続けてローライ35をやります。このドイツ製#3004XXXは露出メーターが動いていません。電池蓋も開かず工具を使って強引に開けてみると・・入ったままの電池が液漏れを起こしています。
トップカバーを外してみると。あぁ・・すごいことになっていますね。点検のところ、メーターは生きています。Cdsも反応はしますが針が0点に戻るのに時間がかかります。これは劣化の兆候ですが、電池の液漏れが原因ではなくドイツ製初期型に多くなっている症状です。
回路をやり直して作動を見ています。まぁ、このまま使うことにします。
電池の液漏れが原因で樹脂のメーター窓が曇っています。過去に再接着をされていて接着剤もはみ出していますので分離して研磨します。
裏蓋を外して点検していると、スプール部分からポロッと落ちて来ましたよ。
かなりの確率で接着が外れている個体を見ますが、脱落して来るのは珍しいです。再接着をしたところ。
ドイツ製個体のアイビースですが、このように樹脂が溶けたように劣化をしているものが多いですね。材質は普通のABSだと思うのですが、ソフトケース内でスポンジのような材質と長期間接触をしたことによって樹脂が侵されたものかもしれません。
微妙に梨地が掛かったような表面なので、簡単にヤスリで削ってしまうと形状と印象が変わってしまうので、布に研磨剤が入った布ヤスリで軽く研磨をしておきます。
シャッター・レンズユニットを分解して行きます。この個体はft機ですからアメリカ向けに輸出されたものでしょうかね。
基本的には以後の仕様と変わりませんが、初期型はシャッター羽根を駆動するブレードリングの形状とそれを受ける後玉側の潤滑方法が異なります。
メンテナンスをしたユニットを本体に組み込みました。前玉を付けて無限調整をしておきます。距離リングはmを上側に組むのが国内のセオリーです。このリングの材質は溶剤に対して非常に弱い(溶ける)ですから分解時の溶剤使用は厳禁です。
組立完成でフィルムの巻上げテストをすると・・あら、カウンターが進みませんね。
カウンター盤の逆転を止める爪(ロッキングスプリング)が樹脂のため経時的に弓なりに変形してカウンター盤の逆転を止められなくなっているもの。
以後の生産ではロッキングスプリングの下に補助バネが入りますので、製作をして追加しておきます。
巻き上げレバーアテが欠けていましたので製作をして交換しておきました。これで完成ですね。初期型の特徴、圧板のバネ形状(複数あり)、スプール、それと内面塗装は艶消しプレーンです。
いろいろありましたが、基本的には非常に良い個体でした。初期型の整備済みが欲しい方はお勧めの個体です。
トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)