今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

SEIKO ウィークデータ+56キングセイコーの巻

2015年06月02日 20時55分24秒 | インポート

しばらくカメラが続いたので、O/Hの時計が増えて来ました。まず、このモデルはセイコーマチック・ウィークデータ 6218-8010(35石)ですね。非常に人気のあるモデル。手巻きはないので、ゼンマイ量が少ないと進み方向です。

キャリバー6218Cで1967年3月製造は最終の頃のようです。

 

 

四番車をレバーで止める秒針規正装置付で歩度調整には微動緩急調整装置は歯車式となって微調整が可能となっています。

 

特徴的なのは、日車と曜車が段付きになっていること。文字盤から見ると、日車が奥まって見えるんですね。以後のモデルでは同一面になるように改良されていきます。

 

機械の状態は良いと思いますね。輪列を組んでいきます。金色が規正レバー。

 

 

マジックレバー式の自動巻き機構をセットして、ケーシングをしたところ。回転錘のベアリングは摩耗気味で、受けに接触した形跡がありますね。

 

ケースは全体的に研磨をされていて、角が丸くなっちゃってますね。ベルトのラグ幅は19mmですが、この個体には18mmのベルトが装着されています。現在は19mmの選択肢は少なくなっています。

 

もう1台のモデルは、うちでも良く紹介している56系のキングセイコー5626-7000と定番のケースですが、やりにくいワンピースケースなんですね。ロードマチックの5606A(6振動)を改良して8振動化した5626A(日付曜日付)が搭載されています。

ワンピースケースのため、簡単に歩度調整が出来ないので、ラグ間のネジをを取り去って、ドライバーを差し込むことで、調整が出来るようになっています。

 

ベゼルを取り外してみましたが、腐食は多めです。風防ガラスを専用工具で取り去って、機械を取り出します。

 

腕時計の軸配置は基本的にはモデルが異なっても、ほぼ同様の設計が多いのですが、この56系はセイコーの異色作として、全く異なるレイアウトで高機能をコンパクトに纏めることに成功しています。

 

8振動化のためゼンマイも強化されています。豪華?にゴールドで区別をしています。

 

輪列を組んだところ。全く配置が異なっています。

 

 

8振動化に伴って、ガンギ車、アンクルなども専用部品です。極端に曲げられたアンクルに注意。

 

日の裏側を組んでいきます。カレンダーを送る日送車をセットします。

 

 

日車をセットしました。ピンセット先は日車と曜車を早送りする揺動レバーで、この機械のウィークポイント。ギヤの破損により早送りが出来ない個体が多数あります。幸い、この個体は正常に早送りすることが出来ます。殆ど早送り禁止時間帯(9時~1時)に無理に操作したことが原因でしょうね。でも、調整するのはその時間帯なんですよね。

この個体は、ワンピースケースですが湿気が侵入したようです。56系の文字盤は弱いと見えて、このように腐食劣化しているものが多いです。時分針の中央の黒線はプリントなので、不用意にピンセットでつまむと剥離してしまいます。

自動巻き用の一番仲介車をセットして、ベアリングに注油をした回転錘をセットします。錘の裏側がかなり腐食が激しいです。材質は何なのでしょうね?

 

ワンピースケースなので裏蓋はありませんが、メダリオンが付いています。しかし、ちょっと輝きが変ですね。左が私所有の同モデルですが、ピカピカ光っています。右は金色の塗料で塗装をしたような輝きの無い濃い金色をしています。最近は、複製パーツも出回っているようですが・・

5振動機と8振動機で作動音は全く異なりますが、どちらも中々優秀な歩度を示しています。ケースは両方とも研磨をされていますが、エッジが立っていないのが惜しいですね。研磨は非常に難しいです。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/


グランドセイコー 6146-8020 の不動を治すの巻

2015年03月31日 20時01分31秒 | インポート

見にくい画像ですみませんね。デジカメ代えないと・・変わった座布団型のケースはSEIKO グランドセイコー6146-8020ですね。憧れのGS 国産初の自動巻10振動(36.000/時)を搭載するモデルで、1968年からの製造(私のS800Mと同じ)で、この個体は1969-7月製です。基礎キャリバーは6106Aですが、10振動化に伴いガンギ車、四番車などが変更された別機械です。手巻きがあるのが便利ですね。で、譲られた個体とのことで、振れば少し動いて停止という状態ですから、致命的な部分はないのではと思います。しかし、風防ガラスの劣化やベゼルの傷が目立って、過去に分解されていますね。

裏蓋のメダリオンはきれいですが、オリジナルでしょうか? (だと思います)裏蓋は過去に工具を滑らせた痕があります。ようするに下手っぴいが分解したということ。

 

竜頭の上部にベゼルを開けようと苦労をした形跡があります。

 

 

しかし、このケースはベゼルのスリット(無いし)に工具を差し込んで開けるのではなく、裏から押し出すのでした。ハハハッ。過去に分解をされてパッキンが1/3無くなっています。

 

風防ガラスは純正は目が飛び出すほど高価なので、社外を手配してありますが、まだ到着しません。そこで、ケースを軽く研磨しておきます。

 

各部を点検しながら分解をして行きます。あら、アンクル受の留めネジの片方がありませんよ。

 

すべて超音波洗浄をした後組み立てていきます。この機械は香箱は開けてはいけないことになっています。ホゾ部分に注油です。

 

この真鍮製の腕がハック機能でテンプのテンワを止めます。

 

 

日の裏側は特に問題はありません。最後の曜車を取り付けます。

 

 

マジックレバー式の自動巻機構を取付けて完成。10振動ですからテンワは小径となっており、ゼンマイを巻いても最初の駆動はアシストが必要です。

 

水気が入っていたようで、針は腐食気味でしたので、軽く磨いておきます。明日、風防ガラスが届く予定です。

 

その前に。関東地方は急に気温が上がって桜が一気に満開となりましたね。仕事で国立市(くにたち)の桜通りを通りましたので、毎年恒例の百恵ちゃんち前の桜です。デジカメを持っていなかったので、古いガラケーの画像ですが、今のスマホならデジカメ顔負けの写真が撮れるのでしょうね。

で、社外の風防ガラスが到着しました。メッキなのか色が純正に比べてニッケルメッキのような金系の色です。ケースには軽圧入ではなく、パッキン(Oリング)だけで組立てる構造でした。純正のパッキンは入手出来ませんので、汎用で代用します。

機械は問題があって、秒針を止める規正レバーが過去の分解で曲げられており、テンワを正確にコントロールできない状態が判明して、再度分解で修正しました。また、自動巻きのマジックレバーにも不具合があって交換しています。歩度は測定不能な滅茶苦茶な状態でした。調整をして行きます。

仮のSSベルトを装着しています。ラグ部分のデザインが特殊のため、ベルト選びが難しいところですが、オーナーさんはオリジナルを探したいとのことです。

 

10振動ですから、秒針は滑らかに回っていて良い感じです。但し、チッチッチッと忙しない音は、私にはちょっと早すぎるかなぁ? マーベルの5振動が人間の生理にはホッとする気がします。負け惜しみかな?

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/


お父様の形見のSEIKO クラウンを復活させるの巻

2015年01月08日 21時06分46秒 | インポート

お父様の形見というセイコー・クラウン21石が来ています。非防水ケースですから文字盤の状態は悪いですが、当時は少数派のステンレスケースのため、金メッキケースと比較すれば、ケースの状態は悪くはありません。時計を振るとカタカタと音がするとのことでしたが、機械留めのネジが緩んでいるようです。

この時計は、25年前に時計屋さんに修理に出したとのことでしたが、機械を分離して見ると・・カタカタは2本のうちの片方の機械留めネジが緩んでいたのですが、もう片方がすごいことに。ネジが折れて地板内に残ってしまったので、隣に孔を開けてネジ切りもせず規格外のネジをねじ込んであります。地板内に残ったネジを取り出す工具もありますが、錆びてネジが太っていればまず外れません。このネジを無理に抜こうとすると折れますので、このままとします。

テンプの受け部分の地板が削られています。受けの角度を調整したかったのでしょうか?

 

何度か分解歴のある機械で、汚れも多かったですから、念入りに超音波洗浄をしました。

 

香箱にゼンマイをセットして香箱真をセットします。

 

 

中心のホゾ穴も摩耗を修正してありました。

 

 

受け側のホゾ穴も修正してありますね。

 

 

機械の組立が終わって、脱進機のアンクル爪(ガンギ車)に注油をします。見えないですかね? 丸穴の中に見える部分です。

 

組立注油が終わって文字盤・針を取り付けます。

 

 

風防とケースは軽く研磨をしてあります。

 

 

調整をしない最初の状態です。それほど悪いデータではないですね。

 

 

文字盤の劣化が残念ですが、これも高度経済成長期にお父様が頑張っていた証でしょう。手持ちの新品文字盤ですが、上はSSケース用ですが、下は金メッキケース用ですね。機械は19石と21石が有って21石の方が生産数は少ないと思います。ケースも当時は非防水の時代ですから金メッキの方が一般的でステンレスケースは少数派でしょう。この組み合わせは少なく、私も探しているところです。1962年3月製。

http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/


初期型PEN-EE+PEN-Wの巻

2014年10月17日 21時28分50秒 | インポート

Img_528685少しUPをサボりました。作業はしておりましたがPEN-FTが続くので省略しておりました。最近お問い合わせメールがスパムメールに誤判定されるケースが増えています。モバイルやホットメールなどからの発信にエラーが多いようで、ご返事のメールも帰ってくることがあります。小まめに迷惑フォルダーをチェックすれば良いのですが、ついつい溜まってしまって・・

で、このブログ(OCN)は間もなく終了となりますので、これからお引越しの作業をする予定です。そこで、しばらくの間、ブログのUP件数が減ると予想されますので、クリックは週に1回程度でよろしいかと・・皆さん、毎日律儀にクリックしてくださるので申し訳なくなりますので。本題です。PEN-EEの初期型が来ています。最近珍しくなりましたね。この個体のように程度の良いものは余計です。作業依頼をイラストで描いて頂いて、お上手ですね。赤マークの出方が不規則ですので、全体のオーバーホールをしていきます。

 

すみません、サムネイルのサイズ設定が変更出来ないみたいなんです。やり方が分からないだけかも? お引越しをしてから何もしないのにアクセスランキングが現在2.676.941中最初の44.000番代から3.113番に上がっていました。で、PEN-EEの初期はシャッタースピードは単速の1/60秒で、後の1/30秒+1/250秒の2速モデルはEENとして区別されています。

露出計の調整抵抗が大きいですね。

 

 

過去に分解を受けています。カバーの塗装が傷だらけ。

 

 

レンズも曇りを拭き上げてコーティングが剥離しています。

 

 

シャッター羽根の腐食と固着があってスムーズに動きません。

 

 

左は2速のEENで、互換性はありません。

 

 

赤マークも後のタイプのベロ型ではなく四角ですね。赤マーク不安定は安全レバーの作動不良があります。バネの後期のものより細いようです。単速なので裏側シャッタースピード切り替えレバーなどはありません。

 

洗浄した本体の組立をしていきます。

 

 

プレートにはシャッターユニット留めビスの緩み留め用塗料が塗られていますので、すべて剥離洗浄してあります。

 

完成したシャッターユニットを組み込んだところ。

 

 

吊輪部のへこみと真鍮製の吊輪が摩耗しています。

 

 

後期用のステンレス吊輪と交換をします。

 

 

ナット留めだけでは必ず緩みますので、接着を併用しておきます。

 

 

PEN-Wの方は、前面と裏蓋のシボ革に一部剥がれがあり、修理ご希望でしたので古い接着剤を清掃をして再接着をしておきます。

 

これで完成です。このブログは画像取り込み時の設定を保存できないようで、枚数をUPするのが大変です。なるべく小枚数で行くしかないみたいです。


SEIKOスピードタイマーのオーバーホール

2014年10月11日 23時13分58秒 | インポート

Photo北海道のINOBOOさんからスピードタイマーが来ていますが、その前に、ラリー北海道でのハチロクの画像も送って頂きました。ミラーレスでの撮影だそうですが、何を撮ってもお上手ですね。









Img_5254156139-7060ですが、文字盤はオリジナルではなくて、海外で流通しているアフターパーツです。腕から外すと止まるようになってしまったとのこと。秒針も12時位置に帰零しない ようです。








Img_525685
すべて分解したところ。超音波洗浄をしてから組立をしていきます。











Img_525721特に摩耗や損傷している部品はないので、さっと組立をしていきます。二番車をセットしてから香箱車を載せます。











Img_525826
作動カムの座が地板に固着して外れませんでした。やっと外して洗浄、グリス塗布で組んでいきます。











Img_525987クロノグラフ受けをセットします。後は、アンクル、テンプを着ければ動き出すはずです。











Img_526135

テンプを着けて作動を見ると、テンワが上下に歪んでいて、フラフラと回っています。精度に影響がありますので、修正を試みます。










Img_526259振れは完全に修正出来て、静止しているように見えます。












Img_526356

日の裏側を組み立てて日車、曜車をセットしておきます。












Img_526451文字盤と針を取り付けます。













Img_526634

問題発生。秒針を帰零させると12時から針がずれてしまう。四番車のカムの調整不良かと確認しても、四番車は正確に復帰している。原因は針の固定が甘くて帰零のショックでずれてしまうものです。普通の機械と違って、秒針軸が丸ではなく、角型として針がずれないようにしてありますが、何度も抜き差しをすると緩くなって固定が甘くなってしまうのです。本来は新品の針と交換なのでしょうけど、すでに部品は無いので、ピンバイスで締めてから取り付けてあります。


Img_526758このモデルは本来インナーベゼルは回転する仕様ですが、巻芯に付いている駆動用のギヤが摩耗をしているためギヤが噛み合わず回転は出来ません。このギヤは鉄製のため、水の侵入で錆びているものが殆どです。








Img_527068 機械をケースに収めてから自動巻機構を組み立てたところ。回転錘が接触した痕跡がありますね。ベアリングが摩耗をしているためです。










Img_527188_2取りあえず組立終了。この後、歩度調整をして完成となります。

 http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/