まだローライ系が続くのですけど、ここでPEN系をやっておきますよ。お人から譲り受けたというPEN-FV #1135XXです。1967年5月製の初期型(1967年2月発売)ですので使われているユニットは前期型で安定性はイマイチの頃の個体です。セルフタイマーも改良前のジッジッジッというタイプで途中で止まります。光学系の劣化が激しく、リターンミラーも大きく腐食しています。これは交換することになります。
ファインダーのプリズムには冬ですから? 雪印のカビがあります。その他、ミラーアップと巻き上げが2回巻き上げになりますので、チャージギヤとギヤ軸に摩耗があるようです。では、分解をして行きます。
シボ革が部分的に剥がされてマウントのネジが1本残してすべて緩められていました。ははぁ、この1本が緩められなくてスリ割りを壊して諦めた。と言うことでしょうね。老婆心ながらネジをまともに緩められない方はカメラの修理は出来ないと思うけどなぁ。
まず、硬化時間を考慮して先にリターンミラーの貼り替えをしておきます。古いミラーを剥離しました。
今日は午前中は外出と眼科の定期健診に行ってましたので作業が進みません。眼は商売道具なので年末ですからしっかりチェックしておかないとね。特に問題は無くてホッ。で、初期型のFT(V)の場合、問題なのがスローガバナーのギヤの摩耗です。1/8→1/4へシャッターダイヤルを回す時にシンクロを合わせないと「ガリッ」といってギヤの歯が欠けます。そうなると低速1秒が止まるようになります。じつはこの個体がそうです。見やすく撮影できなかったのですが、↓のガンギ車の歯が摩耗しているのが分かりますか? 1/8から1/4にすると相手側の薄い歯車が飛び込んでくるのです。薄いので接触部分が狭く歯が摩耗してしまいます。初期型を所有されている方は無用な低速空シャッターは切らないこと。
ストックを探しましたら、適合する良品のユニットが見つかりましたのでASSY交換してあります。2回巻き上げも解消されて調子は良いと思います。
リターンミラー関係を組み立てました。こちらのミラーユニットも改良前が付いていますので神経質です。
ファインダーのレンズはバルサム切れがありますが、実用上は支障がないため清掃して再使用します。
セルフタイマーは改良前のタイプですが途中で止まりました。歯車に錆が発生していますが洗浄注油で調子を取り戻しました。
前期頃の個体は駒数ガラスが劣化をして駒数板が見にくくなっているものが多くあります。塗料で塗装をしている関係で、溶剤が長い時間のうちに材質を侵しているのでしょう。中期以降からの個体は劣化が少ないですので材質などの対策がされたものと推測します。
このカメラは内部ユニットが改良を受けながら生産されたカメラですが、逆に見れば製品の完成度に問題があったということかもしれません。通常と異なる設計の機械には良くあることです。それだけに改良前のユニットが使われている前期型の個体は、色々なウィークポイントを持っているのと、生産から長い時間が経過していますので完調を維持することが比較的難しいのです。希少なFVなので生き残った個体かも知れませんね。