今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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困ったPEN-FTの三兄弟

2012年02月12日 17時08分37秒 | インポート

Dscf095055 体調の問題で、「今なに」はお休みを頂いておりますが、この三兄弟はUPしないと分からない(本人が)なぁ、という感じですので簡単にUPしますね。これらはペンスケ展ご常連のmuraakiさんから来ているものですが、初心者ファンの方に譲ろうと買い集めて来たとのことです。本来は私がやらなければいけないのですがご苦労様です。しかし、3台共、問題があったのです。後ろの34万代の2台は、外観は良好ですが、1台はセルフタイマーボタンが右ネジを無理にねじ込んで、頭は接着。各部のネジが規格外。裏蓋ロックの組立間違い。最後は露出計が大改造で処置なし。というぐあい。2台目はミラーユニットに問題があって、作動は問題ないが、このユニットで組むと、巻上げフィーリングが最悪となる。露出計(Cds)の感度不良。などです。手前の3台目。これはまともでいてね。トップカバーのシリアル№は#1923XXと中期頃の個体と思いきや、本体の特徴から、27万代付近の個体と思われます。やれやれお前もか。付け替えで、本体の方が新しいのは珍しいですけどね。露出計は基板別体タイプに交換をされています。

Dscf094469 右ネジを強引にねじ込んであります。頭部分は別に旋盤で挽いて(鉄です)接着と苦労していますね。うちのパーツを使ってくれれば問題は無いのに・・・

Dscf094512 裏蓋のラッチが非常に浅くしか掛からない。この場合は、組間違いをしているのです。ピンセットのラッチが、巻き戻し軸受けに嵌っていますが、スリットの上になっています。これは間違いで、下が正解です。これではストロークが足りなくなるのです。どちらでも組めてしまうので、知識の無い方の間違いやすいところです。

Dscf094754 ピンセット先のビスが規格外。リード線もやり直してあります。

Dscf094658 このビスも違いますよ。ここは皿ネジが正解ですが、なべネジになっています。このFTで使っているところは、ファインダーハウジングのところですね。

Dscf094887 最後はここです。ハーフミラーは汎用のミラーをカットして使用してあります。Cdsの基板がすごいことに・・ピンクのリード線は故意にカットされています。配線や抵抗をすべて無視して、たぶん、見かけだけ針が振れるようにしてあるのでしょう。私にも分かりません。今回は、開けて見なければ分からない欠点ばかりで、30万代という安心感も手伝って、ベテランファンでも見抜けなかった失敗というところでしょう。たぶん、私も外観からでは見抜けません。さて、困ったね。

Dscf095064 オーナーさんからお電話を頂きました。PEN新人の方が2名お待ちとのことで、何とか2台仕上げなければなりません。この#1923XXが一番期待していなかった個体ですが、結果的に非常に良い個体でした。シャッター他、オーバーホールにより、巻上げは非常にスムーズです。また、露出計は基板別体タイプに交換されていますので、当分露出計も安心でしょう。問題は、トップカバーが付け替えだということ。実用派の方でしたら問題ではないかも知れませんが・・この個体の本体の推定シリアルは27万代付近と思いますので1969-3月頃の製造でしょう。しかし、この露出メーターの製造日付は1975-6-12となっています。製造から約6年後に露出計不良となり、SSにて交換をされたのでしょう。因みに、米谷さんは「製造ラインは1本で、このような露出計ユニットは使っていない」とおっしゃっていました。シャミセンをおっしゃったか、PENから手を離れた後で、補修用に開発されたものなのかも知れません。画像は、基板の取付け位置で、正式には、ファインダーハウジングにタップを立ててビス留め(基板に取り付け穴あり)ですが、殆どの個体は接着で済ましています。ハーフミラーは後期のタイプで、比較的新しいことから、多少曇りはありますが、初心者さん用として、なるべく安価にご提供するため、再使用としています。

Dscf095198 露出メーターですが、新しい基板別体タイプでしたので、安心していたのが失敗でした。回路を完成させて電池を入れても、メーターは全く動かない。この露出計ユニットでは、Cdsが劣化して不良となっているケースはあまりありません。メーターをチェックしていくと・・・あっ、いじられている。コイルを支持しているピボットビスのネジロックが破られています。正常に針が振れる位置を見つけ出して固定します。ピボット部の磨耗やガタは殆どありませんので、わからない人はいじらないで欲しいです。

Dscf095243 え~と、これは #3426XXの別の個体ですが、お二人FTをお待ちだそうで、どうしてもあと1台作らなければなりません。フィーリング不調のミラーユニットは別のユニットに交換してあります。あとは露出計です。そこで、私の在庫部品から部品組みをして1ユニット完成させました。元気良く作動しています。後ろは、別の34万代にセットされていた(↑の方)ユニットで、不調のCdsを汎用のものをパラレルに接続してハーフミラーの裏に貼ってあります。まぁ、このような修復の方法もあろうかと思いますが、私はオリジナルで治したいのです。そもそも、34万代のCdsが本当に不良であったかも疑わしいところです。

Dscf095337 FT2台は何とか仕上げました。付属の38mm f1.8ですが、40万代の最後期頃の製造。よって、変更後の設計ですから、分解しにくいタイプです。絞り羽根部を取り出します。羽根とクロメートのプレートも油漬けです。すべて洗浄して組立ます。

すみません。完成の画像を撮り忘れました。新人の方の手元に渡って、活躍してくれることを願っております。

http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/