今日は、眼科の大学病院の検診日で出掛けて来ましたけど、電車のトラブルでラッシュ以上の混雑には今の体力では堪えました。よって、カメラの作業に着手する気力が残っていませんのでお休み。で、時計で悩んでいます。左が、少し前にご紹介した「昔、私が愛用してい時計の同型」としていましたが、ちょっと疑問になって来ましたよ。右の時計は、画像を見て似ていると落札した時計。不動でケースも風防もキズだらけのジャンク品で1.000円でした。不動はテンプの不具合で、在庫の部品と交換して取りあえず作動させています。そして、ケースと風防の研磨をしてみましたら結構見られるようになりましたね。(文字盤は見本のような放射タイプではなく単純な紺)しかし、このモデルはデザインは左(12型)と似ていますが、サイズが11型と大きい。このサイズだったかなぁ? 記憶の彼方なので確信がありません。しかし、リューズのサイズが少し大き目なのと、日送り時に押し込んだ時の感触は正しくこれだった気がします。こちらは亀戸製の5139-6000で5.5振動でした。左のモデルは諏訪製の6106-7000で5振動です。キャリバーは全く違いますが、両方、同時代のセイコー5 DXなんですね。やっぱり、部屋の大掃除をして現物を見つけなければ結論が出ませんね。暮れの大掃除の時に・・・
では、導入部だけ・・PEN-FVに見えますが、この個体はPEN-Fメディカルを通常使用が出来るように改造した個体ですね。私のしわざではありませんよ。観察していると、メディカル機は後期型のダイカスト本体が使われていることが多い気がします。まぁ、たまたま、製造時期が同じだったので、FTと同一に資材手配をされただけなのでしょうけど。で、不調なのですが、巻上げがスカスカに抜けてしまう現象あり。これは、巻上げレバー下の巻上げカムと連動させるための爪にテンションを与えているスプリングの脱落ですね。また、巻上げのフィーリングが最近に無いガリガリの悪さなので、一度、すべてO/Hをさせて頂きますよ。
では、いつものように全て洗浄してから組立てて行きます。巻上げレバーがプラプラで巻上げが出来ないという故障は、じつは、別に1台来ているのですが、原因はこの辺ですね。奥の本体に見える巻上げカムと巻上げレバーをピンセット先の爪でロックするのですが、爪のリターンバネが脱落していたのです。オーナーさんが気づかれて保管していたため、再使用していますが、すでにバネが伸び気味なんですね。それでバネ掛かりが外れて脱落したというわけ。バネの両端は接着をして脱落を防止しておかなくてはなりません。また、別の1台の方は、バネは脱落していませんが、爪の留めビス部が磨耗をして作動が不正確になっていると思われます。引っかかりでバネの力で戻らない場合は、カムから爪が外れて「プラプラ」現象となります。この留めビス(スリ割り)部分には、非常に大きな力が掛かるため磨耗が進んでいますが、スリ割りビスはカシメ加工により分解出来ない構造となっていますのでレバーASSYの交換となります。
シャッター本体は完成。調子は良好と思います。で、前板部分ですが、よくよく観察すると、このフレネルレンズはPEN-FTのものではないですね。かといってPEN-Fのものでもない。抑えバネも違うけど、どちらかと言えばFの形ですね。FとFTは設計が違うのですが・・
裏側を見るとね。前板とミラーユニットはメディカルのもので、当然、プリズムやフレネルレンズは他のFTから移植することになるのですが、この個体は違うやり方をしているようです。セットされているプリズムは黒塗装が大きく剥離しているものです。この個体は、鉛筆書きでいろいろ意味不明の数字が書き込まれていましたので、プロの方の作業に間違いないと思われますが、規格外の部品を使って組まれていますので、分解は怖いので、今回は見て見ぬ振りでこのまま再使用します。
ダイカスト本体は後期型ですね。裏蓋の圧板も二点留めの後期型のそれで、製造時期は、PEN-FTで言うと38万代辺りでしょう。FVと違ってセルフタイマーが省略されていますので、マウント12時のビスは本来不要ですが、化粧ビスとして内側からスペシャルナットにより取付けられています。シャッターダイヤルはFVと共通のものですが、Fとは正面状は同じ部品に見えますが、実際は異なります。リード線は全てやり直しています。
完成したところ。製造が後期と新しいことと、メディカル機はあまり酷使された個体は少ないので、非常にきれいなボディです。FTともFVとも違うちょっと変な個体。人と違った仕様のカメラを所有したいというお気持ちは理解出来ますし、本来、通常使用出来ない個体の廃物利用ですから、個体数維持の観点からも許容される範囲の改造だと思いますね。
PEN-FT(B)に行く前に、笹原ペンさんから時計がいろいろ届いています。しかし、コンディションは厳しいですね。左の時計はラドーの990と言うモデル。機械にはAS1902/03 1858で、ゴールデンホースにも採用されていますね。と刻印されています。一応防水時計なんですが、問題は内部に水が侵入していること。風防ガラスの内側と文字盤は特にひどいですね。裏蓋のゴムパッキンはすでに利いていませんが、幸い機械に錆の発生は無いように見えます。(分かりませんが) 右のモデルは、先日、ブログに書き込み頂きましたクイーンセイコー(ハイビート)です。(でしたかな) 手巻き式の非防水ケースのため、内部には水が侵入しており、文字盤下の機械も手遅れの状態です。リューズの巻き真部分も乱暴にニッパでカットされていますので、ジャンクとして処分されたものでしょう。ハイビート機でしたので、再生してみたかったモデルですが、この状態では手の施しようがありません。
ラドー990の方は、取りあえず文字盤の清掃をして見ました。ニスが剥離した部分もありますが、何とか見られます。応急的に各部に注油をして無理に動かしています。ケースと裏蓋は超音波洗浄をしました。かなりの鉄錆が出ました。これは、ステンレスベルトの可動部分のピンに鉄芯が使われていて、それが錆びているためです。バイクのチェーンと同じように縦にして水平に持ってみれば、ベルトの伸びが分かります。かなり曲がりますね。残念なことに3本の針(剣)は湿気により全て腐食して手遅れです。さて、部品として保管するか、再生するかです。
さて、PEN-FT(B)です。こちらは特に問題はない個体のO/Hです。じつは、42mmを装着するとフリーズするとのことでしたが、原因はカメラ側ではなくレンズのシボリ作動が重くなっているのです。現存の42mmの多くが作動が重い状態ですので、購入される場合は、実際にご自身のカメラをお持ちになってテストをされることが肝要です。オークションや通販では非常に怖いですね。で、シャッターユニットです。点検しましたが問題はありません。ブラック塗装が摩滅している割には磨耗は少ないユニットでした。すでに超音波洗浄をしてピカピカになっています。
カラーバランスが変ですみません。こうしないと白の色入れが黄ばんでいるのが補正されてしまうので・・・シューを装着していたために白の塗料が変質してしまっています。これは入れ直しのご希望です。
本体は完成しています。巻上げの感触は非常に軽くスムーズになりました。アイピース枠は破損のため交換してあります。トップカバーの色入れは全て入れ直してあります。ところで、セルフタイマーボタンにカニ目孔が開けられていますが、このまま再使用でよろしいのかなぁ? 交換も出来ますけど・・
パソコンのディスプレィが写り込むほど塗装の表面は摩滅しているのに、不思議に角は出ていないという個体。故意に研磨剤で磨いたのでしょうかね。このまま組もうとしましたが、シャッターダイヤルのガタが多過ぎでした。これを修正して、おまけにBの橙色が完全に抜けていたので入れ直しておきました。セルフボタンはオーナーさんからのご指示がありましたのでうちのオリジナルボタン(ブラック)に交換しますが、その前にセルフレバーの色も劣化が進んでいましたので他の部分とのつり合いが悪いですから入れ直しです。その他、ハーフミラーは当然交換してあります。外観的に、ちょっと荒れていた個体でしたが、まじめな子になりましたね。あとは、42mmかぁ・・
その42mm f1.2ってやつだね。大口径で明るいレンズとのことで、みなさんどうしても使いたいレンズのようです。しかし、ウィークポイントはレンズの中玉の曇りと絞り時の作動がスムーズでない個体が多いこと。このレンズも、過去に同じ理由で分解されていますね。絞り羽根の作動が悪いので、鉛筆でシコシコ擦ったり、カムレバーをヤスリ掛けしていますね。カムの山に乗る時が作動が重くなるため、カム山まで削っていますね。困ったことを・・・元々、大きな絞り羽根を作動させるためにカメラ側に大きな作動トルクを要求するレンズなのですが、そのカメラは自動車で言えば20万㌔ぐらい走った馬力の落ちたポンコツで、荷物は新車の頃よりも重いときているので作動不良にもなるわいな。特にPEN-Fなどでは余計でしょうね。
途中の画像を撮り忘れました。絞りユニットは全て洗浄の上、調整してあります。ヘリコイドグリスが抜け気味でしたので入れ直してあります。中玉の外周にはうっすらと曇りが始まっていますね。で、作動は軽快で、FT(B)にセットで1/500 f16で全くストレスなく絶好調となっています。削っても治らないのですね。