次もD3なんですがね。#2575XXと、1台目よりちょっと前の製造ですが、まぁ、似たような頃です。しかし、決定的に違うのは保管状態です。このカメラは女性からの修理ご依頼で、祖父様の形見だそうです。何とか治して差し上げようと思いますが、かなり手遅れの感が強いです。巻き戻しダイヤル部はゴム系接着剤を盛られていますね。シャフトのネジ山と留めネジがネジバカになっていて、それで接着剤でということで、先が思いやられます。
D2、D3の場合、状態を悪くしているのは電池を入れたままにして液漏れにより腐食が周辺に進んでいることです。これはひどいなぁ。電池室の留めビスは腐食のため完全に固着しています。経験的に、これを緩めようとすれば100%ネジを折ってしまいます。また、スプロケットとスプロケット軸も腐食のため固着しており、スプロケットクラッチは軸から抜けて来ません。スプロケットも破損しています。クラッチが押し込まれた状態で回転したため割れてしまったのでしょう。良品のスプロケットが不足している中、交換をしなくてはなりません。
レンズもご覧のような状態で、見事にカビの花が咲いていますね。多分、カメラを良く知っている方でしたら、修理を考えなかったかもしれません。まぁ、ご依頼の方の思いがありますから、何とかしたいと思いますが・・(うちのD3と交換して差し上げたんじゃダメなんですよね。やっぱり)
シャッターを分解して洗浄します。超音波洗浄器も使用しますが、細かな部分は意外にきれいには洗浄できない場合がありますから、腕時計と同じようにシャーレで刷け洗いもします。
スプロケット関係は良品と交換の上組立てています。電池室の液漏れのため腐食しているリード線を新設しておきます。
はしょって完成です。全ては入れたままになっていた電池が問題の元凶です。巻き戻し軸とビスはねじ山が破壊されており、再使用は不可のため良品と交換して組立てています。何とか形見のD3が復活しましたね。同じ家族内で世代を受け継がれて良かったです。大切にしてくださいね。