しつこい風邪でしてね。なかなか体力気力が回復しないので、短時間で完成する腕時計をやります。INOBOOさんの前に、笹原ペンさんからGUCCIの腕時計が来ていました。本物ですけど、ケースや金属ベルトの状態は良くありません。いつも関心するのですが、このような素材を良く探して来られますね。GUCCIは裏蓋の開け方が特殊ですが開きました。クォーツ時計なので面白いことは何も無くて電池の交換と注油をした程度です。
薄型のケースで、雰囲気は良いですよ。ケースに小キズが多いので、サンドブラスト部分はマスキングをしてから研磨します。純正の金属ベルトは入手は可能と思いますが、恐らく数万円はすると思いますので、渋いめの皮バンドでよろしいのではないでしょうか。
ここから本題です。どなたでも、ご自身の生まれた年のカメラや腕時計は所有したいもの。私の影響で腕時計趣味に引き込んでしまったようで、オークションで落札後、私のところへ直送で来ました。精度は日差14秒と謳われておりましたが、この時代の時計では無理な精度ですから絶対に嘘です。拝見すると、10秒でトルクが無くなって止まります。これで丸1日動く訳がありません。輪列に埃の糸くずなどが混入していれば、同様な状態で止まってしまいます。ケースは予想よりも大型化された頃のものですね。ユニークはスーパーの改良機械ですが、私の生まれ年のスーパーはケースが小型のものです。画像はケースの裏側。機械は小さいのに、ケースの厚みを厚くして大型化したことが分かりますね。重くなるだけです。楊枝で除去しているのはゴミではなくてステンレスが錆びた痕です。
錆落としとケースの研磨を終えた部品は、全て超音波洗浄をしておきます。
洗浄した地板に部品を組み込んで行きます。二番車にカナ車を圧入しておきます。下の香箱車のホゾ孔は意外に磨耗は少ないようです。
途中はしょって最後にテンプを取り付けました。振り角も大きく、ひずみも無いですね。但し、この頃はまだテンプの耐震装置は装備されていませんので、落下などは禁物です。天芯が折れてしまいます。この頃は15石にアップされていますね。三角の受けの三つのホゾにはルビーが使用されています。
針の金めっきがくすんでいますので軽く研磨をしてから取り付けます。めっきは非常に薄いので、あまり深く研磨をするのは禁物。下地の真鍮が出てしまいます。
プラスチックの風防は、黄ばんだものも味となるのですが、残念ながら1ヵ所クラックがありますので交換とします。何種類もの風防を取り寄せて、高さが厚いタイプの29.3mmを選択して使用しました。風防は、メーカーによっても形状が異なりますので、古い風防の寸法で必ずドンピシャということはありません。こうして、余った風防が増えて行きます。交換にはセイコーのワンピースケース用の工具を使いました。こちらの方が風防にキズを付けにくいのです。原理は、風防を絞って寸法を縮めている間にベセルに挿入をするのです。
文字盤はギョーシェ彫り風プレスのもので、この文字盤は人気があって、なかなか見つかりません。文字盤の清掃をしてから、研磨をした針をセットします。ケースの状態も比較的きれいでしたので、きれいに仕上がっています。但し、風防は新しめで浮いていますので、しばらく使って馴染ませたら良い味か出て来るでしょう。今回は、ベルトはご自身でお好きなものを付けて頂くため未装着とします。カン幅は大型の18mmですから、選択肢は多いですね。これで組立は終了。後はエージングをして歩度調整をします。