このPEN-W #1150XXのオーナーはご常連の北海道はINOBOOさん。過去にオーバーホールを実施していますが、彼の美的感覚からしてトップカバーの剥げが気になるとのこと。う~ん、PEN-Wとしては剥げはこの部分だけですので、ずいぶんきれいな方だと思いますけどね。しかし、トウモロコシ送って頂いちゃってますからやらない訳には行きませんね。
何かきっちゃない画像ですみません。あまり出さない画像ですが、リペイントの作業の殆どはこんな作業をシコシコする連続なのです。一見きれいに見える塗膜ですが、エッチングプライマーの作用か、剥離剤で塗料を剥離してみると茶色い酸化層が出てきます。また、くぼみの部分は剥離剤では処理出来ませんので手作業で研磨をして行きます。サンドブラストを使用する場合もありますが、PEN-Wの場合は彫刻文字が浅いので、なるべく機械的な処理は掛けないようにしています。
本体ダイカストと裏蓋(背)の部分は塗膜に「てかり」はありますが、剥離はしていませんので、今回はなるべくオリジナル部分を残すように作業をすることにします。塗装は上下カバー部分のみです。ご覧のようにピカピカに研磨して塗装を待ちます。幸い、この個体はへこみや汗によるピンポール腐食は殆どありません。ここまでで一日の作業です。リペイントは非常に手間隙の掛かる作業ですが、これをやってこそ私の特徴ですから頑張ってやります。
今日も関東地方はきびしい残暑で、外出から帰宅したら疲れちゃって・・海水温が高いとのことで、台風だけは次から次と発生して日本を狙っている。紀伊半島の被災地の雨が心配です。で、PWN-Wの塗装は週末にするとして、今日はクオーツのペンダント時計をやっていました。身内のためにデッドストック不動品を入手したのですが、電池を交換しても作動しない。クォーツの電子回路は常に通電しておかないと故障するとか。しかし、クオーツは測定器も所有していないので分かりませんね。画像の左下が故障していたスイスのユニット(RONDA763)です。ユニットの左下の部分が発振回路で下の筒が水晶振動子。2の15乗(32768Hz/秒)で振動したものを分周回路によって1/秒に変換します。それを右側のステップモーター(コイル)によって磁気により中央の輪列を駆動します。と、まぁこう言う仕組みらしいです。今回は、同じユニットの新品が調達出来ましたので、すでに文字盤と針を組立てています。このユニットは1.000円でしたが、セイコーやシチズン(ミヨタ)などの量産品はネットで650円程度で入手することが出来ます。時計メーカー製でない、いわゆるブランド時計や雑貨時計には同じユニットが多く採用されており、とんでもない価格で販売されています。正確なクオーツ時計は70年代にセイコーが量産に成功したすばらしい製品ですが、消耗品的電化製品ですから、機械的な魅力などはなく、分解する楽しみもありませんね。あとは風防は未使用なのに中心に細かなクラックが多く走っています。何らかの強い圧力を受けたのでしょう。小径のためストックが無いので現在手配中です。
アメリカの航空ショーでP-51が墜落して大勢の犠牲者が出ているとニュースで見ました。墜落の原因は不明とのことですが、ほぼ垂直に落下していることから尋常な落ち方ではないですね。パイロットは高齢のようなので、体調に異変があって失神したのかもしれません。しかし、運悪く観客席エリア落ちて大惨事となった模様。大戦機が現在でも飛行出来るのが欧米のすごさだと思いますが、貴重なP-51がまた失われてしまった。以前にもイギリスでモスキートが墜落しています。
PEN-Wは塗装をしました。底蓋には1ヵ所打痕がありましたね。研磨作業をしてみないと分からないような歪みも使用過程機ですからあるものです。トップカバーの母材の状態は悪くはありませんでしたの仕上がりはまずまずと思いますが、艶がちょっと計算よりも死んでしまいました。すべてリペイントであれば、これで良いと思いますが、本体と背の部分が使用による摩滅でひかり気味ですから、少し艶ありにしたかったのです。この辺りが焼付塗装の難しいところ。焼き上がってみなければ最終的な艶は分からないのです。コンスタントに作業をしていませんと感が鈍るのですね。まぁ、使用しているうちに光ってきますけどね。
P-51はどうも水平尾翼の破壊らしいね。殆ど新製の機体ではあっても、機齢的には古いので、エアレースのような飛び方は危険が大きいと思いますね。唯一の「栄」発動機を積んだ零戦52型などは、飛行制限があるので急激な機動の飛び方は出来ないのだけど、とにかく貴重な機体が失われることが無いように願いたいですね。
で、裏蓋です。画像では左右ひっくり返っていますが、底の内側もこのようにきれいに塗装をしてあります。これを新製のリベットで組立てて行きます。
プレスでリベットをカシメたところ。三脚座のナット締め、巻き戻しボタンも付いて来ました。開閉鍵は古いグリスを洗浄してあります。新しいグリスを塗布して組立てて行きます。
完成したところ。底の部分は、へこみや歪みなど程度の悪い個体はヨレっとした感じが残ったりしますが、この個体の場合は軽く研磨をした程度で非常にシャープに仕上がっていると思います。
トップカバー上面から。彫刻文字部分の程度はよく、殆ど研磨はしなくて済んでいますので彫刻文字もきれいに入っています。程度の悪い個体は殆ど彫刻文字の深さが無くなって(元々極端に浅い個体もあります)リペイント屋泣かせのものも多いのです。ダイカスト本体との艶の差がありますが、本体の方が使用過程で光っているもので、オリジナルのトップカバー程度の艶で正解です。無理に艶を合わせようとグロスで塗装をすると、艶消しが摩滅で光って来たものとは風合いが違ってしまいます。使用して行く過程で違和感は少なくなって行くものです。