「遅れて来たPENマニア」さんから元箱付きのD2が来ていました。D2の元箱付きはあまり見たこと無いですね。
かなり汚れ放題の個体ですが付属品も揃っているようです。事前のテストではシャッターは作動します。露出計も動きますね。
問題は、あら~、長期に放置されたためにモルトが完全に変質してダイカスト底部と裏蓋先端を腐食させています。
これは完全に手遅れですね。リペイントで修復も出来ますが、元箱オリジナルの収集という観点からは、このままで行くことにします。
新品で購入されたオーナーさんは几帳面な方と見えて、修理票なども保管されています。まず、この個体 #1463XXの製造は1964(昭和39)年11月で、大阪三ノ宮のコヤマカメラ店により1966年(昭和41)5月21に販売されています。その後1986年(昭和61)5月12日に大阪のオリンパス修理技術認定店◯◯により修理を受けています。このカメラの履歴が分かるのは嬉しいですね。
変質したモルトには腐食性があってスチールを錆びさせています。
モルトの除去、フィルムレールの研磨をして洗浄が終わりました。
シャッターユニットは完全には分解されていません。最小の分解修理と言うところ。
ははぁ、一応はシャッターユニットとヘリコイド部を分離させていますね。かなりスリ割りを壊している乱暴な作業ですけど・・
では、地板を洗浄して組み立てていきます。シャッター羽根が前回の分解で傷が多いです。おかしいな、技術認定店なんですよね?
D系は保管が悪かった個体は後玉が曇りやすいです。この個体もごめんなさいの状態ですが、画像はライトの関係で真っ白に写っていますが、現物はそこまでひどくありません。ヘリコイドグリスの交換と、例のスリ割りナットの塗装ハゲをタッチアップしてあります。交換した方がよかったかな?
本体にシャッターユニットを搭載しました。作動を確認してシボ革を貼っておきます。
チャージ部のコロを紛失する方が多いです。薄くモリブデングリスを塗布して組み立てます。
洗浄をして良く見ると吊環部が凹んでいたんですね。吊環を分離して修正をしておきます。
それぞれのカメラにも履歴(歴史)はあるわけですが、元箱や販売証明、修理明細などの資料が残っていたことがこの個体の幸運でしたね。遅れて来たPENマニアさんにようなコレクターに救出して貰えたわけですから。メーカーのオリンパスにも、このような現物資料はそれほど残っていないと推測されますので貴重な資料ということになりますね。
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