ここ数日は、台風の影響により湿気の多い蒸し暑い日が続いています。早く秋晴れの晴天がこないものかなぁ・・
最近、PEN-Fを続けてUPしていましたので、ブログを見てくださるファンの方から、所有機のオーバーホールのご依頼を頂きました。賢明なファンの手元にある個体ですから、保存状態は良好で、特に不具合もありません。修理の場合、全く動かない個体の修理は変化が大きくて意外に楽なのですが、このような不具合の無い個体をオーバーホールする場合は、作業後に確実に良好な変化を与えなくてはならないので難しいのです。
九州の大宰府から来ましたが、北海道にはPENファンは多いのですが、意外に九州からのご依頼は少なめですよ。で、この個体#1324XXは1964-10製と東京オリンピックの開催中に生産された個体。そう考えるといつの間にか随分時間が経ったですよね。オーナーさんのお生まれになった年とのことです。私は小学生の高学年で、聖火の通過を沿道で日の丸を振って見送っていましたっけ。そう思ってシゲシゲ見直すと感慨もひとしおですね。生産がちょっと安定して来た頃の個体で、リターンミラーには、まだミラー押さえが付いている頃です。余談ですが、あれはどうして付けるようになったのかなぁ? 試作の段階で、リターンミラーの脱落が多発したのかしら? 結果的には初期だけで止めずに付けておいたら良かったのに止めてしまったのでリターンミラーの剥離が多発するようになってますね。FTのようにミラーを拡大する必要となったのでどっちみち不可能でしたが。←の巻上げレバーのクラッチ部分はすでに変更されたタイプとなっていますが、この巨大なスリ割りの中心をキリ加工していますね。加工上の制約なのか、この後の部品では孔加工は無くなります。
と、余計なことを書いていますが、Fが続くので書くことがないのです。特に問題の無い個体ですからね。ちょっと巻上げがゴリつく程度でしょう。まず、全体の分解をする前に、劣化したモルトを全て削り取っておきます。残しておくと、各ユニットなどに付着して洗浄が面倒になります。
何の問題も無くいつもの画像です。使いまわしをしているわけではありませんよ。ちゃんとやってます。2軸は完全に分解洗浄のうえ組んであります。シャッターユニットですが、やはりブレーキが耐用時間をとうに過ぎていましたので新品のOリングに交換して組んであります。ダイカスト本体のピンセット部分ですが、この個体はまだ切りかきが無くストレートに成形されていますね。じつは、このシャッターユニットを取り出すのは知恵の輪なのです。米谷さんの設計には多いです。そこで、この後の製品からは、この部分にシャッターユニットの逃げを作って、ユニットの取り出しを容易にしています。
こういう個体はレポートし難いですね。光学系はFの場合、プリズムがピント面でマット加工されていますが、筋状に見える部分があります。未分解の個体ですから新品の時からですね。接眼プリズムには多少の腐食が確認されました。全反射ミラーは特に腐食や傷は認められませんでしたので再使用としています。
その他、38mmや露出メーターも来ていましたが、特に問題は無いため作業をしておりません。
完成の画像を撮り忘れました。まぁ、いつもと同じですが・・そこへ、最近BBSなどに来てくださる笹原ペンさんから大量のカメラと時計が送られて来ました。画像のものは動作チェックで良好なものだけを超音波洗浄したところ。なんでこんなにお持ちなんでしょう? 殆どがクォーツなので、全て電池を交換すると、使わないうちに電池が切れてしまうので(不便ですよね)機械式が一番ですが、今回は機械式は三つです。一つはセイコーの女持ち用自動巻きでしたが、残念ながら裏蓋が緩んでおり水が浸入して錆びていてご臨終。中央右の懐中時計はスイスのミネルバ製でTBSの備品だったもの。この時計はストップウォッチを兼ねるのでNHKなど放送局で多く使われていました。中央左の四角いのは、あらら、ルイ・ビトンではないですか。本物ならね。自動巻きのムーブを見た限りでは香港か中国製と思います。
後ろの白いジュラコン棒はキングセイコーの専用締めコマを作ろうと思って中々掛かれないもの。旋盤で削りだそうと思っています。