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カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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ローライ35系兄弟の巻(1)

2023年02月18日 21時00分00秒 | ブログ

ローライ35と35Sのブラック兄弟が来ています。どちらも大きなへこみは無く、まずまずの状態ではないかと思いました。ただし、2台とも手油でネチネチの感触。これが一番嫌い。

 

では、ローライ35 #61888XX (シンガポール)から始めますよ。大きな不具合は無いので書くこともあまりないと予想します。まず、ストラップを外します。トップカバーの側面にへこみがありますね。荒出し修正をしておきます。

 

レバーアテが欠損でファインダーはブライトフレームもかなり曇っています。

 

 

いつも気になることですが、巻き戻しレバーの基部の樹脂が白っぽく劣化していますね。高級コンパクトとしてはちょっといただけない材質劣化です。

 

沈胴はグラつきが大きいと思います。フェルトの調整が必要です。また、前玉のヘリコイドグリスが完全に抜けています。

 

ファインダーのレンズを分離して清掃をして行きます。接眼レンズの固定方法は簡単で確実です。

 

清掃をしたファインダーを本体に戻します。スプロケット軸には小さなワッシャーが入るので忘れずに。

 

で、大きな変形は無いと思っていたトップカバーですが、左肩に打撃を受けて下がっていますね。底面が大きくズレているのが分かります。

 

荒修正をしたところ。違いが分かりますか? レバーアテも追加してあります。

 

 

この程度の変形で済んでいるのは材質が真鍮だからです。ジャーマニーはアルミが多いと思いましたね。この個体は裏蓋底部も真鍮製で、その分カメラが重いです。私はこちらが好き。

 

シャッターは過去に分解を受けています。ネジの緩み止めを溶かさないのでスリ割りが壊れています。また、バネが故意に曲げられています。直すと折れる危険性があるのでこのまま使いますが私の仕業ではありませんからね。

 

沈胴は調整してあります。完成したシャッターユニットを取り付けます。

 

 

巻き戻しダイヤル基部は黒くしておきました。

 

 

シンガポール製は部品は本国からの支給とシンガポール製があるようですが、このシリアル個体はどうなんでしょうか? シャッター(絞り)ダイヤルの化粧ネジのメッキが腐食しています。ジャーマニーで程度の悪い個体でもメッキ腐食はあまり見ませんね。

清掃をした前玉に新しいグリスを塗布して取り付けます。

 

 

専用のフィルターって何かかっこ良くないよね。巻き上げが重い個体でしたが、完成後は軽く巻き上げが出来る調子の良い個体となりました。

 

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