今朝は胃がんの検診だったのですが、指定時間直前に起きて飛び出していったので調子が悪いです。バリウムは1時間30分で出て来ました。人間の体の中って意外に短時間で巡るんですね。そこで、オークションで入手をされたというPEN-F ##2178XXですが、分解歴があって、理屈はわかっているようですのでプロかハイアマチュアさんの作業かと思いますが、とにかく作業が汚い。このまま使えば使えますけど、オーナーさんは、長く使いたいのでO/Hをしてほしいとのご希望です。#2プリズムには少し黒点腐食が出ているのは仕方のないところ。
リターンミラーねぇ。はく離したものを再接着したものか? 接着剤がつけ過ぎではみ出しています。ミラーの状態も良くないので交換をご希望です。
あれれ、変なバネがありますよ。なんでダイカスト本体に接着されているの?
分解してみると、なにやら自作したバネのようですが、オリジナルと形が違いますよ。
この部分は設計変更をされていまして、パーツリストのC59-2の二重巻き上げ防止レバーを復帰させるバネです。オリジナルの形状に曲げ直しておきました。何をしたかったんでしょうね?
接着時間の関係で、リターンミラー関係から作業を始めます。遮光布をゴム系接着剤で貼ろうとしてフレネルレンズに接着剤を付着させています。溶剤で侵されていますよ。
リターンミラーを分離するときにネジのすり割り半分壊しています。ネジロックを緩めずに作業をするからです。
他人様の組んだものの修復は手間がかかります。フレネルレンズのサイドカバーの古い接着剤も丁寧に落としていきます。汚いままではきれいな組み立てができないからです。
前板関係を完全に分解したところ。
大量の接着剤で固定されているたため、ミラーの剥離が困難です。ミラーホルダーの状態も悪いので、当方のストック(右)を使ってミラーを交換します。
古いミラーを分離します。
リターンミラーユニットを超音波洗浄すると、これだけ真っ黒けになります。
組み立て完成。ダイカストのつや消し塗装のハゲも補修してあります。スッキリ感が違うでしょ。但し、工数が掛かり過ぎです。
では、洗浄したダイカストボディーに組み込んで行きます。この頃には、すでにスプロケットは樹脂製となっています。よって、クラッチ部の摩耗により、スプロケットの空転の危険性があるということ。少し摩耗気味ですが、まぁ、使えるでしょう。
スプロケット下受けを取り付けます。こちらは正ねじ、上側は左ねじ。
これもちょっとヤバそう。スプール軸のスプールギヤを取り付けるねじ山がふた山無くなっています。これは、PEN-Sなどでも見られる不具合で、工場での締め付けが強すぎるのです。
巻き上げレバーは曲がりを修正してありますね。将来折れるかもね。今回は再使用。
それほど疲労しているユニットではありませんね。但し、ブレーキが固着気味。使っていないので摩耗していないということ。と解釈してOリングは交換しないことにします。
洗浄、組立でグリス塗布を終えた状態。
本体側と前板側が完成しました。
あぁ、これ剥がしちゃってますね。PEN-Fは慢性的にファインダーハウジングの精度が良くなくて、そのまま組むとファインダー像が右に傾く傾向にあります。それを修正するために、この部分に紙片を貼って、全反射ミラーの倒れを補正してあるのです。それを取っちゃだめです。
このように貼っておきます。
圧板はフィルムと擦れた擦り傷がありますね。
あまり違いが分からないかな? 研磨してあります。
やっと、メカの組立は完成。巻き上げはスムーズで調子は良好です。この後、ファインダーのピント調整などをします。
どうなるかと思いましたが、基本的には素性は良い個体でした。PEN-Fはすでに分解の手が入っている個体が多いのですが、オリジナル性を無視した組立はリカバリーに手間が掛かるわけです。
付属で25mm、40mm、100mmとPEN-Fメーターが来ていますが、100mmに問題があります。FT発売後に配布されたシールが貼られている絞りリングが固着気味でレンズにカビもあります。
絞りカムの動きが悪いです。
レンズの清掃。前玉のコーティングにカビ痕を清掃した形跡があります。その他はきれいになりました。
組立てたところ。
撮影のフルセットですね。本体に40mm+PEN-Fメーターを取付けると0.67kgでした。(電池・フィルム別)ハーフなのにずっしりとした重さを感じますね。PEN-Fメーターを付けるとカメラのホールド性が悪くなりますから、ストラップは必ず使用してくださいね。折角きれいなカバーなので・・