の保護ガラスを留めるリング状の樹脂部品が風化して脱落(当然ガラスも)している個体が多いのです。この個体の場合はリング部品は残ってはいますが観察するとバリバリに割れています。

トップカバーを分離してから固着していた電池蓋を取り除きました。真ん中が入っていた27PXで右がホルダー。左は私が使用しているボタン電池用アダプター。

 

右側(見えない)にある基板からファインダーに差し込まれたLED基板に出力されています。基本的にファインダーはローライ35と同形で、横からスリットを開けてLED基板を差し込んである状態。

シャッターなど通常のメンテナンスをしてトップカバーを閉めました。電池の出し入れも正常に出来ます。電池蓋をポップアップさせるボタンですが、この個体の場合、ボタンの外周にボタンを脱着させるための工具掛け用切り欠きがありません。リングレンチを使います。何とかLEDは点灯して、その他の機能も正常としましたが保証は出来ません。また、この頃の個体はシボ革の材質が悪く、裏蓋のように表層の保護樹脂が劣化をして、ちょうど蝋がシボの中に入っているような状態になります。楊枝で突くと簡単に取れて来ます。これは貼り替えた方がすっきりしますね。

トミーのリペイント